テーマ:近代化遺産を歩く(146)
カテゴリ:近代化遺産・検見川送信所
取り壊しの危機にある吉田鉄郎氏設計の近代化遺産は、検見川送信所だけではない。
東京駅南口にある東京中央郵便局、大阪中央郵便局にも高層ビル化計画が持ち上がっている。これはリンク先のまさやんさんからの情報だった。ありがたい。 東阪の中央郵便局は郵政建築の基礎を作った吉田氏の代表作だ。 東京駅は毎日のように通過しているが、先日、途中下車してみた。 中央郵便局は一見すると、飾りはなく、際立った特徴があるわけではない。そういう意味では玄人受けする建物かもしれない。 東京駅南口から 吉田氏の逓信省時代の同僚で分離派メンバーの山田守氏はこう評した。 「今日の建築は、その機能に即しそしてもはや機能に関係なき虚飾を捨てることにおいて消極的ではなく積極的である。金が足りないので虚飾費が不足するからそれをやめるのではなく、そんなものは建築の邪魔になるのである(中略) 今度の局舎も大体かような機能に即した美しさを求めているようだ。外部の白色、大きい窓は今日の明快な時代的要求に適応したもので、遠くこれを望むだに愉快を感ずるのである。そして防水的耐久的なタイルをもって包んだことは、清潔で愉快である」(「新建築」より) とはいえ、関東大震災の影響で予算が削られ、設計変更を余儀なくされた事実はある。 窓の配置、建物の曲線などシンプルながら繊細。最後は清純の境地にたどり着いた吉田氏の建築哲学の塊のような建物だと思う。 「分離派建築博物館」のきくちさんによれば、検見川送信所はこの窓の配置などで東京中央郵便局に通じるものを感じるという 検見川送信所の裏面窓 同 窓アップ 遠目では分からなかったが、近づいてみると、ネットが周囲を取り囲んでいる。職員に聞くと、崩壊の恐れ(実際に崩壊したかは不明)を指摘され、2年前から設置したという。本来は真っ白なタイル張りだが、全体にグレーがかって見えるのが残念だ。 雨の中、一周回ってみたが、崩壊の気配はない。 むしろ、東京駅の方が深刻だと思ったら、駅舎の南口の一部は仮囲いをするなど修復・保全工事の準備が進んでいた。 東京中央郵便局にはいい兆しも見えている、という。超党派の国会議員が6月、取り壊し反対に動いた。問題は大阪中央郵便局の方らしい。安藤忠雄氏も著書で大阪の近代建物の取り壊しを嘆いていたが、実際、大阪の取り壊しのスピードは早いようだ。 来週、大阪に行く予定。大阪中央郵便局を撮影してこようと思っている。 日本初の国際放送を行うなど日本の通信に大きな貢献をした近代化遺産・検見川送信所が取り壊しの危機にあります。これを保存、再生できないかを考えるプロジェクトです。 賛同してくださる方は以下のソースを貼り付けてください。 <a href="http://moleskine.air-nifty.com/photos/kemigawamusen/" target="_blank"><img src="http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/47/0000060947/20/img2159e7f1zik6zj.jpeg" width="170" height="60" alt="musenhozon.jpg" border="0"></a> 去年の日記は? 2006/9/5 レッドシダーで自転車置き場作り~スノコの利用 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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