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March 1, 2014
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3月になりましたね。でも明日は東京方面は雪だとか。

こちらはフィクションとノンフィクションの間のような作品です。


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HHhH プラハ、1942年
ローラン・ビネ/高橋啓

 沢木耕太郎の『凍』はとても素晴らしい作品である。ある夫妻の登頂記を第三者の沢木耕太郎が三人称で書いているが、読者はあたかも夫妻の登頂の場に自分がいるかのような気分になる。存在を殺しているが、かえって著者の個性が浮かび上がってくる『凍』は、“自分”を出したいと悩んでいるライターへのよき手本だ。

 さて、本作はその逆を行く。ナチスドイツ時代、ヒムラーの右腕にしてヒトラーのお気に入りであったべーメン・レーメン保護領副総督ラインハルト・ハインリヒ暗殺に至る顛末を書こうとする僕(=著者と同一視して読む)の懊悩や執筆に関する拘りが、断章として随所に挿入される。“著者の作品を読みながら、その作品が生み出される過程を同時に読むことが出来て面白い”と看做す向きもあるだろう。一方で、“やはり作品は作品として読みたい”と拘る読者もいるのではないか。作成過程については、別の項―後書き―に書いてくれても良い。過去の事がずっと描かれてきたのに、現在の事がぽん!と出されると、やはり今までのペースが崩れる、という風な。

 ナチスドイツも我々も、そしてユダヤ人も同じ人間であるはずだ。“はずだ”とわざわざ断って言わなければそう信じられないほど、ナチスドイツのユダヤ人への感情、或いは感情の無さは想像を超えている。
トラックにユダヤ人を押し込め、そこに排気ガスを送り込んで、一酸化炭素中毒死させる。これには二重の利点がある。まずはユダヤ人をより速やかに殺すことができるから、処刑者の神経に過度な負担を与えずにすむという利点がある。その一方で、死体がピンクに染まるという、処刑担当者の好奇心を刺激する現象もある。(p272)


処刑担当者の神経を気遣える一方で、処刑される側の苦痛など考えもしない。いや、本当に処刑担当者を気遣ったわけではない。効率が悪くなるから、対処方法を変えただけだ。暗殺されたハインリヒは野獣呼ばわりされていたが、ナチスドイツの中で、彼が特別でも異常だったわけでもない。だから彼の暴走を誰も止めなかった。暴走は個人おのおのの更なる暴走を生み、彼等の為したことが恐るべき国家を作り上げる。そしてその国家が、個人の狂気を更に磨きあげ、後押しする。このような国家が出来あがると、例え正義感に駆られ、ハインリヒ個人に対するテロ行為が成功したとしても、更に大きな報復が国家の名によって為される悪循環を生む。

 我々はそれぞれ国家を背負っている。普段はそういう意識はないが、海外に行くと十把一絡げの日本人として見做される。今、私たちが“ある個人の行き過ぎた行為”として見做していることが、不協和音もなく“日本国家の行為”として認められ、誰も止めることなく更にその個人の行為がエスカレートしたらどうなるか。第二のハインリヒは決して現れてはならない。そして第二のリディチェ村も。







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最終更新日  March 1, 2014 10:50:55 AM
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