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カテゴリ:お局真紀子の素敵な毎日☆家族編
末っ子きんたがまだ、小学5年生になったばかりのときのこと。
毎年恒例の「三春滝桜」にお花見に行った。 朝、6時についても駐車場が満杯になるほどの 人気の桜観光スポット。 この朝も、家族みんなで早朝でかけ、朝6時には 到着してお花見を楽しんだ。 ゆっくり桜を楽しんだあと、駐車場近くの売店に 行ったら、もうほとんどのお店は開いていて 観光客も朝食がわりの軽食を楽しもうと 大勢集まっていた。 夫と子どもたちで手分けしておでんや焼き団子などを 買うために行列に並び、私はちょうど空いた テーブル席に座って場所取りをしていた。 そこに、足をひきずるように歩くおばあさんが 息子さんにすがるようにやって来た。 息子さんは、たぶん、私と同年代。 (※ここからの会話は、方言でなされたが わかりやすくするために共通表現に改めてある) 「すみません、この椅子が空いているなら 母を座らせてやっていただけますか?」 と息子さんが私に言った。私が 「どうぞ。ご一緒にお座りになれば?」 そういうと、息子さんは 「いえ、自分は売店で色々買ってきますので その間だけ、母をお願いします。」 と言って、売店の方に歩いて行ってしまった。 間もなく、夫と子どもたちが両手に一杯、食べ物を 持って戻ってきた。 見知らぬおばあさんが座っているのにちょっと びっくりしたが、 「おはようございます。」 と声をかけて座って食べ始めた。 そのおばあさん、そんな様子を見ながら 「いいねぇ。こんな風に一緒に来てくれるのは 小学生まで。小学生までだよ。」 と私に言う。 「中学生になると、一緒になんか来たがらなく なるからね。今の間だよ。」 としきりに繰り返す。 いやいや・・・上の子はもう、中3だけど、 こうやって喜んで一緒に来ますが、とは 思ったが、たぶん、三人ともまだ 小学生に見えるんだろうな、と思い なるほど、と相槌を打っていた。 「中学生になると、こっちが誕生日のプレゼントを 買っても、もう使ってくれない。さびしいよ。」 「洋服なんかは、小学校のころから、もう、自分の 好みが出てきて、こっそり先に買っても無駄に なるからね。」 そうですか・・・と相槌。うちの子の着ている洋服は 全部、従姉のお下がりか近所の子のお下がり。 洋服で強い好みを示すことがないから助かるな、と 思いながら、おばあさんの話を聞いてあげる。 そうこうするうちに、先ほどの息子さんが 近づいてきて 「ありがとうございました。」 と言っておばあさんを立たせて駐車場の方に行った。 立ち上がるとき、おばあさんは私に 「あなたはいいわね。こんな優しそうな息子さんと かわいいお孫さんにここに連れてきてもらえて。」 と言った。 私はにこやかに挨拶をした。 おばあさんが十分離れてから、家族の凝固がとれた。 そこに座っていた家族全員が一瞬にして固まっていたのだ。 私の子どもを見て、私の孫だと思ったのだ。 いや・・・結婚も遅かったし、子どもができるのも それからまた遅かったから、まぁ、相当早く結婚して 子どもができて、その子がまた早く結婚したら・・・ まあ、ぎりぎり、孫としてもいいだろう。 しかし、しかしである。 私の夫は、私より4歳年上。 その夫を見て、そのおばあさんは『私の息子』だと 思いこんだのだ。 それから帰宅するまで、みんなが私のことを 支えるように歩いてくれるし、ちょっとでも 段差があると 「ほらほら、足元に気をつけて」 と無駄に優しかったのは言うまでもない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年09月28日 06時53分25秒
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