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カテゴリ:季節の美
こうも雨が続きますと体調は優れませず 床につくことも多くなって参ります。 ですので お天気の良い日には たまっている用事を少しでもこなそうと無理をしてしまうのですね。 そうしますと余計に疲れがたまるのです(笑)。 悪循環だとは分かっているのですが 家事、育児、その他仕事や、地域関連の用事など待ったなしのものが多くありますので 僅かに晴れ間の広がる時間帯に集中し、仕事をこなしております。 ここ数日 夜になりますと不如帰の声が聴こえて参ります。 夜の闇に 仄かに明るい声が響くのですね。 ・・・その声を聴いておりますと 既にこの世の人でなくなった人が 現し世を生きる者に対し何かを問いかけているような そんな気持ちになってくるのです。 幼子を遺し逝かなければならなかった若い母親が 「淋しくはないか お腹をすかせてはいないか」と我が子に問いかけるような もしくは 年老いて逝った母親が(既に我が子は十分に年を重ねているにも関わらず) 「体をこわしてはいないか 無理をしているのではないか」と まるで幼い我が子を気遣うような そんな声に聴こえてくるのです。 いつでしたか こんなお話を伺いました。 70代のおじいさんが 高い木の上になっている柿の実を見て 「あの柿が食べたい」と。 それで70歳を過ぎているにもかかわらず 子や孫の制止を振り切って木によじ登り 柿の実をとろうとするのですね(笑)。 それを見ていたその父親が(何と100歳!) 「おまえは危ないからそこにおれ! 父さんがとってきてやるから」と言って代わりに木によじ登ろうとする・・・。 70歳代の人が制止されているのを見ていながら 自分はそれよりももっと高齢であることを分かっていながら それでも我が子の為に動こうとする。 人によりましては もしかしましたら笑い話として受け取るのかもしれません。 けれど、普段 親と接する機会など全く無い私としましては 何とうらやましいことだろうと少し涙ぐんでしまいました。 親は いつまで経ってもやはり親なのです。 私の祖母は晩年認知症を患いまして 人の顔を判別することができなくなっておりましたが それでも時折我に返りまして 私の父に対し 「あんたの一生を見届けるまで私は死なない」と言うのです。 我が子の一生を、その無事を見届けないことには 自分は絶対に死ぬことなどできない、と。 ・・・私も我が子をもちまして初めて 祖母の心を理解することができました。 もしかしましたら 今夜も不如帰の声を聴くことができるかもしれません。 もしも今夜雨が降り止んでおりましたら 部屋の窓を開け 彼の鳥の声を静かに聴いていたいと思います。 写真は青楓 鳥のお干菓子。 おそらくは千鳥なのでしょうけれど(笑) 青葉の中をゆく不如帰に見立てまして。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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