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カテゴリ:A級グルメ
奥湯河原から超特急のとんぼ返りで、夕方妻と落ちあう。 中学時代の友達からリバイバルプランに知恵を貸してと頼まれて、湯河原の老舗 旅館に浮き浮きと泊まりにいった。
しかしなんと嫁さんの誕生日とぶつかっていた。オー・マイ・ゴット。 妻は何も言わないものの、娘と息子から責められた。 曰く、「アンビリーアブル!!!」
ピンチはチャンスである。 ここで逆転打を放つのが、真のマーケターの醍醐味だ。
「今年は、たまには東京でずば抜けたフレンチを食べにいかぁ?」
「う~ん、フレンチ? でも、 どこのお店?」
おお、まんざらでもなさそうだ。
「ホラ、あそこ。一軒屋レストランの走りの、新宿、いや若葉町の・・・・」 「ええぇ、どこよ」 ほらほらあそこ。最近、すぐには単語が浮かばない。
「三國シェフのところ」 「ええぇ、あそこ。あそこならいいわよ。私も一回行きたかったのよ」
フムフム、以心伝心。長いこと夫婦をやっているとこういうこともある。 オテルドミクニ!!!!
久しぶりだ。ここを確か曲がったんだと思うけど。 あれ、いいのかな。住宅街の角を曲がるとそこには、どでーんと三國があった。 ああ、懐かしのミクニである。
三國さんとのご縁はかれこれ20年近く前になる。 当時は私がまだ輸入ワインの企画をしていた頃である。 三國さんの書いたオリジナルラベルをフランスワインに貼ってハウスワインにした。
市谷に姉妹店を作ったり、銀座と横浜にカフェをプロデュースしたり拡張期だった。 若葉町の一軒屋レストランにはウエイティングバーがあった。 コニャックとフロマージュをご馳走になった。髭を生やした三國さんはかっこよかった。
話を元に戻そう。 本日の持ち帰りメニューが座席においてある。 斬新な絵が壁一杯に絵が描かれた躍動的だが落ち着いた部屋である。
メニューのはじめにこう書いてある。 シェフ三國の創意により、メニューは毎日刺激的に変わります。
まずはアミューズ。ピーツと紫芋のタルト、その二色のエッセンス風味。 赤と薄紫の二色の対比が目を楽しませてくれる。
「こだわりの秋野菜たっぷりのエヂュベノグラチネ、手長海老・帆立貝・烏賊 のグリエ添え」がでてきた。
秋野菜の玉手箱である。一口大のズッキーニ、かぼちゃ、カブ、茄子、牛蒡、 ブロッコリー、蓮根がひとつひとつしっかり焼き目が入るくらい焼いてある。 それがポトフのようにスープ仕立てになっている。
スープは魚介類の旨味に野菜の滋味がにじみ出ている。 味で言うとイタリアンの魚のダシを閉じ込めたアクアピッツアのようだ。 これに生クリームとサワーでコクと酸味が隠し味になっている。
いくらすすっても飽きの来ない旨味が凝縮している。 なんと美味い秋野菜の魚介ブイヤベースだろうか。 手長海老・烏賊・帆立貝が美味しい。
メインは、「千葉県産牛もも肉のポトフ仕立て、ほうれん草ときのこの ブリカッセ添え」
まずは焼かれたビーフの塊を目の前でうやうやしく薄切りにしてくれる。 周りはしっかりした焼き色、中はピンク色。 下にほうれん草と秋きのこをびっしりと敷き、その上にビーフを芸術的に 重ねていく。
最後にとろみをつけたコンソメスープをかける。 仕上げは秋トリュフ。 目の前でスライスして載せる。
ああたまらない、トリュフの香りが食欲をそそる。 三種の天然塩と三種のお手製マスタードでいただく。 特に葡萄の皮をつぶして作った紫色のマスタードソースが最高。
牛肉ときのこ、トリュフのハーモニーが口いっぱいに広がる。 ああ、至福のときである。
こういうのを「口福」と呼ぶのであろう。
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