テーマ:近代化遺産を歩く(146)
カテゴリ:近代化遺産・検見川送信所
検見川送信所は1926年(大正15年)、東洋一の大電力無線局として開所されました。昭和5年には日本航空輸送のシラサギ、カリガネと無線で交信し、日本初の対航空機通信が実現しました。 同年秋のロンドン軍縮条約では、浜口首相の記念演説がここを経由し、世界に流されました。これは日本初の国際放送となりました。また、戦時中は暗号を前線に送るなど軍事上、大きな役割を果たしたのです。 そんな重要な産業遺構、軍事遺構である検見川送信所は、取り壊しの危機に直面しています。 以前も紹介しましたが、現状について新たに分かったことを報告したいと思います。 区画整理を担当する千葉市検見川稲毛土地区画整理事務所に話を伺いに行きました。 同事務所は文字通り、稲毛区、検見川のある花見川区にまたがる区域の土地の整理を担当しており、同地区の下水などライフラインを整えるため、土地の買収、交換などを行っているそうです。 周辺地図を拝見したのですが、送信所はまさに区画整理の対象地区の真ん中に入っていました。 土地はもともとNTTのものでしたが、平成2年に千葉市とNTTが土地の交換を行い、所有権が市に移ったということです。 将来、送信所の辺りは23140平方米の中学校に、付属するグラウンドは30011平方米の公園にする計画。これが実行されれば、送信所は取り壊す見込みといいます。 ただ、少子化にある今、緊急性は低いと見送られています。市の教育委員会からの要請があれば、取り壊しが実施されるでしょう、との回答でした。 以下は僕と担当者のQ&Aです。 保存する話はなかったのでしょうか? 「以前、話が上がったようですが、お金の問題で難しいと判断された、と聞いています」 具体的な見積りは行ったのでしょうか? 「10年以上前のことで、私も詳しいことは分かりません」 移築というアイデアもあると思いますが? 「詳しくは分かりませんが、それも難しかったのではないでしょうか」 歴史的にも貴重な建物を壊すのはもったいないですよね? 「NTT関係者を中心に一部から、そういう声が出ていることは把握しております」 中学校にするという話ですが、予定地から500メートルの場所に稲毛中学校がありますね。この地区に2つの中学は必要はないのでは? 「先程も申し上げたように、現在すぐに着手の予定はありません」 これは僕の単なる推測ですが、送信所は市に所有権が移ってからも『オニッコ』的な存在だったのではないでしょうか? 頑丈な建物ですから、取り壊すにも、修復・管理するにも、お金がかかる。 それに、文化的な意味がある一方、幽霊スポットのように言われ、浸入者も少なくない。 ややこしい存在だから、あえて踏み込まない。そんな風にやりすごされてきたとしか思えないのです。 僕は、この建物を保存し、広く知ってもらいたいと思っています。 しかし、千葉市は巨額の財政赤字を抱えている一方、秋にオープンする官民複合ビルQIBALL(キボール)というハコ物造りに金をかけており、難しいのではないか、という意見もある方から伺いました。 しかし、取り壊しまでには若干ながら、時間があるのです。どこかにいい方法は必ずあると思います。 市外の方でも、保存すべきだと思われる方がいらっしゃったら、お知恵を貸してください。はっきり言って、僕だけではどうにもならない話です。 建物への感想でも構いません。まずは、この存在を知ってもらうことが大事なんじゃないかと思っています。 写真はCaplio GX100で撮影。 《新品》RICOH Caplio GX100 VFキット Map価格 56,000円 (税込 58,800 円) 送料別 去年の日記は? 2006/07/27 石窯のダクトを耐熱パテで埋める お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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