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May 10, 2016
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みなさん、こんばんは。
トランプ氏が指名確実のようですね。過激な発言が目立ちますがアメリカはどうなっていくのでしょうか。
さて、こちらはアメリカの少年が主人公のYAです。

風をつむぐ少年
Whirligig
ポールフライシュマン(著者)
片岡しのぶ(訳者)

ブレントは、アトランタからシカゴに越してきたばかりの16才。7年間に4度も転校した彼の最大の関心事は、新しい学校にうまく馴染む事と、かっこいい奴として級友達から注目される事。ところがある夜酔って車を運転し、見ず知らずの18才の少女リーを死なせてしまう。リーの顔をした風で動く人形を作り、アメリカの四隅に立てて欲しい。遺族からそう求められたブレントは生まれて初めての独り旅に出る。

 病的なまでに気を配り、周りに合わせよう、合わせようとするブレントを、神経質すぎると思う人はいるかもしれない。けれど、全然気の使い過ぎではない。転校を数回経験した私には、ラジオを聞いたり、服装を点検する彼の気持ちがよくわかる。ずっとその土地にいて、知っている人ばかりの中で暮らしてきた人と違って、誰も味方はいない。距離感をはかり、勢力地図を見通す。親という大人の助けを借りれば逆効果。だからその後の行動は確かに許されるものではなかったけれど、地元の子供達にいたぶられた挙句、自棄になってしまう心理も、むべなるかなと思う。

 事故後に被害者の家族と加害者の家族を、裁判所ではない所で会わせてしまうのには、驚いた。もちろん客観的な立場の人間として、調停役が同席するが、いつも今回のような穏やかな決着に落ち着くとも限らないのに、随分と思いきった事をするものだ。

 彼等の前で、リーの母親が「事故の時家族が何をしていたか」を延々と話し始める。
もちろんブレントはいたたまれない。泣き出して「ごめんなさい。」と言うしかない。
そしてフィリピン出身の母親はこう言う。
「私は仕返しという事が好きではない。仕返しがどんなものか、祖国でいやというほど見てきた。」
尚も続ける。
「どんな事も理由があって起こるのだと信じている。宇宙にとってこれは必要な事だった。私にはわからないけど。」
そうしてブレントに、冒頭に掲げた依頼をする。

 素晴らしい人だ。一国の大統領ですらできない「憎しみを愛に変える」事を、すらっとやってしまった。もちろん「背負うものが違う」とか、「これはフィクションだから」とか、反論はあるだろうが、加害者に向けて、そして何よりも自分に向けて、
「どんな事も理由があって起こるのだから、今回の死も必要な事だった。」という言葉を口にできる母親は、本当に凄い。全9章のうち、2、4,6,8の四つの章は、ブレントの作った風で動く人形(Whirligig=原題)を見た人々について描かれている。けれど、ブレント自身はその人々とは一切関わりがないし、ブレントの訪れた地点を逆から辿っているので、出逢う事で双方が変わっていく通常のロードムービーとはひと味違っている。1章を除いて皆白人種ではない所も、いかにも人種のるつぼであるアメリカらしい。ブレントが人形を作った意志も動機も知らないままに、それぞれの土地の人々は人形を見る。深刻な局面の人も、半信半疑な遊び半分の子供もいる。そして、風が吹いて人形がまわるように、人形を見た彼等も、人生に風を起こす。

 調停役のミス・ギルの言葉
「人間の行為はさまざまな結果をもたらします。そのすべてを知る力は、人間にはありません。行為の結果は目に見えないところまで及びます。未来にまで、だれも行けない遠くにまで、それは旅をするのです。」
を具現化するエピソードである。

『種をまく人』『マインズ・アイ』と物理的・精神的に動く事が、別の何かに影響を及ぼしてゆく姿を描き続けるフライシュマンの作品。


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最終更新日  May 10, 2016 06:56:42 PM
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