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ひよきちわーるど

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2006.03.30
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カテゴリ:生と死

不惑の年を迎えたばかりのこの春
今までは少し違った気持ちで 桜の花を見上げたことでした。

ようやくこの年齢になれたのだと
ほんの少し安堵しているのです。




昨年の夏 「連鎖」という題にて日記を書きましたけれど

何故か私の親族は
30代で幼い子どもを遺し亡くなるケースが多いのです。

直系だけで考えてみましても
ここ3代さかのぼりましただけで60~70パーセントの割合です。




このことに気付いたのが実家の父でした。

父は「自分は絶対に早死にしない」と心に決め
今では62歳の優しいおじいちゃんになっています。

父のそのような言葉を聞きました時期と、
私自身、かかりつけのお医者から
「○○さんは早死にする典型だ。」と言われた時期とが重なりまして
一時期、深く悩んだ時期もありました。

・・・この親族の中に生まれ、嫁いでいく人も
そしてこの親族に嫁いでくる人も
何故そのような連鎖に苦しまなければならないのだろうかと
思ったことも事実です。





成る程 そのように
早く亡くなってしまうという遺伝子を受け継いでいるというのも
理由のひとつには挙げられるでしょう。

そのことにつきましては異論はありません。
その通りだと思うのです。

しかし、それでは何故そのような遺伝子を持つ個体として
自分は生を受けなければならなかったのかを考えますと
(これにつきましては甚だ仏法的な考え方ではありますけれど)
そこには「宿業」という考え方が出てくるのではないかと思ったのです。





父が親族のこのような事実について 私以外の子ども・・・
例えば私の弟ですとか他の妹たちに話しているかどうかは知りません。

もしも、この話を長女である私だけに話しているとすれば
それは「長女だからしっかりしなさい」という父の気持ちと

そしてもうひとつ
4人いる子ども達のなかで一番身体の弱い私への
「早く死んではいけない」というメッセージだったのかもしれないと思ったのです。




仮に父が弟や妹たちに話していたとしましても
弟たちは非常に楽天的な性格でして(笑) 
神経質な私とは全く違います。

ですから彼らは 父から親族のことを聞いたとしましても
「そんなの偶然だよ!気にしない!」などと
笑い飛ばすことと思うのです。

それでいいと思うのです。
こういうことなど、余り考えすぎることではないのですから。




けれど私に限って言えますことは 30代に入りましてからというもの
父の言葉が絶えず自分の心にありました。

そして私も父同様「自分は絶対に早死にしない」と決め
この10年間を過ごしてきました。





・・・夫に言われて 私、初めて気付いたのですが
私自身、表面的には非常に神経質で
悲観的なものの考え方をするそうなのですが
内面の奥の方では 信じがたいほど楽天的なのだそうです(*^_^*)

一体何をそこまで・・・と思うほど
良いことしか考えていないそうでして(笑)。


言われてみましたら
確かに私自身、そういう面があるなと思うのです。

神経質であるべき所では思う存分神経を張り巡らしますけれど
根本的な部分におきましては「自分は絶対に幸せになる」と信じ
つよく生きるしかないと思うのです。

だって「衆生所遊楽」。
私たちは幸せになるために生まれてきたのですから。






齋藤史さんの「ひたくれなゐの人生」

京都の書店に注文致しまして
我が家に届きましたのが
私が40歳になる数日前のことでした。

その本の中にね こうあったのです。




あがきの強い人と弱い人はあるわね、たしかに。
それほどに突き詰めないで、ポカポカと環境にのっていける人もある。
そういう性質の生まれつきの方が楽ね。
だけども、人間にはあがく価値というのがあるような気がする。


