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テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:子供との戯れ
去年の話になるんだけど、Tiffanyがプエルトリコの西側にある、 La Pargueraという所の、私達のトレーラーハウスでシャワーを浴びている時に、 ふざけていて滑って転倒をしてしまい、後頭部を切る怪我をしました。 慌ててPonceにある救急病院で頭を縫ってもらったと言う事件がありました。 その後何日か経って、 Tiffanyの抜糸の為に、学校が終わって帰って来てご飯を食べて一息ついてから 私達がたまに行く、内科医のDr.Dの下へと連れて行きました。 このDr.Dは、一応子供から大人まで診てくれる Internal medicine(内科)のお医者さんなんだけど、 何故か注射などの予防接種はしない先生なの。 場所的に家から物凄く近くて便利なんだけど、(ほんの1,2分の距離よ!) 予防接種をしないから検診も出来ないんだよね。。 それから理由は後で書くけど、 Dr.Dの所へ行くと、待ち時間も診察時間も、異常に長い! 待ち合い室に居る人2人位でも、待ち時間1~2時間は当たり前なの。 前にMichaelがお腹が痛い時に、緊急でこの先生の所へ連れて行った時に、 直ぐ診てくれると言ったのに、待合室には私達ともう一人だけが居たのに、 1時間経っても全然呼ばれなくて、後からも何人か来たけど、 私達が、もう1時間以上待っているし、全然前に進まない。と言ったら、 具合悪くて青い顔をした子供を連れて、引き返して行った人も居たんです。 その後Michaelは、痛みが治まらないのと、一向に呼ばれない事に苛立って泣き出す始末。 だからこの先生はもう、懲り懲り!と思ってたんです。 そういう訳で、私が風邪を引いたりして具合が悪い時だけ、 処方箋を貰いたいので、その先生の所へ通っていたんです。 小児科の先生は、学校帰りに迎えに行ってそのまま連れて行ける。という事で、 ちょっと家から離れているけど、学校から目と鼻の先の、 ベテランの小児科の先生が掛かり付けになっていたんです。。 唯、この学校へ行くのが大変で、渋滞が無ければほんの10分少々の場所なんだけど、 夕方のラッシュ時なんて、1時間以上かかっちゃう。って言うのが難点だったんです。 それでは何故今回、TiffanyをDr.Dへ連れて行ったのかというと。 “たかが抜糸” という簡単な理由から。 抜糸如に、わざわざ一時間以上も、渋滞の中を運転して行くのは厄介だったから。 幾らあの先生でも、 抜糸位,直ぐにちゃっちゃっとやってくれるでしょう~。。 と,高を括っていたら大間違いでした。 夕方抜糸に連れて行った時に、 私:「先生、Tiffanyの後頭部の抜糸をして欲しいんですけど。」 って言って、Tiffanyの後頭部を見せた時の、 Dr.Dの“困惑の顔”を、私は見逃さなかったのよね。。。 そして彼の言った言葉が、 「あららら。。。さっき居た子も抜糸で来てたんですよ~。。。。 でもねぇ~、、、、今日はもう消毒済みの道具が無いから、出来ないんですよね。。。。」 と、まぁ~何とも頼りない返事。 私:「はぁ~。。。そうなんですか。。。」 Dr.D:「明後日だったら出来るから、木曜日に連れて来て下さい。 唯その前に、幹部を消毒液で何度も、柔らかいコットンなどで拭いて、 かさぶたをはがす様に心がけておいて下さい。 その方が抜糸の時に、皮膚がつれる事が無く済みますから。」 と言いました。 抜糸の時に、こんなに構えちゃう先生も珍しいなぁ。。。と その時ちょっと不安になった事は確か。 今まで抜糸を何回か経験しているけど、 皆簡単にパッパッって終わらせちゃってたから “この先生大丈夫かいな?” って考え始めちゃった。 何か自信無さ気で、これじゃ~患者が不安になるよね。 おまけにこの先生の話し方が、 まるで結婚式の、クソ長いスピーチを聞いている時のように 睡魔を誘う話し方なの。(=o=)(=。=)(=w=)~~zzZZ 「あんた寝起き?」 って聞きたくなる位に、ぼ~~~っとしてて、動作もゆっくりで、 話の合間に 「Uh~~~~(あ~~~)。。。。 Uh~~~(あ~~)」 が、やたらと入る! それだけでなく、 同じような内容の話を、この“催眠モード”で何度も繰り返すんだな。 故 大平前総理が、「あ~~~う~~~~」で有名になったけど、正にあんな感じ。 これって聞いている方にとっては、じれったくって苦痛で仕方が無い。 せっかちの私にとって、イラつく事この上ないの。 とまぁ、話がちょっと横道に外れちゃったんだけど、 何となく不安なまま、診察室を後にしました。 