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中山間地の零細農業では、4ヘクタールの農地を集積することなど夢のようなハナシです。零細農業はやめろとしか聞こえない。 でも、大規模農業でなければ国の支援は受けられないといって、農家は百姓をやめるつもりもないのです。 農民Aさんは、ご先祖様が、この地で三百年前から農地を耕し、守ってきた事実を想います。経済合理性からみれば、とうの昔に農業などやめてしまっても不思議ではありません。というか、農業を続けているほうが不思議です。自分だけが食べるためのお米なら、採算を無視して贅沢なお米を生産することだって自由。ある意味ご隠居の道楽。 しかし、ご先祖の土地を守りたいというこだわりを持ち続ける限り、結果として自らが消費する以上のお米を作ることになってしまうことになる。Aさんの住む山間地域では、昔はうんと高い山のてっぺん近くまで棚田が存在していました。その昔、農地を開墾し、斜面を石垣で積み上げて棚田を築いてきました。一つ、また一つ、石を手作業で積み上げた水田を守ってきたのです。それを想うと、自分の代で耕作を放棄するなど考えられません。 とはいっても、時代の流れには抗えず、ずいぶん耕作面積を減らしてきました。だからこそ、もうこれ以上減らすことは出来ないと思うのです。 家事消費する以外のお米は、直接販売で消費者のもとへ届けることにしていますが、当然、消費者へは一般の流通価格で販売せざるを得ません。 一年かけてお米を作り、年間の損益計算をしてみると2倍の収入があって、ようやく収支トントンの現状。しかも、支出にはAさんや家族が働いた賃金は含められていません。 労働力の金銭的評価が含まれず、しかも青息吐息で生産しても、倍の赤字が出る。 で、この赤字。つまり、米生産のために足が出た赤字はどうやって穴埋めしているのか? ズバリ、Aさんの年金や貯金を取り崩して補填されているのです。 米生産で儲かるどころか、自らの生活を切りつめながら、他人の食べる米を作る結果になっています。 それでもAさんは、今年「あきたこまち」「ひとめぼれ」「ほうれい」そして「もち」を栽培しました。日焼けた皺くちゃの笑顔で、空を仰ぎながら収穫を喜んでいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/10/15 09:33:23 PM
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