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ひよきちわーるど

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2007.03.18
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カテゴリ:娘に


実は結婚して間もない頃から いつか我が家を訪れてくれる我が子のために
少しの時間を割いてはおくるみを編んでおりました。

当時は私も仕事を持っておりましたのでなかなか自由になる時間もありませず
仕事と家事とを両立させるのに懸命になっておりましたが
それでも、いつか訪れる我が子との対面を夢見ながら編んでおりました。

未だ身ごもってもおりませんでしたし、そしてまた身体も丈夫ではありませんでしたので
我が子のことを半分夢に見つつ、そして半分は諦めつつ・・・の思いでした。

黄色の毛糸をたくさん買って参りまして
その毛糸に半ば埋もれながらの手編み作業。
自分が本当に母親になれる日は来るのだろうかと不安になる日もございました。





やがておくるみも完成しました頃 妊娠していることが判明し
その翌年に無事我が子との対面を果たすことができたのでした。

実家の母が「まさか子宝に恵まれるとは・・・」と
とても喜んでくれたことを覚えております。

その母が私の娘のために買ってきてくれたのが 麻の葉模様の産着でした。
その麻の葉模様について語ってくれた母の言葉を
私は生涯忘れることはないと思いました。

麻の葉模様は我が子の魔除けになるのだそうです。
災いを避けてくれるとのことでした。

・・思えば 母は実に合理的な考えの持ち主でありましてお守りのようなものは一切信じようとせず
そしてまた例えば節分の折の恵方巻のこと、柊の飾りのことなど 
そういう事に何ら意味を見出そうとしないタイプの女性だったのです。

その母が私の娘のためには
「魔除けになる」と言って自転車に乗り、わざわざ産着を買ってきてくれたのでした。

・・・こうやって代々の母は
我が子や孫の安全を祈り続けてきてくれたのだと思いました。

我が家におきましては 娘の産着や幼い頃に着ていたお洋服はほとんど保管しておりまして
時折箱の中から取り出しては懐かしく眺めてみるのですが
この麻の葉模様の産着もまた私にとりまして大切な大切な思い出の品なのです。







正直に申しまして たった1人の子どもしかいませんことを
私自身とても悲しく思っていたのですが ある日母がこう言ってくれたのです。

幼い頃から身体の弱かった私には とても子どもなど望めないと思っていたと。
だから今、こうしてたった1人でも子どもを授かったことはとても有り難いことなのだと。

・・・母のその言葉を聴き どんなに心が温かくなったことでしょう。





そう、我が子を授かって初めて 私は自分がどんなに未熟な人間か思い知らされました。
どんなに弱い自分なのかということにも気付かされました。
物を知らない人間なのだと つくづく不器用な人間なのだと気付かされたのです。

自分1人のことでしたらなんとか対処することもできます。
自分なりの処方箋を持っているのですから 何か突発的なことが起こったとしましても
そして辛いことがありましても十分に対応することができるのです。
そこには不安などありません。

しかし、これが我が子のこととなりますとどうでしょう。
最早自分の力の及ばない領域なのです。

確かに親としてできることはあります。
けれど子どものために 親が100%何かをしてあげることなどできないのです。

あとはただ我が子のために祈り毎日無事であってほしいと願い
不安を抱えながら、そしてその不安に押しつぶされぬよう気を張り続けながら
日々を過ごしていくことしかできないのです。

その、自分の力ではどうしようもできない領域の存在は
自分自身を本当の意味において謙虚にしてくれます。

自分は無力な存在でもあるのだと、それでも我が子のために
死ぬまで祈り続けていくしかないのだと思うのです。






下に掲げました写真は 11年前母の買ってくれた麻の葉模様の産着です。
そして その産着の上にちょこんと乗っていますのは
昨年の初冬 嵐山の縮緬のお店で買い求めました這子人形です。

このお人形、僅か2センチにも満たない小さなものなのですが
この後ろ姿を見ておりますと あの頃まだ幼かった我が子のことが思われまして
何とも言えない心持ちになるのです。







我が子へ。

あなたがこの世に生まれ出てきたとき
あなたを取り囲む人々がどんなに喜んだか知っていてほしい。

あなたのために祈っていてくれた人のいたことを知ってほしい。



この世は美しいものに満ちている。
それらをあなたに教えてあげたい。

人生とはこんなにも良いものだということを
あなたに伝え続けていきたい。






この世には 美しきもの 数多あり

       其を汝(な)に伝へむ いとしき吾子よ








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Last updated  2015.06.26 09:46:59
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