共通語とは何語が理想だろうか
インドネシアにはジャワ語、スンダ語、マレー語など、それぞれ6000万人、2300万人、1800万人が使っており、さらに約740種の島々の言葉があるという。国民が意思疎通に欠くことから、70年ほど前に何十人もの言語学者を集めて、調べ上げた結果、マレー語の中で約2万人が使っていたヤーバ語を主体に品位を上げつつ、単語を増やし、規格化された人造語を作りあげ、現在の共通語であるインドネシア語ができました。一字一音、六つの母音、アクセント無し、子音と母音を組み合わせ、語順や時制法はいたって簡単で、動詞に昨日を足すと過去となり、明日を付けると未来になる。接頭接尾語によって新語が増殖できる。インドネシア語と呼ばれる人造語の構成は、アジア版のエスペラントを彷彿させるものがある。 スカルノ大統領は、「一つの国、一つの民族、一つの言葉」を独立悲願の核として、全国民に徹底的に義務教育で教え、きわめて短期間に全国民の意思疎通を可能にした。今では世界で五番目に使用人口の多い国語となっている。それを徹底して義務教育したのが、スカルノ大統領だったのです。いま、約5,000万人が生まれながらインドネシア語を喋り、740種の島の言葉が併用して使われ、世界初の二言語国家として成功しています。子供たちが不利にならないよう、両親のいずれかが家庭で幼児に共通語で話しかけるからです。何の努力も必要ないわけです。もし、インドネシアで、使用言語が一番多いジャワ語を採用していたら、この成功は無かったかも知れません。其処に言語の差別が発生するからです。僅か2万人しか使っていない言葉を採用したスカルノの政治性に成功の秘密があるのではないでしょうか。以上は私の3番目の兄の原稿です。兄は55歳からエスペラントを習い、今ではEU各国の一流新聞に、エスペラントをEUの共通語に採用するよう呼びかける広告を打ち続けています。兄は収入の2割で生活をし、8割をその広告に当てているようです。