■前回のあらすじ■
ブルース・リーにあこがれている青年が、自分の誕生日をきっかけに、真のドラゴンになろうと決意する。
自分の中の弱さと闘うために、まず苦手なものを克服することを計画した。
ファミレスや喫茶店にひとりで入店することが苦手な彼は、いきなりハードル高く『メイド喫茶』に行くという荒治療を決行する。
・・・今、試練のとき!モーメント・オブ・スルー!闘いの火蓋は切って落された!
そして、このブログの読者のみなさんが、ちゃんとした『五目チャーハン』を食べたことがない事が判明した(笑)
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「いらっしゃいませ、お客様~!」
ガラスの扉を開けるとニコニコした元気の良いメイドさんが立っていた。
この店のあいさつは「おかえりなさいませ、ご主人様~!」じゃないところにメイド喫茶の老舗のポリシーを感じる。
(まぁ、このときは、そんなこと関心してる余裕はなかったが・・・)
「お客様ぁ、おタバコは、お吸いになられますかぁ?」
「いや、吸いません。・・・どうもすいません!」
緊張のあまり、無意識にダジャレが出てしまった(笑)
「追い詰められるとホンダイスは面白くなる」と仲間は言っていたことがあるが、これの事か?
確かにオレは、いっぱいいっぱいになると、意味不明な言動にでてる(笑)
「禁煙席はコチラですぅ~!」
・・・せっかくメイドさんが案内してくれているのに【喫煙席】に座ってしまった(泣)
いやいや、いーんだ!もう足がすくんじゃって、あの禁煙席まで歩いて行く自信ないからっ!オレこの席でイイや・・・。
心の中では、レベルゲージが振り切れていたが、メイドさんに悟れまいと、顔はニコニコとホンダイス・スマイルをキメていた。
引きつってたんだろうなぁ、オレの笑顔~(笑)
「お客様は、このお店は、初めてですかぁ~?」
「1年前くらいに来てるかな~?」
実は1年くらい前にここに来た事がある。
学生時代の仲間と、香港の友達と、香港の友達が連れて来た上海の友達の・・・多国籍軍で来店したことあるのだ。
以前、このブログで紹介したが、仲間と2人でメイド喫茶を3件ハシゴしたときに、3件目に来たのがこの店『ぴなふぉあ』だったのだ。
あのときは、【ツンデレ喫茶】→【着せ替えカフェ】→【ぴなふぉあ】と来たので、この3件の中で、とくにフツーのメイド喫茶ってイメージがあったので、『ひとりメイド喫茶・ビギナー』には無難だろうと今回この店を選んだのだ。
メニューを開いて、ある物とある物をオーダーした。
メニューを閉じかけたとき、【誕生日】というキーワードが目に飛び込んできたので、読んでみた。
【本日、お誕生日の方には何か良い事あるかも】
・・・ふむふむ。
そういえば、今日はオレの誕生日だ。
毎日、慌ただしい傷だらけの人生・・・誕生日くらい良い事があってもイイじゃないか。
「あっ!あ、あの、今日、誕生日です」
かなりテンパってるオレ・・・。こんな姿を知り合いが見たら、大笑いだろう。
いつもは、間違ったこと言ってても自信有り気に堂々と発言し、図々しいくらい毒舌でマシンガントークなオレが、おとなしい借りてきた猫状態になっているのだから・・・。
「ホントですか~、おめでとうございま~すっ!
本日、お誕生日の方には、サービスで○○○が付きますが、バニラ・チョコ・ストロベリーのどれがよろしいですかぁ?」
あー!・・・肝心な部分が聞き取れなかった~っ!(泣)
テンパり過ぎだ、オレ。
なんかサービスで出してくれるらしいが、アニメ声でしゃべるメイドさんを前に、成す術なし!