そして2日後の夕方、 “どうか、Dr.Dが上手く処置を施してくれますように!” と祈るような気持ちで行って来ました。 事前にTiffanyには、 「今日は、抜糸に行かなくちゃ行けないんだよ。 この間エマージェンシー・ルームで縫った時の様に、注射をしたり 痛い思いはしないから安心してね。」 と、その日の朝から何度も言い聞かせ、 お気に入りのぬいぐるみを持たせて行きました。 診察が終わる30分前が良いと、先生が言うので、 その通りに終わる寸前に行くと、私達が最後の患者の様でした。 待合室では、Dr.Dが患部を何度も消毒液で拭く事に気を使っていたので コットンと消毒液を持って行き、待合室でも患部に当てていました。 ところが初めは警戒して、それすらも嫌がって抵抗するTiffany。 私:「それじゃー先に、Tiffanyがマミーの頭をこのコットンで拭いて頂戴。」 と言ったら、あっさりOK(笑) 得意顔で一生懸命に、消毒液で湿らせたコットンで私の後頭部を拭いています。 私:「はい。今度はTiffanyの番~♪」 T:「OK~♪」 自分の頭(患部)にコットンを当てて喜んでいます。 “よしよし。。。リラックスしたみたいだから これなら上手く行きそうだわ。” と内心安心していました。 Dr.Dが自らドアを開けて姿を現し、今一力ない声で 「T~~iffany~~~」o( _ _ )o...zzzzzZZ と呼んだので、Tiffanyに、 私:「直ぐに終わるから頑張ろうね。」 と言って診察室へ入って行きました。 ところが、 ゴム手袋をはめた、Dr.Dの仰仰しい姿を見たTiffanyは、 半分パニックになり、一気に態度を硬直させて私にしがみついた。 「大丈夫。糸を抜くだけなのよ。 マミーを信じて、リラックスしようね。」 そう言っても、もう殆ど聞く耳持たず状態。 ここからはTiffanyの性格がそのまま出るよう、あえて原文で載せました(笑) T:「No!I don't want it! Stop it!」 (やめて! ヤダヤダ!) そう叫びながら、足をバタつかせて大抵抗。 私:「Tiffany,no matter how much you cry the doctor still has to take out your stitches.」 (Tiffany、どんなに泣いたって抜糸はしないといけないのよ) T:「NEVER! I hate you!」 (絶対に嫌よ! マミーなんか大嫌い!」 “NEVER!”は、当時のTiffanyのお得意の言葉。 困惑顔で Dr.D:「But Tiffany, I'm only trying to help you. You don't want the stitches to stay in your head forever do you?」 (Tiffany,先生は何も痛い目に遭わせるつもりは無いんだよ。糸をずっと頭に残しておくのは嫌だろう?) すると、 “糸をずっと頭に残しておくのは嫌だろう?” の言葉に反応したのか、急に脱力して言うなりになった。 意を決したような目で、私の顔を見上げている。 どうやら開き直ったようだ。 先生はハサミを、いつものゆっくりとした動作で手に取り、 Tiffanyはコアラのように、私にしっかりとしがみついている。 先生もそれなりに気合を入れて、 私に、「絶対にそのまま動かないように」、と指示をする。 私ははっきり言って、Tiffany以上に緊張していた。 ゆっくりとハサミを、後頭部に近付けて行く。 私は息を殺して、食い入るようにハサミの行方を目で追った。 微妙に震えるハサミが、更に私の緊張を高める。 プチ、プチ、プチ、と簡単に抜糸が出来た。 「ほら!もう終わったよ!」 よほど嬉しかったのか、興奮気味に早い口調で話す先生。 そして、 晴れ晴れとした笑顔。 ゾ、ゾンビが生き返った!( ̄▽ ̄;)!! 私は初めてこの先生が、生きているんだと悟った。 私の緊張の糸も、 Tiffanyの抜糸と共に解れた。 先生も、私も、Tiffanyも、 そして、心配そうに見守っていた受付のおばちゃんまでもが、 皆、頬をバラ色に染めて笑っていた。 今までの鈍く重かった部屋中の空気が、 急に軽く新鮮になって、私の身体に取り込まれて来た気がした。 先生は私達が帰る時も、 生き生きとした笑顔で手を振りながら、いつまでも見送ってくれていた。 頬が熱く紅潮したまま、笑顔で帰った私達だったが、 その後、この先生の顔を見る事は、 二度と無かったのであった。 【完】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/09/30 06:28:00 AM
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