東大の秋入学は挫折か?
昨年から言い始めた東大の秋入学案はどうも挫折したようだ。それに追従した有名大学は、梯子を外され、どうするのだろう。東大が足踏みを始めたから、また「右にならえ」で、当分間は4月入学が続く。 最大の原因は国民の意識にあるのではなかろうか。島国根性と言うのか、唯我独尊の国民が結構居るのだろう。9月入学が良いなどと、多くの人が考えも発言もしない国民である。 秋入学は一部の大学が変えるべき問題ではない。社会全体で、一斉に変えないと、無理が多く、その点文部科学省と言うか、国そのものが、秋入学を考えていなかったように思う。 が、実は、20数年前に政府の臨時教育審議会で提言されて以来、ずっと議論はして来たようだが、烏合の衆で、全く前進していない。 経済界は当然ながら、各界でそれぞれのグローバルを叫んで、もう何年になるのだろう。特に教育では、その最大の見える欠点は入学時期なのだ。世界でも珍しい4月入学など、何時までも固執していては、日本人が世界の主要民族から、脱落すると思うのだが、誰もそう感じない国民も多いようだ。 因に各国の入学時期だが、1月=シンガポール1月末~2月初め =オーストラリア、ニュージーランド3月=韓国4月=日本、インド5月=タイ6月=フィリピン9月=アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ベルギー、トルコ、モンゴル、ロシア、中国 となっており、1月入学の国は、南半球だし、シンガポールは常夏の国だし、要は一番長い夏休みの後に入学式を持って来ているのだ。 韓国は日本から独立した時に、4月では独立の意味も薄いから、3月にしただけ。9月入学は世界の70%であり、4月入学はインド等3%しか無い。教育暦を世界の先進各国に合さないと、我々が遅れるだけなのだ。 そして、入学時期は社会全体で変えると、それほど大きな隘路は発生しない。簡単に変革できる。 今、日本で一番の東大が、世界ランキングで25番でしかない。10年前は12番だったのに、毎年毎年ドンドンランクが落ちて行く。 これは近い将来、日本が没落して行く証拠である。人口1億3千万の先進国なのだ。日本のトップが世界の4~5番に、悪くても10番位に居ないと先進国を維持できない。 民族の隆盛に一番大切な教育が、世界のトップ集団に入れず、先頭が遥か向こうを走っているようでは、その民族は当然ながら没落して行く。これが世界の掟である。その最大の見える理由は4月入学なのだ。 先ず土俵を同じにして、交流を蜜にして、お互いに切磋琢磨する必要がある。教授の国際移動から始まって、日本人学生の海外留学も困るし、海外からの優秀な留学生の受け入れでも困っているのが、4月入学なのだ。 この世には変えてはならないものと、変えなければ陳腐化するものがあるが、教育でも永遠不変の理念は幾らでもあるし、変えては成らない。が、学期等は、変えても良いものだし、変える事で、制度の陳腐化を防ぎ、変革して行ける。 一年でも早く9月入学にして、世界に伍して行ける制度にしないと、日本は取り残される。 それが出来ない一番の理由は、国家の会計年度が4月1日から3月31日と成っているからなのだが、本来なら、これを変えるべきなのだが、公務員は保守的で前例の無い事をしたくない。 1か月も掛けて、船で海外に行く昔なら、時期の問題はどっちでも良い事だったが、今は飛行機で、世界の何処にでも、ほぼ1日で行ける。このような時期だから世界中が同じ年度にする方が、便利なのは間違いない。 まあ、だけど、今回の東大の秋入学は、社会に一石と投じた事になった。その余波で、国が、国民が段々と動く事を願っている。だけどホントは、そんな事を言う時間的余裕は無い。