テーマ:近代化遺産を歩く(146)
カテゴリ:近代化遺産・検見川送信所
検見川送信所は日本に現存する送信所建築では最古のものになるようです。1930年には日本初のラジオ放送も担ったわけですから、その存在は大きい。
kemigawa 1926 では、そのルーツはどこにあったのか? 検見川送信所は、同じ逓信省営繕課の山田守氏が作った岩槻受信所(1924年、埼玉県、現存せず)をモデルに、吉田鉄郎氏が設計した、と言われています。(「分離派建築博物館」) iwatsuki 1924 送信所と受信所は対をなす存在だったようです。先に、山田守の表現主義風の建物があり、同じく営繕課にいた山田氏がそれに呼応したという説です。 この件には先日、お話を伺いにいった「建築虎の穴見聞録」の大嶋信道さんも、興味深い指摘をされています。 建築虎の穴見聞録 「送信所はいってみれば、ハイテクを装備した当時の最新建物なんです。前例がないことだから、それをどう作るかは建築家も頭を悩ませたことでしょう」 そういって紹介したのが、下の写真。オランダのラジオ放送局です。ジュリアス・マリア・ルスマンという建築家が設計したもので、1920年から22年にかけて作られたようです。 Radio_Kootwijk 1922 「営繕課では、世界の建築物の資料を取り寄せていたと思われます。この建物のことも知っていた可能性が強い」と大嶋さんは言います。 「分離派建築博物館」のきくちさんが作成した資料にも、この建物は載っています。きくちさんの分類によると、ドイツ表現主義の流れにあるもので、アムステルダム派と呼ばれるグループに属するようです。 まったくの素人の私見ですが、このオランダの放送局は角ばっていて、アールデコの趣があるように思えますが、形状には共通点が見受けられます。 では、これを手本に、吉田鉄郎が検見川送信所を設計したのか、といえば、そうでもないように思えるのです。 というのも、吉田氏はこれに先駆け、1919年に東大の卒業設計で似たようなデザインの「美術協会」という建物を発表しています。見比べてみてください。 オランダの放送局のフォルムと非常に似ています。検見川送信所との類似点もあるでしょう。 「建築世界」という雑誌にも掲載されたようです。 出展元 建築家吉田鉄郎とその周辺 このオランダのRadio Kootwijkは今も現存するようです。 wikiによれば、人口120人の小さな町にあるようです。短波、長波を流し、無線技術の発展に大きな役割を果たしましたが、最後は衛星通信に取って代わられ、その役目を終えたようです。検見川送信所と同じような運命をたどっています。現在は公園になっているようで、04年にはレーニン・ハーリン監督のアクション「マインドハンター」のロケに使われた、と書かれています。 マインドハンター オランダ語で読むことはできませんが、公式ページも存在します。 Radio Kootwijk 鉄塔、蜘蛛の巣状に張られた空中線などの写真が掲載されていました。 日本初の国際放送を行うなど日本の通信に大きな貢献をした近代化遺産・検見川送信所が取り壊しの危機にあります。これを保存、再生できないかを考えるプロジェクトです。 賛同してくださる方は以下のソースを貼り付けてください。 <a href="http://moleskine.air-nifty.com/photos/kemigawamusen/" target="_blank"><img src="http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/47/0000060947/20/img2159e7f1zik6zj.jpeg" width="170" height="60" alt="musenhozon.jpg" border="0"></a> 「検見川送信所を知る会」では仲間を募っています。入会していただける方はこちらのメールフォームから「入会希望」と明記の上、 お名前(ふりがな): ご住所:〒 電話番号: メールアドレス: をお知らせください。 メールマガジン「検見川送信所J1AA通信」を購読していただける方は以下のURLからお申し込みください。 http://www.mag2.com/m/0000246340.html バックナンバーも読めます。 検見川送信所についてはここで過去記事をまとめています。 去年の日記は? 2006/11/23 隠れ家(工房)作り~(31)~トラスを外す&はしごハウス工法 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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