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ひよきちわーるど

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2006.08.22
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カテゴリ:パパに

10代後半の頃、よもや自分が結婚するとは夢にも思っていなかった。
実家の両親だって、心の中では
私の結婚について半ば諦めていたに違いない(笑)。

弟にしたって真面目な顔で話しかけてきたかと思えば
「お姉ちゃん、僕のかわりにこの家を継いでくれ。」などと言ってくる始末。

その理由を問えば「お姉ちゃんならずっとこの家にいると思うから」と
馬鹿正直に答え 私にしばかれてしまった。



私自身、とても引っ込み思案で人前にでるのが苦手。
話し方もスローでのんびりしている。
自分を出すのが下手で 感情表現に乏しい。

だから大学の入学式の朝、後に夫となる人に初めて出逢ったときにも
彼の太陽のような明るさが眩しかった。
自分自身とあまりに対照的だったから。


夫とは大学を卒業してからお付き合いを始め
恋愛期間中は1年に1度しか逢うことができず
お互いのことをよく知らぬまま結婚生活をスタートさせたのだった。

お付き合いをしているときだってお互い敬語で
とても緊張し、ぎこちなかった(笑)。
心の中で「この人と本当にやっていけるのだろうか」と不安に思ったりもした。


・・・そんな不安を取り除いてくれたのが
他ならぬ夫の天真爛漫さである。

結婚前、一度だけ一緒に遊園地に行ったのだけれど
(・・・実は、ひよは遊園地が苦手でして)
そこでの夫の様子を見、この人とだったらきっとうまくやっていけると思った。




…………………………………………………………………………


私自身、下に3人もの弟や妹を抱えた長女ゆえ
遊園地というと「妹や弟たちの世話をする」という図式ができあがっていて
どうしても楽しめないところのひとつであった。

どんなときでも、そして誰と行っても
長女の目で、自分の前にいる人をついつい「観察」してしまうのである。

観察と言っても冷たく見るとかそういうのではなく
「寒くないかな」「疲れていないかな」などと心配になるのだ。


…………………………………………………………………………





恋愛当時 1年ぶりに彼と会い、今回はどこに行きましょうかということになり
行き先は市内の遊園地に決定。

遊園地に入るなり 彼は「あ!パピルスや!」と叫び出し
ぱーっと池をめざして走り出してしまった。
どうやらパピルスが彼の心を鷲掴みにした模様。

「○○ちゃん、見てみ!パピルスやで!」と子どものように笑う彼を見て
なんて無邪気な人なのだろうと思った。


その当時彼は確か手の指を骨折し、右手はギプスでぐるぐる巻き状態。
そのギプスをものともせずに
ジェットコースターやその他いろいろなものに挑戦していた。

疲れてへとへとになっている私を振り回し(笑)
「次はあれに乗ろう!」「次はこれや!」と本当に子どものようだった。


その遊園地は太平洋に隣接していたのだけれど
海を見た彼はまたもや「海やー!」と叫び、海めがけてまっしぐら。

ギプスがぬれるのも何のその、波打ち際で波と戯れ貝殻を拾い 
しまいにはジーパンを捲りあげて大波向かって突進していた。

その様子を日傘の中で見ていた私は
彼のその天真爛漫さにひきこまれてしまった(笑)。





そう、夫は結婚して13年経った今でも少しも変わってはいない。

家族で万葉の森公園に行けば 夫は静かに樹々を見上げ
心なしか季節の移ろいを感じているかのようである(実は違う)。

蝉の抜け殻をひとつでも多く見つけようと躍起になっているのである。
「木に登ってはいけませんよ。」と念のため彼に忠告はするのだが。



秘やかに咲く石蕗の花を見つけ
「おお!たんぽぽの仲間やな!」と1人納得している。

興奮して私に近づいてくるので、どうしたかな?と思えば
「見てみ!こんな大きな蜘蛛の巣があったで!」と報告してくる。

小さな小川のせせらぎを見つめていると
「ちょっとどいっとってみ!」と背後から夫の声。

何をする気だろうと、どいてみると
「おりゃー!」という叫び声とともに彼はその小川をひとっ飛び。

「どや!ひとっ飛びやで!」とこちらを振り返る。





姫路の好古園に行った時だってそうである。
園内の大賀ハスについて私が一生懸命に夫に説明し、
夫は静かな面持ちで「うん、うん」とやたら素直にうなずいていた。

まるで大賀ハスについて感銘を受けているかのようである(実は違う)。

実は夫、私の説明を聞きながしながら
心の中は園内の溝に住む亀のことでいっぱい。
右手には(どこで手に入れたものか)亀をおびき出すための小枝まで握りしめている。








・・・・夫と生活して思ったことがある。

彼と一緒にいると疲れないのである。
安心して私は「長女の性格」でいられる。

遊園地に行っても長女の性格をそのまま発揮して
夫のことを見ていればいい。 

夫は次男坊だからだろうか、実に天真爛漫。
本当にピュアな人だ。




本来私は人と深く付き合うのが苦手で
いつもある一定の距離を置くようにしているけれど

(いつだったか夫と大きなケンカをし、
 ふと頭の中に離婚という文字が浮かんだこともあった)

そのケンカのあとの話しあいの中で 夫が
「俺は○○ちゃんが好きやからこないに一生懸命ケンカすんねん!」
と言ったことが深く心に残った。

人と心を通わせるということがこんなに難しく
そしてまたこんなにも温かいものであるとは。

人に対して頑なであった私を
ここまで変えてくれたのは夫である。





この夏、私と娘は九州に帰省したのだけれど
(夫は仕事のため1人関西に残っていた)

帰省を終え私と娘が自宅に戻ってきた夜、夫が私のそばに来て
「ずっと1人で居たからさびしかったよ。」と告げてきた。

あ、そんなにさびしい思いをさせてしまったのか、
申し訳なかったと思い夫の方を振り向くと

彼は照れくさそうにくるっと背を向け
2階への階段を2段飛びで駆け上がっていった。





そう、例えば市内で偶然彼に出逢い
(夫は学校の生徒を引率中)
声をかけようかどうか躊躇われて

私自身、結局声をかけることもできないまま
そのまま彼の背中を見つめていたこともある。


大学時代から彼は本当に太陽のようで
季節に例えればまるで春のような人だった。

そこだけあったかくて 花が咲いたようだった。

夫に話しかけたいと思っても話しかけることすらできず
ただ遠くから見ているだけだった。

だから今でも(これを読んで下さっている方、ものを投げないように)
こんな素敵な人の妻でいていいのかなと思う時がある。







ふと見上げれば 天空には夏と秋とがゆきあい
白く輝く雲の彼方には 薄絹の雲が流れている。

緑豊かな夏の山々も いつしかその色を失い
樹々の葉は少しずつ秋に向かう。



パパ、気付いていましたか?
葛の葉が色づいてきていることに。

秋津も飛び始めているのですよ。





初めて出逢った入学式の朝
あなたはまだ少年の面影を残し
私は18歳になって11日目のことでした。

私たちの上にも
少しずつ時は流れているのですね。




あなたと出逢って23年
夫婦として生きてきて14年目の秋です。














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Last updated  2015.10.03 10:41:32
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