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みなさん、こんばんは。作家ってカワリモノがおおいですよね。今回紹介する彼も相当の変わり者です。でも作品は素晴らしいのですよね…。
バルザック伝 アンリ・トロワイヤ 「谷間の百合」「ゴリオ爺さん」「シャベール大佐」などを著し、近代写実主義を確立したと言われている、バルザック。池田理代子さんの漫画「女帝エカテリーナ」の原作者でもあり、他にも数々の評伝を著している著者が、天才文豪の生涯を、関係者や当人による手紙を中心に描く。 ナポレオンに心酔した若きバルザックは、早くから「自分の才は文学にあり」とばかり両親の嘆きをよそに作家への夢を追い求める。売れるようになったのに、先にしてしまった借金返済のために、ちっとも金が貯まらない。まさに自転車操業状態の作家活動で、原稿料は右から左。更に、ちょっと余裕ができると、自分を飾りたてる方にまわってしまう、しようのないおじさま。また、多くの恋をし、二股をかけるのも何とも思わない。このへんは、77才になっても愛人に子供を生ませ「77才の一本道を快調に走っておるぞ」などと子供に書いてくる父親&若い時にうんと年の離れた夫と結婚し、その夫にあきたらずに不倫をし、子供まで生んでしまう母親譲り(すごい両親だ…)。 さて、バルザックが二股状態だったある時。 二人の女性のうち、裕福な女性から「資金援助と引き替えにもう一人の女性と手を切れ」と言われると、いそいそとその通りにしてしまう。 別れを告げられた彼女からの手紙を一部抜粋。 「(中略)…ということで、貴殿には私が女であることを思い起こしていただかねばなりません。 男であればどんなくず女にも最低の礼儀は払いますでしょ。 私にもそれを払っていただきたい、ただそう申し上げているのでございます。貴殿は保身のために腰くだけになるほどヤワな男なのですね。情けない!見損なっておりました。」 よほど別れ方がまずかったのだろう(笑)。 そしてさらに付け加えられている文章。 彼女からの手紙抜粋続き 「ヴェルサイユの図書館司書から本の返却を求められております。 あの本、私にお返しになってください。私の名前で借りてさしあげたんですから。」 …うわ、嫌味たっぷり(爆笑)。 いやはや、こんな手紙が残っているだろうとは誰も思ってもいなかっただろう(笑)。 でもこの婦人とは、なんとちゃっかりよりを戻してしまう。表紙の写真を見ると、決して美男子ではない(が、自分の小説の主人公は美系だったりするのが何ともはや…)のだが、やはり口説きがうまい! そして、相手も負けてはいない。その婦人の手紙より抜粋。 「私の身体はどうして無数じゃないのかしら。もしそうだったら、したいことをしたいだけあなたにしてさしあげられるのに(なに?どれ?)。」 経験豊かな人は、言うことが違いますなぁ。 他には、自分を袖にした貴婦人(上流階級の人妻、それも資産つきがお好み)を小説の中でひどい目にあわせたり…(おいおい)。他人だから笑ってられるが、絶対身内には持ちたくない。でも、人間としてはサイテーでも、作品は、人間的洞察に優れていて、人々を感動させることができる。 ううむ、これぞ世界の七不思議! 《白水社》アンリ・トロワイヤ 尾河直哉訳バルザック伝 【中古】afb古書 高原書店 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
September 23, 2021 06:12:26 AM
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