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カテゴリ:行列のできる店
江戸前てんぷらを食べたくなった。 築地には河岸で朝仕入れた新鮮な魚介類を揚げる天麩羅屋が何軒かある。 そんな中でB級グルメにお薦めなのが天辰である。
築地本店の他に八丁堀に支店がある。 支店もいい。綺麗で少しばかり広い。
だが、板さんが新鮮魚介をきびきびと揚げるのを見れる本店がやはりいい。 目の前で揚げるのを見れるカウンター席が6,7席。 あとはこじんまりとしたテーブル席。
ここの名物はのっけ盛り定食である。
まず海老、キス、かぼちゃ、ピーマン、その他季節の野菜を揚げてくれる。 これに赤だし、香の物とつづく。
まあ、なんのことはない。普通の天麩羅定食である。
と同時にドドーンと丼ぶりが運ばれてくる。 なんとそのど真中に馬鹿でかいかき揚が鎮座しているのだ。 そこに江戸風の丼たれがしっかりとかけてある。
この甘辛のたれが白飯に合うのだ。
要は、かき揚げどんと天麩羅定食が同時に楽しめるのだ。
これで千円でお釣りがくる。 なんとも嬉しい天麩羅屋である。
だから狭い築地本店は、昼時は行列ができる。
余談だが、カウンターの板さんは、皆、名札を正面にしっかりとつけている。 ただの名札ではない。しっかりと工夫が凝らされている。
出身地と趣味が書かれているのだ。
例えば、 東京出身 三岡 宏 趣味 焚き火と読書 と言った具合である。
だから夜、一杯気分で気持ちのよいおじさんたちは、 おお、〇〇さんは青森か。 青森のどこだぁ。 おらは、おらは弘前だぁ・・・・・ と会話が弾むのである。
昔、銀座の大衆マンモスバーで、確か黒薔薇とかいったのがあった。 ここはそれで繁盛していた。各県の出身ホステスを揃えていた。 だからお高い銀座でも、すぐにお客が打ち解けた。
まさに敷居を低くして、リピーターを確保する心憎い戦略である。
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