カテゴリ:小説読書録
ミステリのジャンルに、``ミッシング・リンク''というものがある。
犯罪におけるミッシング・リンクならば、一見、互いに無関係に見える複数の事件・被害者の間あると仮定される共通点のことだ。推理小説でのミッシング・リンクは、それをテーマにしている事件の話である。このジャンルで一番有名(だと思われる)なのは、おそらくアガサ・クリスティの「ABC殺人事件」。あれはミッシング・リンクなのか、と、始めはおもったのだけれど、早川の新訳「ABC~」の解説で、法月綸太郎先生がそうおっしゃっていた気がするので。 先週だったか、先々週だったか、京極夏彦先生の「狂骨の夢」をよんだ。京極先生の作品はこれで三作目、京極堂シリーズ二作目の「魍魎の匣」を始めに読み、それから戻って「姑獲鳥の夏」を読んだ。次は「鉄鼠の檻」を読もうと思う。 そんなわけで、京極先生の作品をこれで三つも読んだわけだ。我ながら関心する。よくあんな長いものを、と。しかも長いだけではない。非常に疲れるのだ。だから読み終わった後は、他の作品以上にぐったりする。 その理由を、最近までは長さと文体にあるのだろうと考えていた。しかし最近、もう一つの理由について思い至ったのである。少なくとも、自分の読んだシリーズ三作目までは、当てはまると思う。もちろんすべての作品を読み込んだわけではないので、間違ってるかもしれませんが、その場合は、何も言わずに哀れに思うだけにとどめて下さい。 とりあえず、「魍魎~」を例にあげてみる。この作品は、まず女子高生(中学生だったか?)の転落事故から始まるのだったと思う。駅のホームから、一人の女子生徒が線路に転落し、汽車に引かれる。彼女の友人は近くにいたが、ショックのあまりか、話がなかなか通じず、事情が聞きだせない。彼女も一命は取り留めたが、重症。箱型の医療研究施設だったか何かで、治療を受けることに。しかし、その病室から、彼女が姿を消してしまう・・・。 普通の推理小説は、この蒸発事件(いまどき蒸発なんて使わないか?)をとことん調べてゆく。連続事件ならば、その関係者が次の事件に巻きこまれるのだと思う。だがこの作品、次に続くのは、箱に入ったバラバラ遺体である。箱の方が繋がってしまう。その次はオハコ様とか呼ばれた怪しい宗教者は何者かについて。またもや、箱が繋がる。もちろん、全く関連性が無いわけではない。少し変わった、ミッシングリンクなのである。 つまりだ(何がだ)、同じテーマで、登場人物が同じで、話の内容がまるで違う推理小説を、3、4冊一度に読まされている気分になるのだ。「狂骨~」も、そうだった。そして解決を、これもまた一度にやるからまた疲れてしまうわけである。 そんな考えに、思い至った。だけど、疲れるからといっても、やはりやめられない。それは京極ワールドでもあるのだろうし、ミステリーの特徴ともいえる。ただ、父上は「魍魎の~」の良さは理解できないで居るらしい。私はなかなか楽しめたが(特に、占い師の癖に先祖をどうのこうの言ったりするのは畑違いだ、見たいな発言はびっくり。某占い師が有名になる前の話のはずなんだが・・・・・・)、多分、好きな人と嫌いな人の差が激しい作品だと思う。珍味みたい、と言っておく。 あらすじの方は、間違ってたらごめんなさい。ネタバレになってたら、ごめんなさい。 ところで(まだ続くのかと思った方、失礼します)、最近本屋へ出向くと、新装版をよく見かける気がする。まずは先月か先々月か(もっと前か?)から見かける、綾辻行人先生の「十角館の殺人」。次に、全集を出版する島田荘司先生。今現在はデビュー作の「占星術殺人事件」 等、全集I(欲しいなぁ)に収録される三作品が新書版で、店頭にならんでいる。以後も、ぞろぞろと出版されるだろう。そして最近、綾辻先生の館シリーズ二作目、「水車館の殺人」の改訂版を見かけた。そして昨日、有栖川先生の「マジックミラー」を見かけ、わずかながら興奮した。そういえば作家アリスシリーズのアリスの編集者の片桐さんが登場するのは、この「マジックミラー」からだったなぁ・・・・・・。つまり、この作品は、アリスと火村先生は登場しないが、学生アリスが執筆したという設定であると言える。はず。 まぁ今、名を挙げた四作品は、一応全て読んでいる。「マジックミラー」は、あまり好きではなかったが(基本的に学生アリスシリーズの方が好きなのだ。まぁこれはノンシリーズだけど)、その他の作品はどれもこれも名作ぞろいだ。まぁ、機会があったら、読んでみてくれたまえ。 さて、そろそろ終わるかな。こんな脈絡のない話に付き合ってくれた方、感謝します。次回はこないだ円紫さんシリーズを、おそらくはすべて読破したから、北村薫先生についてすこし話そうかな・・・。 それでは、また。 PS、学生アリスとか、意味わからんという方は前日記を参照のこと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011/08/06 07:01:36 PM
コメント(0) | コメントを書く
[小説読書録] カテゴリの最新記事
|
|