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カテゴリ:その他のジャンルの日本の小説
みなさん、こんばんは。 国立西洋美術館が世界遺産に登録されましたね。
その中の「松方コレクション」を築いた松方幸次郎がモデルになっている小説を紹介します。 天涯の船(上下巻) /玉岡かおる(著者) とあるオークションで船の形のペンダントトップを見つけた日本人女性・万里子が、元の持ち主である子爵夫人ミサオを探し出す。彼女が、ミサオの最後の読書相手である綾子に手紙を出す所から、この物語は始まる。 アンティークが物語の発端となる所は、映画「タイタニック」と同じ。けれど、明治、大正、昭和と3つの時代を生き抜き日本、アメリカ大陸、そしてヨーロッパを駆け巡ったヒロインを描く本書のスケールは、映画を遥かに凌ぐ。 著者の住んでいる加古川市の海沿いに、神戸製鋼加古川製鉄所ができたのは、昭和45年。神戸製鋼は、もともと合弁鈴木商店の神戸製鋼所として始まった。この鈴木商店の倒産と間接的に関わっているのが、本篇のヒーロー・桜賀光次郎のモデル、川崎造船所社長・松方幸次郎である。画廊に入ると、ステッキで端から端まで示して「幾らだい。」と言ったエピソード、エール大卒、乾ドック。実在の物や事実をそのまま使っているので、「いっその事、名前もそのまま使っては?」と思ったが、物語の骨子である恋愛がフィクションなので、無理だったか。 家族は松方が美術や絵画について語るのを一度として聞いたことがない。それなのになぜ、彼は、後に「松方コレクション」として有名になる美術品群を買ったのか?長い間謎とされてきたこの回答として有力なのは「密命のカモフラージュのため」説だが、著者はこの唯一のヒーローの空白部分に、ヒロイン・ミサオとの恋愛というまことにロマンチックな理由づけをした。そういえば、ミュージアムの意味は、ミューズ=女神のいます所。一緒に暮らせないミサオのために、ミュージアムをつくり、そこに 美しいものを集めた後に、自分にとっての女神、ミサオを最後に迎えんとする。無骨な男の秘められたロマン、ここに極まれり。果たして、ここまで男に思われるミサオとは、どんな人? 光次郎にモデルがいたように、ミサオにもモデルがいる。大和和紀の「レディーミツコ」松本清張の「暗い血の旋舞」で描かれたクーデンホーフ光子である。しかしミサオは、光次郎ほどモデルに縛られていない。或る事情によって、ミサオの方は、かなりフィクションの入る余地があり、更に「この時代、女性の行為は殆ど記録に残らない」というマイナス・ポイントもプラスに転じた。 著者の筆が描き出すヒロインの人生を、春夏秋冬に準えて読んだ。上巻の表紙では、女性は足を抱えてうずくまっているが、下巻では、彼女は上を向き、羽ばたこうとしている。まさにこの通りの人生を歩むミサオは明治19年、アメリカ行きのシティ・オブ・ペキン号に乗った時はただ怯えるだけのあどけない12才の少女。少しずつ自分を表現する術を身につけて、世界を広げてゆく。 ここが彼女にとっての春。 ミサオのまわりが俄に華やかになる夏がやって来る。夏はまた、情熱の季節でもある。良くも悪くも。下巻。夫亡き後ミサオが光次郎と再会。しかし彼はミサオの親友の夫。ただ好きだからというだけで、突っ走れない二人の愛は、穏やかな秋。そして冬。全てが息を潜める冬は、季節=人生の終わりでもあるが、また新たな季節=時代へとつながるかけ橋の期間でもある。岡倉天心、孫文、吉田茂など実在の人物に加え、ミサオに屈折した愛情を抱く兄、愛憎半ばした感情を抱くお勝、ミサオと不思議な縁で結ばれる二人の女性・あや乃と矩子など多数の人物がこの物語を横切ってゆくが、最後に残るのは、ミサオと光次郎。いずれが船とも港ともつかず、離れては絶えずお互いを求めあう宿命の恋人。 ひとりひとりの心情をきっちり書き込んだ大河恋愛小説の名に恥じない、堂々たる力作である。 【中古】 天涯の船(上巻) /玉岡かおる(著者) 【中古】afb 【中古】 天涯の船(下巻) /玉岡かおる(著者) 【中古】afbブックオフオンライン楽天市場店 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 16, 2016 07:37:36 PM
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