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みなさん、こんばんは。今日は夜から雨でしたね。まだ降っています。エコノミー症候群で亡くなる方が多いですね。
GW直前、九州の観光にも響く事でしょう。 テレビでは面白いドラマが始まっていて忙しいです。 さて、こちらはヒトラーの評伝です。力はいってます。 ヒトラー 上 1889‐1936 傲慢 Hubris イアン・カーショー 韓国人作家のシンポジウムで質問が出た。「安倍首相は後世の人達に戦後の反省や謝罪を引き継がせたくないと言ったがその発言をどう思うか。」彼は答えた。「歴史というのは国民全てが背負うものだ。だから例え戦後生まれであったとしても、彼等は生まれながらに日本の歴史―日本がこれまで為してきたこと―を背負って生きることになる。」その理屈が合うならば、戦後七十年経って生まれたドイツの人達もまた、オーストリア生まれの一人の男がドイツの名のもとに為したことを、背負って生きることになる。 そうはいっても、「あれはヒトラー一人の犯罪でドイツ国民は彼に引きずられた」と見る向きもあろう。ならば、第二次大戦やホロコーストのうち、どこまでがヒトラーの考えでどこまでがドイツ国民の考えなのか。またどこまでがヒトラーの為した事でどこからがドイツ国民の為したことなのか。これがきっちりとは分けられない。 ヒトラーの代名詞のような「ユダヤ人迫害」においても、そもそも彼オリジナルのアイディアではなく、ドイツ一国のみならずヨーロッパでユダヤ人を忌避する空気が既にあった。美術の才能もなく兵士としても一兵卒止まりだったヒトラーにたった一つあった才能は、何を言えば聴衆を良い気分にさせられるか、その事によって彼等がどう動くかを見据えた上で最も的確な言葉を使って話すことだった。ユダヤ人をターゲットに選び、最も効果的な方法で国民感情を揺さぶった。映画『英国王のスピーチ』で吃音癖のあるジョージ六世がTVでヒトラーの演説を見ていて「何を言っているのかはわからないけれど演説がうまそうだ」と言うシーンも記憶に新しい。アジテーター、扇動家がヒトラーにぴったりの呼び名であろう。 「うまく言葉にできなかったが、まさしくこれが自分の考えていたことなのだ!」と感じた人達は、次第に彼等の気持ちを代弁してくれるヒトラーに関心を抱き、好感を抱くようになる。そしていつしか今彼が話しているのは、もともと自分が考えていたことか、それとも彼が考えていたことに自分が共感していることなのか、区別がつけられなくなる。ここにヒトラーと聴衆の一体化が起こる。ヒトラーの扇動が巧みであったことも確かだが、自分達で考えることを放棄してしまった国民にも責任はある。決してヒトラーは「今こんなに苦しんでいるのは、全て戦争に負けたドイツのせいだ」などとは決して言わない。ドイツ国民以外の誰かのせいだ、そしてそれは…かくして、反論する術を持たない人々がターゲットになる。 「自分が悪い」と反省し、自分の行為の責任を取ることは、できるならばしたくない。それは自然な感情である。しかしあまりにも自分可愛さに凝り固まってしまうと傲慢になり、油断する。その隙間をぬって大衆心理を巧みに操る扇動家が現れたら、いついかなる時も同じ悲劇は起こる。ヒトラー一人では戦争もホロコーストも起こせない。擦る相手がいなければマッチに火がつかないのと同じように。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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