カテゴリ:読書
どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。
それが生きることだ。 財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。 そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。 この、もの悲しい読後感は、何なんだろうかと思う。 正直で全うな生き方をする人間が不幸に見舞われることか、権力・地位・財力を得てもなお無力感を感ずることか。 どうやら、ここで描かれている登場人物は、正直で素朴な主人公も、権力や財力を得ているその義父も、また犯罪を犯した人々も、皆、満たされぬ思いを持っているからかもしれぬ。 その満たされる思いを、解消するすべをもっているか否かで、犯罪者になるか否かが決まる。 犯罪者、異常者と、ここで描かれている良い人々との、実は差異があまりないことに、もの悲しさを感ずるような気がする ▼楽天 ●名もなき毒 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 22, 2009 04:41:50 PM
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