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カテゴリ:海外の作家が書いた歴史小説
みなさん、こんばんは。8月になりましたね。
またアベノマスク配るらしいですよ。何考えてるんでしょうね。 今日から3日間ケン・フォレットの作品を紹介します。 火の柱(上) A Column of Fire ケン・フォレット 扶桑社ミステリー文庫 冒頭は名乗らない人物の独白である。何者かは途中でわかるので、実際の所なぜこの独白を入れたのか不明だ。なくてもいいのでは。入れるのなら、できるならば最後まで語り手を謎にしておくべきだ。 ドラマにもなった『大聖堂』の続編。前作の主人公トム・ビルダーやジャックは名前だけ登場。本編の表紙は若きエリザベス。まだ巨大なレースの襟をクジャクみたいに首にまとわない。それはそうだろう。まだ彼女は、女王になれるかどうか定かでなかった。彼女の異母姉-ブラッディ・メアリーという恐ろしい綽名のヘンリー8世の娘メアリーが女王で、良人はスペイン国王。ばりばりのカソリックだ。同じ父の血を引くというだけで辛うじて生き延びてきたエリザベスだが、未だ子供がいない女王の後継者として常に危険視されており、カソリック以外を認めない女王の方針に反対する民衆の希望の星でもあった。 最初の方は彼女のライバル、スコットランド女王メアリーの方が圧倒的優勢だ。それなのに立場が逆転していくのは、周りについた者の差か。エリザベスには既に能臣ウィリアム・セシルがついているのに、メアリーにはいいブレインがいない。生まれついての女王で、フランス王太子の妃、アンリ4世の急逝後王妃となる。背も高くて美人となれば、ちやほやする者達に事欠かない。カトリーヌ・ド・メディチや叔父のギーズ公のパワーゲームを近くで見ていたのに、学ぼうとする姿勢が見られないのは、決められた道がその通り進んでいくと信じて疑わないからだ。メアリーを責めるわけにはいかない。その頃の王族なんて大概がそんなものだ。死の恐怖に晒されていたエリザベスが特殊と言える。 将来的には二人がトップに立つイギリスとフランスを巡る宗教絡みの争いに巻き込まれるのが主役カップルだ。マージェリーの実家フィッツジェラルド家はばりばりの旧教で、一方のネッドは父亡き後母が商売をして稼いでいる進歩的な家柄で宗教にも寛容。マージェリーの兄ロロはネッドを敵視して何かと衝突する。この主役カップルだけではフランスの事情が書けないので、架空の人物としてメアリーの幼馴染アリソンと、フランスでギーズ家に取り入ろうとする若者ピエールが配されている。歴史上の人物と架空の人物が程よくブレンドされながら物語が展開する群像劇。 キングズブリッジという架空の街以外の前作との共通点は 1.主人公とヒロインはなかなか結ばれない。すぐ結ばれてしまうと波乱の人生にならずドラマにならないから!? 2.主役の周囲には歴史上の有名人が登場し、彼等を通じて有名人の心境や意外な面を浮き彫りにする。 3.ヒロインは必ず望まぬ相手に乱暴される。 などである。 3はどうかと思うが、苦しみを乗り越える女性の逞しさを表現したいのか。上巻ではメアリー女王が亡くなりイギリスはエリザベス女王の時代へ。一方のフランスもアンリ4世が亡くなりメアリーの夫フランソワの時代へ。これから歴史的イベントが山と待っていてわくわく。 火の柱(上) (海外文庫(ミステリー)) [ ケン・フォレット ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 2, 2020 12:00:19 AM
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