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October 1, 2019
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みなさん、こんばんは。織田信成さんが関大を訴えましたね。
何があったのでしょう。

短編の名手と言われるイギリスの作家サキの長編小説を2日続けて紹介します。今日は二日目です。

ウィリアムが来た時
When William Came:A Story of London Under the Hohenzollerns
サキ
国書刊行会

第一次大戦の結果、イギリスはドイツに敗北。街には独英二ヶ国語の文字が並び、ドイツ風の名前の料理店やカフェが軒を連ね、バッキンガム宮殿にはドイツ国旗がはためき、王室はインドに追いやられ、ロンドンはすっかり様変わりした。その頃社交界では、体制に迎合する者、上手く利用しようとする者、反対する者、関心を持たぬ者など、さまざまな思惑をもった人物たちが、それぞれ己のため、あるいは国のために活動していた。

 主人公は戦争から戻ってきたヨービルで、英国から離れていたため、妻を含め母国の迎合的な雰囲気になじめない。一方妻のシシリーは積極的にドイツの有力者と繋がるためパーティを開く。ドイツによる英国支配をより堅固なものにするべく、クワル卿なる怪人物が暗躍して、ある晴れた暖かい五月の午後のハイド・パーク。支配を象徴するかのように、高らかにファンファーレを響かせるパレードを従えたドイツ皇帝がついにその姿を現す。そのドイツ皇帝の名前がウィリアム―ドイツ名はウィルヘルムになる。

 ディストピア小説が、あり得ない/あって欲しくない恐ろしい近未来を描いたものだとすると、本編の舞台はあまりに近すぎる。第一次大戦の一年前-1913年にこの本は刊行され、著者のサキは従軍中、1916年に狙撃されて命を落とす。サキのいない未来のイギリスには、幸運にして「あって欲しくない近未来」は訪れなかったが、その数十年後、遥か東方の日本で、本編で描かれた現象が見られる。よりによって、本編では日本は「小さい島国なのによくやった!」とべた褒め状態だったというのに。

 敗戦後、米軍統治下のもとで日本人は、穏やかに昨日までの敵を受け入れた。
米軍は
「今まで我々が持ってきた愛国心を弱め、最終的には消し去るために征服者たちは知恵を働かせながら時間が経過するのを待っているのだ。今の大人は歳を取るばかりで状況の変化を受け入れるより他にない。一方で、これからの世代は征服される以前の状況を知らないまま大人になっていくだろう。」
という医師の言葉のように、日本を長い間かけて従順な国に育て上げ
日本人は
「こういう状況だからこそ、人々は興味を持てること、夢中になれることを欲してるんじゃない。起こったことは、どうにもならないわ。結果をなかったことにはできないし、そこから逃げ出すこともできないわ。私たちにできること、あるいは、やろうとしているのは、人々のつらさ、不幸を少しでも和らげることよ」
シシリーのこの言葉のように生きてきた。

「征服されるというのには一つ良いことがある。それは、征服されたその国を陽気にするというものである。遠大な大望に対し、その実現の希望が絶たれれば、そこの共同体は持っている力を日常の些細で個人的なことに費やす。そして、単純で簡単に手に入る物質的な愉しみに気晴らしと息抜きを求めるのである。」
などという言葉は、まさに今の日本を言い当てているようでぞっとする。優れた作家は、時代も国も飛び越えて、人間の本質をつかみ取れるものなのか。


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最終更新日  October 1, 2019 12:00:21 AM
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