映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。今年の日本シリーズはえらくあっけなく終わってしまいましたね。
ラグビーW杯もあったので影が薄かったのかな。
最澄と空海という平安時代の巨頭二人の青春時代を描いた漫画の最新刊を紹介します。

阿・吽 (10)
おかざき真里

　前巻で「二人の道は、もう二度と交わることはないのか。」と振ったが、何と今巻で交わってしまった。とはいえすんなりと、ではない。

　国費留学生として留学した最澄と、二十年行っているはずが勝手に二年で帰ってきてしまった空海の立場は、政の世界のゆくたてと相まって、今や全く逆転してしまった。嵯峨天皇のお気に入りとなった空海と、前帝にとことん排斥された最澄。東大寺や乙訓寺の別当となる空海と、比叡山を拠点とし、早々と遺書を書く最澄。

　だがこれまで、周囲が両者を比べるほどには、二人はお互いの能力を比べるということはなかった。空海は「孤高こそ仏の道の本懐」と言い、友人になって欲しいという最澄の弟子の願いをやんわりと断っており、最澄は「決して私を棄てることなきように」と、自分を捨てる泰範を卑屈なまでに頼っていた。ところが本巻では、最澄が弟子にして欲しいと頭を下げる。つまり、能力(実力)の差を感じたということになる。

　史実では泰範の行動が二人の決別の原因と言われているが、なにせ昔の事なので真実はわからない。但し本作の二人においては、単なる弟子の取り合いで別れを決めそうにない。人には『犀の角のように歩む』時と『心を通わせられる誰か＝彼とともに歩む』時の二つがあり、そのサイクルが偶々巡ってきただけではないか。

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阿・吽　10　おかざき真里/著　阿吽社/監修・協力​​ドラマ 本と中古ゲームの販売買取​