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ひよきちわーるど

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2011.01.21
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カテゴリ:日本の古典

 


季節の移り変わりとともに心に浮かび上がってくるのが
和歌かも知れないけれど

古典としての和歌については
ひとつひとつ、正確にその意味を知らなくてもいいかな?などと思う
まこと、曖昧な日本人であるひよこであります(^^;) ・・・いいのか?



中学生の時だったかな
その時、お気に入りの和歌がありましてね
折々に口ずさんだりもしていたのですが

ある時、和歌の中のひとつの言葉が気になりまして
古語辞典で調べてみたんです。


そうしたら、今まで自分が何となく
こういう意味かな・・?と勝手に思っていた語句の意味がすこし違っていまして
「ああ、そうか、本当はこういう意味だったんだ」と納得したんですね。


それ以降、古語辞典で調べた語句の意味を
きちんとその和歌に当てはめ、
その上で再び和歌を口ずさんでみたのですが・・・

なんだかね それまでその和歌に感じていた匂いといいましょうか
立ちのぼる香気のようなものが薄れてしまい

それまで立体的に感じていたその和歌を
何か平面的なものに感じるようになったのですね。


・・・これは当時の私にとって
少なからぬ痛手ではありました。



不思議なことに これが「枕草子」や「更級日記」となりますと
それこそ古語辞典でじっくりと語句の意味を調べ上げ
その上で鑑賞した方が数十倍も楽しい。

まるで未知の扉を次々にこじ開けていくような
そんなおもしろさなんです。

そして正しい語句の意味をきちんと捉えたとしても、
それらの物語を平面的なものと感じることはありませんでしたし
物語の匂いが薄れることもありませんでした。

むしろ、正しい語句の意味を知ることで
ますます物語が輝いて見えたのでした。




けれど、こと和歌となりますと
どうも上手くいかない(笑)。

語句の意味を調べれば調べるほど
和歌が遠ざかってゆく。



いえ、誤解を防ぐ意味で書きますが
中にはね、やっぱり調べてよかったなと思う時もあるんです。

けれどやはり、和歌は口ずさみ、そのリズムを楽しみ
その口ずさむ中で感じとるものをこそ
大切にするべきではないだろうか・・・と思っていました。




例えば


瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の

     われても末に逢わむとぞ思ふ



                 崇徳院



上記の歌の中の「岩にせかるる」


思うのですが 日本語の「サ行」は実に巧みです。
読む側が切迫した心持ちになってくる。

そのことについては ここでひよこがくどくどと書きますよりも
人麻呂の



  笹の葉は み山もさやにさやげども 

         我は妹思ふ 別れ来ぬれば



を繰り返し口にしていただければ
お分かりになることと思います。






・・・崇徳院の「岩にせかるる」。
急流は一瞬たりともとどまらない。

音を立て、しぶきを上げ
何かに憑かれたようにただ、流れ続ける。

恋情の激しさもうかがい知ることが出来る。



けれど 語訳をすれば
「せかるる」は「岩にせき止められた」もしくは「塞かるる」の意。

現代の言葉に訳したとたん
その激しさは堰き止められてしまう。


歌の中にて 音を立て流れていた急流も
ふと気付けば、一枚の絵に変貌している。




和歌は・・・もっと野放しになるべきではないかと。

野放しという言葉が適切であるか分からないのですが(笑)
せめて鑑賞するときだけは 序詞や掛詞など技巧のことは忘れて
ただ、作者の中に入っていけばいい。

その後で、学術的なことについては学んでいけばよいと思います。




先日、白洲正子氏の本を読んでおどろいたこと、ひとつ。

和歌について書かれたこの箇所を読み
なんだかちょっぴり嬉しくなりました^^





一字一句どこから出ているというのでは嫌なんですよ。

そうではなくて、もっと意味がなくて、どこから出てきたかも分からなくて
しかも、ただ読んでいて美しい。

音楽に近いかもしれないけれど
何度も唱えているうちに何か分かってくる。

そういうものがいちばんいいと思っているんです。


                 「対座 白洲正子」












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Last updated  2015.03.04 16:36:27
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