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みなさん、こんばんは。阿蘇山の噴火が恐ろしいですね。
さて、今日は実在の事件を扱った書籍を紹介します。 エドガルド・モルターラ誘拐事件 少年の数奇な運命とイタリア統一 The kidnapping of Edgardo Mortara デヴィッド・I・カーツァー 早川書房 キリスト教徒にとって、原罪を許す行為である洗礼を受けずに、天国へ召されることは最大の不幸だ。だからカソリックの女中は、今にも死にそうに見えたユダヤ人の男児に洗礼を施した。だが、ただそれだけの事だと思っていた行為は、男児を両親から引き離し、教皇や諸国を巻き込んだ論争に発展する。 この邦題にも、異論を唱える向きはいよう。突然息子を連れ去られた両親からすれば、誘拐という立派な犯罪行為だ。しかし連れ去った側、命じた側からすれば「ユダヤ人家庭にキリスト教信者を置いておく=異教徒の中にキリスト教徒を置いておく=のは好ましくない」という原則に基づいたまでだ。どちらも正しいと思っており、それぞれに味方がついたことから、事態は個人対個人の問題ではなくなっていく。 残念だったのは、誘拐された時、エドガルドがまだ事態を理解できる年齢ではなく、子供だったことだ。そのため、長い間キリスト教信者と暮らすうちに、近くに接する彼等への好意が、必死の形相で息子を連れ去ろうとする両親への情に勝ってしまう。彼が両方の宗教の教義を理解し、自分で考えて選択できる年齢に達していれば、このような軋轢は起きなかった。 教皇にとって誤算だったことは、今回の事件で諸国に存在を危険視されてしまったことだ。横暴行為に怒った市民によってイタリア統一運動が盛り上がり、遂に王国となってしまう。 宗教は、人を幸せにするためのものだ。そうでないなら、宗教は要らない。宗教のために実の家族が一生会えないなんてことが、この先も決してあってはならない。 スピルバーグが映画化し「ブリッジ・オブ・スパイ」でアカデミー賞助演男優賞を受賞した英俳優のマーク・ライランスが、ピウス9世役。 ![]() エドガルド・モルターラ誘拐事件 少年の数奇な運命とイタリア統一 [ デヴィッド・I・カーツァー ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
April 18, 2019 12:00:46 AM
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