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ひよきちわーるど

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2006.04.09
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カテゴリ:パパに


春の国はおぼろに暮れて花蔭の

       君にあつまる夕光かな


               川田 順






ちょうど11年前の春の頃
夫に手を引かれ 近所の公園を散策したことがありました。

その頃 私は妊娠5ヶ月で安定期に入り
つわりの辛さからようやく解放されつつあった時期でもありました。



淡く香る桜を見上げ
その桜の花に顔を近づけ

桜花の中心は仄かに濃い色であること
こんなにも甘く香る花であったことなど
今更ながら初めて知ることばかりでした。




2人で手をつないで歩くその公園内のベンチに
お年を召された方が座っておられます。

どこか懐かしげな表情でこちらをご覧になっています。


・・・その方を見て
ふと(何十年か後の私なのだ)と思いました。


何十年も経ったあと 
娘を嫁がせ夫を見送り 独り公園のベンチに座るとき
私の胸には一体何が去来するのだろう、と思いました。






夫とはお互い18の時に 大学の入学式で出逢いました。

在学中には余り話したりすることもなく
卒業式の翌日にいきなり交際を申し込まれ
その翌々日には夫は兵庫に、そして私は宮崎に戻っていったのでした。

遠距離恋愛は5年におよび その間、逢えたのはたった5回ほど。

実家の妹たちからは「無謀だ。」と言われたりもしましたけれど(笑)
夫となる人は 心がきれいな人であればそれでよいと思っておりましたので

確かに様々不安はありましたが 
一人 この関西に嫁入りして参りました。





ケンカもしたことがなければ デートらしきものも1度だけ。
お互い、好みも何もかも分からないことばかりだったのです。


結婚生活を始めて
こんな顔で笑う人だったのかと思ったり

夫の寝顔を見ながら こんな風に眠る人だったんだ・・・と思ったり

歯磨きする姿も珍しくて思わず写真に撮りましたり

間近で見る夫の背広姿に見とれたり(笑)。


お互い それまで他人行儀な姿しか見ていなかったこともあり
随分面食らったこともありました。






今までいろんな事がありましたけれど
ようやく13年です。

いや、まだ13年と言うべきなのかもしれません。


仕事から帰ってきた夫の肩を揉むとき
月の明るい晩に 夫の傍らで眠りにつくとき

こうしてこの人のそばにいられるのも
あとどれくらいなのだろうと思う時があるのです。



おそらくは前の世の私も こうやって
夫のそばでこんな風に過ごしていたのかもしれないと思います。

そして夫を見送りました後
独りで 随分と淋しい思いをしたのだろうと思うのです。








同僚の方が夫のことを
「武士のような風貌」と仰ったことがありました。


・・・そうかもしれないと思いました。

普段はとても怖い顔をしておりまして 別段怒ってもいないのに
人様からは「何を怒ってるの?」とよく訊かれるそうなのです。


けれどひとたび笑えば
こんなにも優しい眼をする人だったのかと思う。







無骨な感じのする夫に
そして温もりを秘めた夫に

私はずっと恋をしてきたのかもしれません。











結婚して50年経てば ようやく金婚式。





結婚して14年目であることを思いますとき

夫と私は今 春の季節を通り抜け

これから
若葉薫る新緑の時期にうつっていくのだと思います。


















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Last updated  2015.10.27 09:35:25
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