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February 14, 2014
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カテゴリ:塩野七生
みなさん、こんばんは。明日は雪だとか。
とんだバレンタインになってしまいましたね。そしてフィギュアがいよいよ始まります。
ノルディック複合は良かったですね。ルール改正もあって日本人がなかなかメダルを取れなかっただけにかつて二連覇を果たしたメダリスト達の喜びが感無量でした。
さて、こちらは塩野七生さんのイタリア歴史ものです。


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 イタリア史を中心に語ってきた著者の歴史書である。『ローマ人の物語』でローマの建国から崩壊までが描かれたが、本書はその単純な続編ではない。時代は、西ローマ帝国崩壊後、十字軍の遠征を経てトルコの攻勢が強まり、やがてスペイン無敵艦隊が大勝するレパントの海戦によりトルコの地中海での覇権は奪われるまでを扱っている。しかし、実はその間の時代について、既に著者が発行済みの著作が多いため、詳説になると「これについては~(既刊本)を参照して頂きたい」と振られてしまうのだ。既刊本をかなり読んでいたから、そちらの記述を思い起こすことができたが、例えば本書を最初に読んだ場合、興味を持って他を読もうと必ず思うかどうかは確信できない。

 はしょられてばかりの内容の中で、比較的内容として続き、かつ登場人物の動きについても詳細に描かれていたのが、キリスト教世界とイスラム教世界が激突した地中海の海戦である。それぞれのトップが戦場に出てくることは勿論なく、戦のプロフェッショナルが総司令官に選ばれる。ところが、それぞれのトップが正規の将軍職でなかった所が面白い。キリスト教世界側のトップはジェノヴァの傭兵隊長アンドレア・ドーリア、トルコ側のトップは赤ひげなど名だたる海賊達という取り合わせだ。現在で言えば契約社員が複合国家軍の総司令官になって戦いを取り仕切ったようなものだ。そしてアンドレア・ドーリアは出身ジェノヴァが政治的に安定していなかったため、デビューしたのが御年50歳で、常に「年齢から20マイナスして考えた方がいいくらい」によく頭が回る戦上手だ。戦のプロ同志がぶつかるため、単純に考えれば戦上手が勝つものだが、そうならない所も第三者として見ると面白い。まともにやれば必ず勝つドーリアがトルコ側に負けたプレヴェザの海戦などが良い例で、実はキリスト教世界も一枚岩ではなかった事が原因である。奇奇怪怪の政治の世界と熱い戦いが並列しうるのが歴史であり、おそらく現在も違った形で繰り広げられているのだろう。

 「歴史の上でも激震は起る。大量の破壊と殺戮を伴うがゆえに人間社会にとっては非常な惨事であるのは言うまでもないが、ある一点についてならばプラスに働く。それは、精神の怠慢か無知かにせよ、時代の変化を直視することを拒絶しつづける人々に、痛打を浴びせることで無理やりに眼を開かせるという効用だ。 (P10) 」など、歴史のある時期にのみ共通することではなく、いつの時代にもあてはまる真実を言い当てるぴりっとした言葉もなかなか味わい深い。






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最終更新日  April 1, 2017 07:50:13 PM
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