「ストロベリーで・・・」
どうやらオレは高度の緊張状態になると、「ストロベリー」と口走ってしまう癖があるようだ。
このとき初めて気がついた。
店内はカウンターにイスが5脚くらい、テーブルセットが8組くらいある。
メイドさんは4人。
カウンター席はメイドさんと店内にいる間、ずっと向かい合っていなくちゃいけないから、オレには座れないな~。
店内のお客は、東南アジア系の外国人がふたり、
カウンター席には、パッとサイデリアの小林亜星を20代くらいにしたみたいなのがいて、
ひとつ席を置いて、となりに先程からケータイでワンセグ観ながら、ipod聴いてる人がいた。
あとから入ってきた男がテーブル席に座って、小脇に抱えてた雑誌を広げてペラペラめくり出した。
「あーっ!新型出ちゃったよーっ!」
「どーしたんですかぁ、○○さ~ん?」
メイドさんが駆け寄ってきた。
どうやら、この男は常連客のようだ。
新型が出たって言ってたけど、もう7月だからね~、世間は夏のボーナス時期だし、自動車メーカーもそれに当て込んで新型のクルマを次々出してくるわなぁ。
「だって、新型出ちゃったんだぜ。オレ、知らなかったよ~」
この男は、なんのクルマを買おうとしてるのか?
チョット、彼の開いている雑誌を覗いてみた。
えっ?・・・え~~~~~っ!
・・・それは、自動車の雑誌ではなく、アニメ雑誌のロボットアニメの特集ページだった!
「んがーっ!新型って、クルマじゃなくてロボットの事かよっ!」
オレはビックリついでに、心の中のハリセンで男の頭をひっぱたきながら突っ込みを入れていた。
そうだよ、ここはアキバだぜ!これがフツーの会話として成立ってる街なんだよな。
・・・・・・。
オーダーした物が出てくるまでの、この時間の使い方が解らないから、オレはファミレスや喫茶店が苦手なのだ。
ワンセグの人も、ヤング小林亜星も常連客のようだ。
楽しそうにメイドさん達と話している。
あー、オレだけアウェイな感じ・・・。
オレ、どうやって過ごそう?照れと緊張がMAX状態で気がおかしくなりそうだ(泣)
もう、姿を消したい。願わくば、透明人間になりたい。
もう、恥かしくって、存在を消してしまいたい気分。
軍事レーダーにも引っ掛からない米軍のステルス戦闘機になってしまいたい!
「お待たせしました。アイス・カプチーノで~す!」
注文した飲み物がきた。
・・・が、このまま飲むワケではない!
「文字か絵をお入れしますが、なににしましょうか?」
「サイコロの絵って描ける?」
「はい、描けますよ!」
チョコレートのチューブペンで、泡の上に一筆書きのように立方体を描きだした。
そして、器用にサイコロの目を入れる。
スゴいな~、ここのメイドさんは職人技を持っている。
「お待たせしました~、オムライスで~す!」
これもオムライスの上にケチャップでなにか書いてもらう事ができる。
「さて~、オムライスには、なんて書きましょうかぁ?」
「・・・五目チャーハンって書いてください」
絶妙な間をおいてから、イ・ビョンホン並の眼力と共にメイドさんに伝えた。
・・・キマッた!
今のオレは「五目チャーハンって書いてください!」って言わせたら、どんなキャリアを積んだ俳優よりもカッコ良く言う自信がある(笑)
「え~っ、なんでぇ?チャーハン食べたいのぉ?」
仕方ない悪戯っ子ね・・・と言わんばかりの呆れた笑顔で彼女はケチャップのボトルを手に取って書き始めた。
こういうとき、みんなは、なんて書いてもらうんだろ?
ととのいました!
五目チャーハンって名前のオムライス!
(混乱するなあ~)
文章が予定より長くなってしまったので、
急遽3部作の日記になりました。
次回こそ、ホントの最終回!?(笑)
■新・志望勇気~ドラゴンへの未知~(後編)へ続く■