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みなさん、こんばんは。ワールドカップで優勝したなでしこジャパンは、オリンピックに向けて動き出していますぜひともこちらでもいい結果を…とついつい期待してしまいます。

　ところで、頑張っている女性達は昭和初期にもいたのです。
市川ジュンさんの漫画を紹介します。

この星の夜明け
市川ジュン
MF文庫

​彼女の漫画「懐古的洋食事情」シリーズの23話「文化的ホールクコットレットの乱」で、ヒロインが「夫の姦通も罪に問える」と弁護士の妻である友人から聞いて驚く。その年-昭和4年は、まだ男の浮気は当たり前と認識されていた（現代でもやはり女性に比べ男性には甘いが）。その友人も弁護士を目指していて、「今はまだ女はなれないんだけどね。」と答える。

それから7年後の昭和11年、高等文官司法科試験が女子への門を開き、遂に女性が弁護士になれる道が開けた。夏木旭は、望まぬ結婚で罪を犯した友人を救うため、弁護士を目指すが、彼女を救う事はできなかった。
「君は女性だけを相手の法律家になるのか？」と聞かれて「望むところです!(中略)男がわざわざ私を選ばなくたっていいでしょう。」と答える旭は、虐げられた側の立場に立って、自由と権利を得ようと戦う。

1話完結の6話(6話のみ前後篇)でこのシリーズは終わっているが、どうせならば夜明けを意味する朝日＝旭を名に持つヒロインが、戦後女性達に権利が与えられた時に活躍する所まで描いてしまった方がすっきりしたように思う。但し、文庫化される前の本の後書きでも本人が書いていたので、その意思はあったようだ。本当はもっと先まで書いて、未だ刊行されない「12月の光輝」シリーズにつなげたかったのかもしれない。
一番好きな女性は、第4話「ついてきなさい」に登場する『陽の末裔』のヒロイン、咲久子を彷佛とさせる麻矢子。一番恐い女性は6話目の「華色の闇」で婦女暴行で係争中の夫との離婚を願い出た佳代子。浮気性のどうしようもない夫を諦め、見放す大人しい妻を演じておいて、実は…という姿を見た時、旭は女の業の深さに戦慄する。「わたしのした事は無駄ではなかったのね」とくすりと笑う彼女の恐さを知るには、まだ旭は若すぎた。それでも爽快感のある終わりになっているのは彼女の性格故か、作者の意向か。「いつか別の形で書く」という作者の言葉を信じてもう少し待ってみる。



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