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みなさん、こんにちは。
若者が被害者になる悲惨な事件が多いですね。 なんでそう簡単に殺してしまうのか。 こちらはヒトラーの評伝の下巻。 とてもぶ厚かったですよ。 ヒトラー(下) イアン・カーショー Hitler 1889-1936 Hubris 原作も映画も大ヒット中の『帰ってきたヒトラー』で、彼を本物だと知ったTVディレクターに、ヒトラーが言う。「大衆が扇動されたわけではない。彼等が私を選んだ」その通り、ヒトラー率いるナチ党は国会の第一党となり、国民が選んだ議員達の選出によって彼は首相となる。つまり、ここまでは極めて民主的な手続きが踏まれていた。独裁政権を成立させるために法案を次々と打ち出すのはその後で、どこかの国と同じく、選挙まではおとなしくしていたわけだ。 彼の自説は極めて明確で「ドイツのための生空間が確保されなければならない」そしてそのあとに続くのはお得意の二元論攻撃するか、遅かれ早かれ確実に絶滅させられるかの厳しい二者択一を迫られているのだ共存という文字は彼の頭にはない。 共有という文字も、また彼の頭にはない。軍事、政治のトップに立った彼は、勿論スーパーマンではない。それなのに、「不得意分野は得意な者に任せて責任のみ取る」という正しいあり方を取らず、全てに口を出したがった。その結果、あれほど規律が厳しかったドイツ軍部が、「ヒトラーの機嫌」という極めて曖昧で恣意的な意思によって振り回された。忖度によってトップの意思が明確にされないまま、末端に命令が達した時にはエスカレート。後で原因を手繰ろうとしても、明確な意思がないまま実行されたのだから、責任追及もままならない。誰も責任を取らない国が、ヨーロッパの真ん中でのたうちまわる様は、まさに地獄絵だ。しかし、竹槍で米兵に立ち向かい、バケツで火を消せと言われた日本国民も、自身のミスや判断の誤りを一切認めなかった。降伏も放棄も撤退も、一九一八年の再発も許されぬ。見込みがどうあれ、いかなる犠牲を払っても持ちこたえよ。とヒトラーに率いられたドイツ国民と同様であったろう。 繁栄を目指したヒトラーが導き出したのは完膚なきまでの敗北だった。そして国の最期を見届けることも責任を取ることもなく、彼はさっさと自分の戦争を終わらせた。評伝で何度も述べられるのは、ヒトラー一人が戦争を起こしたわけではないという点である。確かにヒトラ―本人のみに原因・責任があるのならば、彼は既に亡くなっているのだから、二度と同じような事態は起こらない。しかし実際に独裁国家、独裁傾向、暴走しかかっているのに止められず傍観する国民という構図はなくならない。 過ちを繰り返さないための第一歩は、過去を知る事、理解することだ。ドイツ国民にとって必要なそれは、日本国民にも当てはまる。知らない事は恥ではない。しかし恐ろしい事である。それは単に戦争に留まらず、他人を害する行為すべてに当てはまる。 ヒトラー(下) [ イアン・カーショー ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 28, 2016 08:51:27 AM
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