ほんだらかんだらと仲間たち

りんごが中２だったころ。今から２年半前。
クリスマス前最後の日曜日のこと。

恒例の買出しに出かけた。
このときに、年末・年始の買い物をする。

そのどさくさにまぎれて、サンタさんからの
クリスマスプレゼントも買うのだ。

毎年、１２月の最初のころ、クリスマスツリーの
靴下の中に、子どもたちはそれぞれ、サンタさんに
欲しいものを書いた手紙を送る。

そこでは、一年間、自分がどんなにがんばったか、
あるいは、がんばれなかったか、がんばれなかったら
その理由や、来年に向けての抱負などを書く。
文章がうまければ、サンタさんは自分の希望のものを
プレゼントしてくれる可能性が高い。

ただ欲しい、だけではダメで、自分のがんばりと、
希望のプレゼントの必要性を訴えなければならないのだ。

幼稚園のころは、欲しいものを絵で書いて手紙にしていた。

クリスマスの朝、ツリーの下には、プレゼントと一緒に
サンタさんからの手紙が届く。
日本語で書かれた手紙には、それぞれの子どもの
がんばりへのごほうびの言葉と、抱負への励ましが
書かれている。

プレゼントが期待通りかは、この手紙で大体わかるので、
子どもたちは、プレゼントを開く前に必ず手紙を読む。
この手紙は、子どもたちの宝箱に大切にしまわれる。
それは、次のクリスマスのときにどう書けばよいか、
覚えるためであると同時に、サンタさんからもらった、という
記念品だからである。

クリスマス前の買出しのときに、何をサンタさんに頼むのか
聞いておく。ものによっては、「これを頼んだよ。」と
指定させることもある。形・色などが微妙な文房具や
洋服の類は、必ず教えてもらう。それと、金額。

サンタさんは、世界中の子どもたちのプレゼントを作ったり
買ったりしなければならないから、あまり高額のものを
頼めないこともよく知っているので、無茶なものを言ったりは
しない。逆に親には、必要なものをプレゼントしてもらうので、
サンタさんからは、さほど必要ではないけれど、ほしい、と
思うものを頼むことが多い。おしゃれな文房具だったり、
かわいい置物だったり・・・。

さて、冒頭の、りんご中２のクリスマス。
例年通り、買い物をしながら、子どもたちに何を
サンタさんにお願いしたのか聞きながら商品を
眺めていた。

すると、一緒に歩いていたりんごが、小さな声で、
「お母さん、私、もう中学２年だからね。」
と言う。何が言いたいのか、わからず振り返ると、
歩むスピードを落として、みんなから離れるような
そぶりを見せる。何か、とんでもないもの、たとえば
口紅とかそういった類のものをほしがっているのかと
内心びくびくしながらりんごの方に寄っていった。

りんごは、いいにくそうに、
「あのね、私、中学２年なんだから、ね。」
と、また繰り返す。

「学校に行ってるから、友だちから聞いたんだよ。」
と、真剣な顔をして話す。

「サンタさんからのプレゼントは、本当は誰からの
プレゼントか、って言うことを、この前、友だちから聞いた。」

・・・・・えっ？それって、小学４年くらいになったら、暗黙の了解
じゃないの？今まで、信じてたの？

だが、そういう驚きは顔に出さず、りんごに確かめた。

「だから、いらない、って言いたいの？」

すると、恥ずかしそうに首を横にふり、

「違う。ただ、知ってるよ、ということだけを教えたかっただけ。」

そしてまじめな顔で続ける。

「ポコチャンやワッチには、内緒だからね。」

う～ん、ワッチはわからないけれど、ポコチャンはもう
２年くらい前から気づいていると思うよ。
でも、それもりんごには言わず、

「わかった。お母さんとあなただけの秘密ね。」

そういうと、本当に天使のような笑顔で、みんなの方に
走っていった。

その年のクリスマスプレゼントは、みんな、サンタさんに
頼んだとおりのものだったようだ。

りんご、１６歳。１６２ｃｍ、体重５０ｋｇ。

最近のあだ名は、「イケメン」。
無垢でまじめな、やさしい子。