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カテゴリ:日本の古典
下衆の家に雪の降りたる。 また、月のさし入りたるも、くちをし。 枕草子 にげなきもの 枕草子は、感覚に訴えるところも多く 好きな古典のひとつに入っていたのだけれど 高校生の頃 上記に掲げた一文を目にし たちどころに興味を失ってしまった。 この段を読まなければよかったと思ったものの 時既に遅し、今ではあまり良い思い出の残らぬ一文でもある。 もしこの段さえなかったら 私は今でも枕草子が好きだったことと思う。 下衆の家に雪の降りたる。 また、月のさし入りたるも、くちをし。 要するに 身分の低い家々に雪の降りかかる様子も そして月の光のさしいる様も ことごとく似つかわしくない と言い切っているもの。 自然の美しさは万人に等しく与えられているものにもかかわらず 人間の浅知恵による「身分」にとらわれ あろうことか「くちをし」などと呟く。 確かにこの人の文章は美しい。 今では枕草子と聞くと必ずこの「にげなきもの」を思い起こし あまりよい心持ちにはなれぬ自分自身ではあるけれど それでも 他の段を目にすると共感する部分もあり 思わず、くすりとなるところもある。 文そのものは流れる水のよう。 そして頷く部分も多い。 それでも この作品全体から澄み切った美しさを感じることはできない。 それらは ひとえに「にげなきもの」故のこと。 いつの時代のものであれ 文章を透かしてみれば (それが全てではないにせよ) その人のこころが あらわれてくるのではないだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.02.14 10:03:58
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