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January 31, 2014
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みなさん、シェークスピアの『ハムレット』はご存知ですよね。東京では「テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢」が、2014年1月25日から4月6日まで、東京・港区の森アーツセンターギャラリーで開催されます。その中にオフィーリアは登場するんですよ。でも彼女はいつも悲劇のヒロインで、その内面について書かれた作品はありませんでした。


オフィーリア
Ophelia
ジェレミー・トラフォード著 安達まみ訳

既存作品を、全く別の視点から見たらどうなるか?
こういうアプローチは今までにも成されてきたが、本作は、あのシェイクスピアの『ハムレット』に挑戦している。オリジナルの十ヶ月前から物語の幕が開く。十ヶ月前といえば、まだ父王ハムレット(同じ名前)も、生きている。武勲に重きをおく父は、学究肌の息子となんとかうまくやっていこうとするが、失敗に終わる。この親子とは対照的に出てくるのが、本作オリジナルの登場人物として登場するスヴェンボーとその父親。スヴェンボーの父親はハムレット王の部下だったが、王の弟クローディアス(『ハムレット』では王となっている)の不当な讒言のせいで殺されてしまう。その息子スヴェンボーも罪人扱いされるが、「生きるべきか 死ぬべきか」と思索にふけるハムレットとは対照的に登場した彼は、ぐずぐずと思い悩む事なく、自分の身の証を立てようと奮闘する。そしてスヴェンボーは、ハムレットの恋人オフィーリアと出会い、ここに三角関係が成立する。元々の『ハムレット』では、暴言を吐かれるわ、狂って訳のわからない歌を歌う彼女。それでハムレットにとって彼女の死が、父のそれより深い影響を与えていたかと思えばそうでもない。一体彼女は何のために出てきたのか。脇役とはいえあまりに酷いと思っていたら、本作でのオフィーリアはハムレット一人の行動にびくびくしている気弱な少女ではない。対照的な二人の男性の間を揺れ動き、自らの意思も持ち、衝動に身を任せる女なのか、はたまた貞淑なのか、ハムレットよりよほど謎多き女性として、溌溂と作品上を動きまわる。シェークスピア時代には決して書かれなかった、血の通ったオフィーリア像である。あの儚げな彼女に満足していた向きには、さぞや驚かれる事だろう。

 しかし、全くオリジナルと離れてしまった訳ではない。後の悲劇を象徴させるような花や水が出てくるし、絶えず見る夢もまた暗示的。オリジナルからどんなに離れた所を飛翔しようと、エンディングには、ちゃんとあの『ハムレット』に継ぎ目なく繋がるように作られている。対照的な二人の間で揺れ動くオフィーリアの取った行動が、後の『ハムレット』で彼女が「売女め、尼寺へ行け!」などと不当な事を言われなければならなかった理由にぴたりとはまっていく。更に、ここでの父王とハムレットのしっくりいかなかった関係が、父王の死後ハムレットが父の復讐に燃え立った理由になっている。それに、唐突なクローディアスとガートルードの不倫愛の歴史もちゃんと書かれていて、「ふむふむなるほど、そういう歴史があったのか。」と、かえってオリジナル作品の不審点も払拭してくれる。
ちょっと哲学的な描写もあるけど、邪魔になって読めないほどではない。

 ケネス・ブラナー監督の『ハムレット』で、ケイト・ウィンスレット演じるオフィーリアのベッドシーンに「まあ、大胆!」と思っていたが、いやはや、上には、上がいるものである。










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最終更新日  October 23, 2019 12:32:40 AM
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