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ひよきちわーるど

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2007.06.14
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カテゴリ:パパに

29日を前にして、思わぬ伏兵出現。
いきなりの喘息発作です。

むち打ちの症状につきましてはここ1ヶ月ほど続いておりますのでそう驚きもしませんが
これに喘息が加わるとなりますと相当きついものがあります。

29日まであと数日しかないというのに、ラストスパートの時期だというのに
どうしてここに来ていきなりの発作なのか・・・。

実は今夜などなかなか寝付けませんでね、いやな予感はしていたんです。
疲れているはずなのに全く眠りの中に入ってくれませんで。
発作の起こる時って、こんなふうに変に寝付けないのですね。
で、案の定、10分ほど前から喘息が出始めたわけなんです。

こうなりますと、もうお手上げ。
家族に迷惑をかけないよう、パソコン部屋に避難するしかありません。
気管支を冷やすため、冷たい飲み物を手に夜明けを待つのみです。






2日前でしたか、ワードローブの中の整理をしておりましてね
ふと見上げますと、夫のコートが目に入ってきたわけなんです。
そのコートは黒に近い深い緑色で 彼が20歳の時に使っていたもの。




・・・・このコートには忘れられない思い出があるのです。

彼とは学生時代クラブが一緒でして、ともに「児童文化研究部」に在籍していたわけですが
彼は熱心なクラブの部長、そして私はさほど活動をしない部員でした。

当時、クラブのみんなで大学のそばの子ども会に出向きまして、よく劇をしておりましてね
私は主に衣装係兼「少しだけ顔出しする役」でした。

衣装係としましては、みんなの衣裳を調達するのに一苦労。
衣裳を製作したり、みんなの洋服を借りたりしてなんとか調達しておりました。
その中で、劇に出てくる裁判官の衣裳として夫のコートも借りていたわけなんです。





・・・無事劇も終わり、みんなから借りていた洋服をクリーニングに出しまして
そのクリーニング店から全ての洋服が帰ってきた夜のことでした。

ふと自分の部屋の窓際を見ますと彼の大きなコートがかかっておりまして
私の眼は そのコートに釘付けになったのでした。

そう、確かに、そこにかかっていたのはただのコートに過ぎないのです。
けれど私には まるで彼がそこに佇んでいるように思えたのでした。





・・・ひとり そのコートの前にちょこんと座り、ずっと眺めておりました。

その時になり初めて 山本周五郎の作品のひとつ、
「おたふく」のおしずの気持ちが分かったように思えたのでした。

おしずさんもこんな気持ちだったんだ・・・と、改めて彼女の気持ちが心に響きました。

もしかしましたら 夫への恋心に気付いた、それが最初の夜だったのかもしれません。







大学卒業式の翌日、夫から交際を申し込まれまして
その申し出を受けたその次の日には彼は兵庫、そして私は宮崎に。
それから5年にも及ぶ遠距離恋愛が始まったのでした。

お互い仕事をしておりましたから逢えるのは1年に1度だけ。
その、逢っているときですら飛行機の時間を気にしなければなりませんでした。

当時はメールも携帯もありませんでしたから
ひたすら相手からの手紙を待つしかないわけです。
彼は怖ろしいほどの筆無精でしたから(笑)手紙など半年に一回なのですね。




いつでしたか遠距離恋愛中、大学の同窓会が都内でありましてね
その同窓会の前夜、クラブのみんなで集まったわけです。
当時クラブのみんなには、彼とお付き合いしてることをまだ話しておりませんで
当然のことながら彼と隣り合って座ることも出来ず、話すことさえ出来ませんでした。

そのうちに、あまり遅くなると翌日の同窓会に差し支えるからということで集まりもお開きに。
それぞれ手を振り「明日の同窓会で会おう!」と言い交わしつつ ある人は都内の自宅に戻り
私たちのように同窓会のために地方から上京してきている人は
近くのビジネスホテルへと帰っていったのでした。

近くのビジネスホテルに帰ろうとする私を 彼が駅の改札口まで送ってくれまして
「また明日!」と手を振ってくれたのですね。

私も笑いながら「また明日ね。」と手を振りました途端
思わず ぽろぽろと涙をこぼしてしまったのです。






・・・これには私自身、驚いてしまいました。

ぽろぽろ泣きながら
でも、「また明日」という言葉がとても嬉しかったのです。




・・・今までずっと
一度でよいから「また明日」という言葉を使ってみたかった。

夜が来てそして朝が来て、次の日にも恋しい人に逢えるなんて
なんて幸せなことなんだろうって思いました。






・・・5年に及ぶ遠距離恋愛。
順風だった日ばかりではありません。
むしろ順風だったことなどあまり無かったのではないでしょうか。

そのかなしさを知っているが故に 私たち夫婦は(結婚しまして今年で14年になりますが)
いつも一緒にいられることの有り難さを
おそらくは人一倍敏感に感じ取るのではないかと思うのです。



数年前に「まことぞ恋ひし」という記事を書きました。

この文に寄せた精一杯の気持ちを
私は決して 忘れることはないでしょう。

最後に 記事の中から少し引用しまして
掲げたいと思います。








結婚前、夫とは1年に1度しか逢えなかった。
1度逢ってしまえば、あと1年は逢えないのである。
(大げさかもしれないが)私にとっては気の遠くなるような長さだった。

夜にふと逢いたいなと思っても
声が聴きたいなと思っても、できなかった。

おまけに彼は電話無精、筆無精で何を考えているのかわからなかった。




逢えない分 いろんな事を考えた。

不安も抱えた。

泣き言も言った。

このまま離れていくしかないのかと思う日もあった。






こんなに遠く離れて 声も聴けないで 逢えなくて。

こんなに苦しいのなら逢わなければよかったと思った。

彼以外の人だったら 
こんなに苦しまなくていいのかなと思った。

周りの人々の言う通り
この地で誰か他の人に嫁いだ方がいいのかなと思う日もあった。



そんな時に出会ったのが下記の歌だ。


  


  世間(よのなか)の 人の言葉と 思ほすな

         まことぞ恋ひし 会はぬ日を多み            





時代はどんなに流れても 人の心というのは変わらないのだなと思った。
今ならこの歌を詠った人の気持ち、痛いほど分かる。



・・不安を抱えていた私に 彼は

「あと10年もすれば、今のいろんな事全て思い出に変わる」と言って笑った。

「こんなに筆無精で気の利かない僕だから 
 ○○ちゃんに呆れられて振られることがあったとしても、
 僕が○○ちゃんのことを嫌いになることは絶対にない。」とも言った。


「1年に1回しか逢えないこの時期を2人で乗り越えられたら、
 結婚したあと、どんなことがあっても何があっても一緒に乗り越えられる。」とも言った。





・・・・あれから10年経った今、

あの時の言葉どおりになっていることを思い

その時の彼の笑顔を想い





嬉しくて

・・・・さすがにちょっと言葉が出てこないで 




ただ この高い澄んだ空を

仰ぎ見ている。















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Last updated  2015.05.26 21:37:29
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