           齋藤 史 「ひたくれなゐの人生」






この部分を拝見しましたとき、不覚にも落涙してしまったのです。

この10年間、父の言葉が常に心にあり
私自身、いつもいつも藻掻いていました。

長生きできるだけの健康がほしいと願いながらも
現実には持病を抱え 
時には全身みみず腫れになりながら床につく日もありました。

宿業から逃れる術はないのかと天を仰ぐときもありました。





確かに過ぎてしまえば この10年間
あっという間のことではありましたけれど
この間、実に様々なことを考えました。

斉藤史という歌人に出逢いましたのも この30代の頃です。




確か月刊の短歌誌だったと記憶しておりますが
その中に齋藤氏の歌が紹介されていまして その中の一首


死の側より照明せばことにかがやきて
       ひたくれなゐの生ならずやも



この歌に目がとまり 
私にとりまして忘れがたい一首となりました。



今 生きているこの時に完全燃焼せずしてどうするかと、
ひたくれなゐに生きてみよ、と
氏に叱咤されているように思ったのです。

もちろんその叱咤も
あたたかく慈愛に満ちたものでした。







「除外例なき死といへるもの」と茂吉が詠いましたように
私たちはいずれこの世から姿を消します。

死は誰にとりましても一定なのです。



ずっと以前「ひよきちわーるど」にて書きました
「天に対して」の中にも書き残しているのですが
死を思うことは即 生を深くすることだと思うのです。

だからと言って 
いつもいつも死を怖れているということではありません。
自分の限りある生を思うからこそ
今、生きている瞬間を大切にしたいと思うのです。




数年前にもこのサイト内にて書いたと思うのですが
自分自身幼稚園生だった頃 実に不思議な夢を見たのですね。

自分ともう一人の人が宇宙空間に浮かび
その人が「今度はあの星にするか?」と私に問うてくるのです。

そんな私の前には蒼く輝く地球。

その星を見て 私は「うん、悪くない」と思うのです。




当時 手塚治虫氏の「ブッダ」に夢中になっておりまして
おそらくはその影響なのでしょう、

その証拠に「今度はあの星に?」と問うてきた人は
出家したばかりのシッダルタだったのです(笑)。



死んでいる状態というのは
あんな感じなのかなと子供心に思ったものでした。

だって普段の生活の中では
いつもいつも地面の上に立っているわけでしょう?

けれどその夢の中では
暗い宇宙空間にぽっかりと浮かんでいるんです。

心許ないこと限りなし(笑)。






法華経では 自分の欲する場所に
自分の欲する時に そして自分の欲する姿でもって
再びこの世に生まれ出てくると説きます。

神や仏が決めるのではないのですね。
あくまで「自分が決める」のです。

法華経のそういうところが好きです。





だからね 思うのです。

今 自分が病弱であることも
情けないくらいに神経質であることも
自分が望んできたことなのだと。

こんな病弱な自分であってもこんなに幸せになれるのだと
こんなにも長生きして人のために尽くせた一生だったのだと
そう証明していくための自分の人生ではないかと。





神仏に縋るのではなく
自分の人生は自分で構築していくしかない。

「神仏は自分の外の世界に在る」と思った時点で
既に誤った考えであると思うのです。


日蓮曰く「本仏と云うは凡夫なり迹仏と云ふは仏なり」

どの宗教におきましても 普通は
私たち人間の上に神仏が存在していると思われがちではありますが
法華経におきましては 神仏は人間のために働くべき存在であるにすぎないと喝破しているのです。

考えてみましたら 宗教の腐敗というものは全て
「神仏が上 我ら人間は下」という考えから
引き起こされるものではないかと。




「人間以上のもの」は存在しない。

いや、自分を遙かに超えるものは
自分の中にもともと在ると思うのです。

そのことを言い切る法華経に惹かれます。







今 ようやく40歳。

もうこの年代になってしまったのかという思いと
いよいよこれからとの思いが交錯しています。

現実を見てみましたら実に様々な問題が山積してはいるのですが
倦むことなく着実に前進していきたいと思います。






ようやく迎えたこの春。

多くの思いを胸に 自分に対する確認として
数年前に書き残していた日記の一部を掲げます。







自分という者を考えるとき、
その自身を取り巻く環境というものは一切関係ない。

自分が何処の集団に属しているのか。
どんなことができるのか。
財産、地位、肩書き。そんなものなど一切関係ない。

そんなもの 死を前にしては何の力ももたない。


自分は何を考えたのか。
どう行動したのか。
何のためにそのような行動を起こしたのか。





自分の人生の時間は こうしている間にもどんどん過ぎてゆく。





同じ生きるのであるならば 
天に対して恥ずかしくないように生きていたい。

そして「良い生き方をさせてください。」と
祈り続けていたい。





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Last updated  2015.10.27 10:04:20
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