ひよきちわーるど

みいちゃん
あなたは暑い夏の盛りに生まれた。

肌着を取り替えるたび
何たってお着替えが一番よね、と目を細めてた。

名前を呼ぶと大きく目を見開き
はにかんで　まるで花のように笑った。

あなたに鏡を見せると
きょとんとした顔をして大笑いをした。

ハイハイをして何処までも進んでいき
絨毯の上で頭をごっちん。
２時間くらい泣き泣きしていたね。




・・・そしていつのまにか
見守る私の手を振り払い
よちくたと
風に向かって歩いている。






みいちゃん
あなたにはまだまだ知らないことばかり。


透明なガラス窓に突進して頭をぶつけた。

初めて飲む炭酸水にびっくりしてた。

ママ、どこに行くの？と
庭にいる私をガラス窓越しに見つめてた。







みいちゃん

百舌鳥の雛はね
きっちょん、きっちょんって啼くのよ。

踏切のカンカンは怖くないの。
電車が行き過ぎたらカンカンも消えるからね。

笑いながらおぶうちゃんを飲むと咽せるのよ。






少し大きくなってからのあなたの言葉
私にとって　どんなに大切に響いたことだろう。

「これ食べる？」と　ムスカリの花に向かってチューリップの葉っぱを差し出していた。
「ママ、ムスカリのお花、あかんなあ。」
「チューリップの葉っぱ食べへんねんで。好き嫌いしたらあかんよな。」


「ママ、ダンゴムシにも髪の毛あるの？」
「ダンゴムシも洗面器で髪の毛あらうの？」
「ダンゴムシもお箸でマンマ食べるの？」


「ママ、あのな、さっきダンゴムシがバケツの中で泳いっどってん。」
「でな、風邪ひいたらあかんからはよ上がりよ、言ったってん。」


「ママ、みいちゃんな
　ママに逢いたいから生まれてきてんで。」






みいちゃん

あなたがこの世にきてくれたことで
私たちの人生はどんなに豊かになったことだろう。


あなたを見つめるパパのまなざし。

口元に運ぶひとさじのご飯。

あなたを包むパパのぬくもり。







あなたに伝えたい。

生きることは素晴らしいということ。
生まれてきてくれてありがとうという気持ち。



これからあなたは
どんな素晴らしいものに出逢うのだろう。
どんなあたたかいものに出逢うのだろう。

あなたはまだ知らないだろうけれど
世界は美しいものに満ちている。








胸をはって　深呼吸して
前へ進みなさい。


あなたの前には　
大きな大きな未来が開けている。