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　えりちょが10歳になった。クラスのみんなが祝ってくれたらしい。図工室に移動して図工をやっているときに、教室に忘れ物をしたことに気付いて、取りに戻ったら友だちや担任の先生が
「えりちょ、入るな！」
と入り口で通せんぼされたらしい。しょうがないので忘れ物は誰かに頼んで取って来てもらったとか。

　図工のあと、教室に戻ったら
「お誕生日おめでとう」のメッセージが黒板に書いてあってうれしかったらしい。レクリエーションの時間も作ってもらって、クイズをやったりして遊んだり楽しい時間を過ごせたようだ。
「みんな誕生日にはそうやって祝ってもらってるの？」
と訊いたら、
「いや、こんなの初めてだよ。」
と言う。
「昨日の帰りの時間に、I君が『明日はえりちょさんの誕生日を祝いたいです。』と先生に言ったらこうなったの。」

　学校ではそんな感じだったが、家では私のいい加減な手作りケーキでお祝いした。近くに苺を売ってる店がなく、ケーキのフルーツは缶詰を使用。しかもケーキのスポンジも材料がうまく混ざってなくて、甘い玉子焼きみたいになっているところがあったり。それでも生クリームが掛かっていればケーキっぽかったけど。

　おじいちゃんおばあちゃんからのプレゼントは、任天堂DSi。すでにDS持ってるからいいじゃんって思ってたけど、DSiってソフトを入れなくてもそれだけで随分遊べることを知った。写真を撮って合成したり、声を録音して音を変えたり、ネットに繋いでゲーム機で作った作品を見たり。自分でアニメ作ったり。

　私たちからは、えりちょの好きそうな文房具をあれこれ選んだもの。折りたたみ定規に可愛い絵がついているのとか、花の形のカラフルなクリップ、はさんで使う鉛筆ホルダー、ニコケシ（下の消しゴム）、レターセット、黒猫の模様がついたシールつきメモなど。ニコケシはニッコリ笑っている消しゴムが二つ合体したもので、これは大人でも喜びそう。


　私の睨んだとおり、どれもえりちょのツボにはまったらしく、大喜びしていた。私は未だに文房具好きだけど、子どもの頃は今よりも文房具大好きだったので、きっと喜ぶだろうと思っていた。

　無邪気にはしゃいでいるが、もう10歳。あと10年たったら二十歳になるということが信じがたい。