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みなさん、こんばんは。昨日は蒸し暑かったですね。
さて、こちらは歴史漫画の第五巻です。

応天の門 　5
灰原薬

前巻は藤原基経が突然帝に｢魂鎮めの祭を開いては｣と提案し、皆が騒然とする所で終わっている。民が幸せに暮らす姿を見たい帝は単純に賛成し、かくて祭りの準備が進められる。一方で前巻で道真と基経の従兄・藤原常行が出会った怪しげな一行の目的が明らかに。

　第一巻からじわじわと伴家と藤原家の対立を描いてきた本作だが、緊張関係が頂点に達するのはタイトルに挙げられた応天門の変であり、恐らくラストにこの事件を持ってくるのではないかと思われる。さて、今巻はプレ・応天門の変とも言うべき事件が起こる。表紙の人物が某人物を殺そうと計画を練る一方で、伴家の某人物も、藤原一族を狙って行動を起こす。華やかな宴と宮中に渦巻くそれぞれの悪意がいいコントラストを為している。

　表紙でピンを張っているこの人、一見ドヤ顔のように見えるが、第三巻の藤原明子の一件にしろ、養父・良房に比べるとどうも詰めが甘く小物感が漂う。普段自信たっぷりで冷静沈着に振る舞っているが、今回はそんな彼の仮面が剥がれそうになる瞬間が、大きなコマを使って描かれている。悪役が盛大に悔しがってくれると面白くなるので、頻繁では困るが、ここぞという時にまたこんな顔が見てみたい。


　前巻で在原業平邸の塩焼きの宴に招ばれたものの、政治の世界の汚さに幻滅した道真は、ますます権力から遠ざかろうとするが、この時の出会いがきっかけで、今回事件に巻き込まれてしまう。全てが終わった後で、輿に乗ったある人物から｢乗っていかれるか？｣と尋ねられる道真は｢私は自分で歩きますので｣と断っている。大人達が少しでも有利な立場に立とうと有能な人材を引き抜く動きを見せているのに、権力にも栄誉にも全く興味を示さない道真が頼もしい。ただ、できるならば、一人で歩くのではなく、藤原、伴いずれにも属さずにいる道真に共鳴して歩いてくれる同志が増えてくれるといいのだが。今回の引きは第一巻から道真を助けてくれた昭姫の過去に纏わる人物との出会いになっている。遣唐使になりたい道真の探究心に火がつくか？


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