ほんだらかんだらと仲間たち

上の子・りんごが幼稚園年少さんのときのこと。

ある時、幼稚園から戻ってきたりんごが嬉しそうに言った。

「今日ね、お友達から、『バカ！』って言われた」

・・・・・？

あ、そうか。私はりんごに向かって「バカ」と言ったことが
なかったのだ。

りんごが「バカ」という言葉を聞くのは、当時好きだった
「くまのプーさん」の中でクリストファー・ロビンが

「プーのおばかさん」

と優しく言うときだけだったのだ。

そのうち、正確な意味を知る日も来るだろう、と
そのまま放っておいた。

大丈夫。今では、りんごは「バカ」の意味するところを
理解している。

幼稚園に行くと、いろいろな意味で世界がひろがって
いくんだな、としみじみ思った。

さて、中の子・ポコちゃん。

年中さんのある日、とんでもない失敗をしでかした。
（何をやらかしたかは覚えていないが、なにせ
　私が激怒するようなこと）

私が大声で

「何やってんの！この、バカ！！」

と怒鳴りつけた。するとポコちゃん、泣きながら
私にくってかかった。

「私は、バカじゃない。天才だ！」

・・・・・！！

吹き出しそうになるのを必死にこらえて

「じゃぁ、そんな天才なら、こんなこと、して良いの？」

そう言うとポコちゃんは大きくかぶりを振って

「ごめんなさい」

と謝ってきた。

ポコちゃんは、普段から何か突拍子もないことをする子だった。

あるとき、小学校にあがったりんごに夫が

「おまんじゅうが１７個あります。家族５人で分けると
　一人、何個でしょうか？」

という問題を出した。

りんごの横で聞いていたポコちゃん（年中さん）が
すかさず、

「お父さんとお母さんが４個ずつで、子どもが３個ずつ」

と答えた。一瞬、夫も私も意味がわからなかったが、
確かにそう分けられる。

「すごい！天才！」

と連呼した。そのときから、ポコちゃんの中で

「私は天才だ」

という認識が刷り込まれたようである。

ちなみに、このあと、

「ちょっと難しいよ。おまんじゅう５５個を家族５人とおじいちゃん・
おばあちゃんの７人で分けたとき、一人何個になる？」

と聞いた。ポコちゃんは耳をふさいで私たちに背中を向けて
ちょっと考えたあと、

「子どもの一人が７個で、あとのみんなが８個」

と答えた。正解。どうやって答えを導いたか聞くと

「７個ずつ分けていったら、７回目までは全部そろうけど
　８回目には最後の１個が足りないから。」

と答えた。それを自分で見つけ出したポコちゃんは天才だ！と
思った。

ワッチは、そそっかしい。テレビでドラマを見ているとき

「このあと、どうなるの？」

と聞いてくる。歴史ものなどで、結末がわかっているときも
あるが、ほとんどは、その、結末が楽しみでみんなで
見ているのだから、誰もわかるわけがない。

「バカか。それがわかってたら、今、見てる必要ないじゃないか。
　ちょっと静かに見てろ。」

夫にからかわれて、照れ笑いするワッチ。
録画番組と勘違いしているようだ。

あるいは、映画の感動的な結末のあと

「え、なんでああなったの？主人公はどうなったの？」

など、聞いてくる。

「バカか。見てりゃわかるだろ。」

そのあとの夫の説明で、やっと納得のワッチ。

腕の中でガクっと目を閉じるのが、ただ、
寝落ちしてしまっただけのように
感じたらしい。なぜ、あんな戦闘シーンで
寝れるのかが理解できなかったようだ。

その解釈自体、笑えるが。

そのワッチ。社会が大好き。りんご中３のとき、地理の勉強をして
いて、わからない問題を声に出して読んだら、ほとんど
即答で正解を言っていた。

先日の「御嶽山」の噴火のニュースを見ていたら、
本を出してきたので何かと思ったら地図で
場所を確かめていた。

ワッチは、何か話題に上ってそれがわからないときには
すぐに事典や地図などで調べる。

誰に教わったわけでもないのに、知りたいと思ったら
本で調べるのは、すごい、天才だ、と思う。

それにしても、

１５分の朝食作りの時間で、冷蔵庫の
中のものを見繕って
（早く使ったものがよいものから使う）、

一汁三菜の朝食と自分とポコちゃんの二人分の
お弁当をきれいに作り上げるりんごは、

本物の天才だ！！

と毎朝、新聞を読みお茶を
すすりながら横で眺める私であった。