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April 9, 2021
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みなさん、こんばんは。
「東北新社」の衛星放送事業の認定が取り消しになっちゃいましたね。 事実と異なる申請だったとか。
さて、今日は実在の一族についてのノンフィクションを紹介します。

ウィトゲンシュタイン家の人びと
The House of Wittgenstein
アレグザンダー・ウォー
中央公論新社

ルートウィヒ・ウィトゲンシュタインといえば、おそらく哲学に興味のない人は名前を聞いたくらいだろう。歴史の教科書にも出てこないはずだ。最初の著書『論理哲学論考』で自分の中の哲学を完成してしまったので、以後の著作がないのも知られていない所以だ。

 そんな早熟な天才を生んだ父親はといえば、父親(ウィトゲンシュタインの祖父)に逆らって起業し、一代にして財を成した立志伝中の人物だ。こうした父親の常として、息子にも自分と同様の資質を求める。何せ自分が成功例なのだから確信がある。幸いにして八人も子供がおり五人が息子で後継者はより取り見取りのように思われた。ところが傍目には
「父と子のとくに大きな違い―とくに悲劇的な違い―は、幼いころから息子たちには人生に対するバイタリティと意思が欠けていたことだった 」
と早々に見切られて、息子三人がいずれも失踪・自殺している。強すぎる父親の圧を受けかねたのか。生き残ったのはルートウィヒとそのすぐ上の兄であるパウルのみだ。

 ならば二人が圧を乗り越えるくらい個性が強かったのかと言えば、まあそうだ。戦争で右腕を失ったパウルは父親から受け継いだ莫大な資産をバックに、ラヴェル、プロコフィエフと当代随一の作曲家に次々と左手だけで演奏できる作曲を依頼している。しかしどうしても片手で弾くため両手よりもピアノの音が小さくなる。そこで作曲家にオーケストラの音を薄くしてくれるよう指示(頼むのではない)し、揚げ句喧嘩になる。一面から見れば、片手のピアニストでも演奏できる曲を生み出してくれた恩人なのだが、作曲家の思惑を圧ではねのける暴君と思われても仕方がない。

 一方のルートウィヒも、誰もが向いてないと思っているにも関わらず小学校教師になる。なまじ自分が頭がいいものだから、わかりの悪い生徒に体罰を加える事態が度重なって裁判沙汰になり、しまいには精神鑑定を受けさせようという騒ぎになってしまう。複雑な世界を解き明かすことはできても、自分を客観的に見ることができないという典型的な例である。

 彼等が育った国がオーストリアであることから、二回の大戦を経て名家ウィトゲンシュタイン家が動乱に巻き込まれる事は予測がつくであろう。一方、彼等のすぐ近くでこの動乱に関係する人物がいた。アドルフ・ヒトラーだ。ルートウィヒとアドルフ・ヒトラーは公立実科高等学校で同級だった。ルートウィヒやパウルと同様第一次大戦に参戦したヒトラーは、偉大な父も財産も持たず一兵卒の扱いだった。塩素ガス攻撃によって目も見えず口もきけなくなっていた彼は大いに人生を悲観してもいいはずだが、
「こんな問いが頭をよぎった。『おまえはまったく死を恐れていない―なぜだ?まわりの誰もが倒れているのに、おまえはまだ生きている―なぜだ?』そしてそのとき、私は思った。それは私が選ばれた人間だからだ。私に何かをなさせるために、運命がわたしを選んだのだ。私は自分の生涯を祖国に捧げようと決意した―敵を駆逐して国境の向こうに追いやるのが私の務めだと決意した。」
とプラス志向に転じてドイツでのし上がってゆくのは周知の通り。父の遺産で裕福に暮らしたウィトゲンシュタインの息子達と、守衛と家政婦の息子が人生のどこかですれ違い、転落と栄達に分かれてゆく様は大いにドラマティックだった。誰かこの視点でドラマ化してくれないものか。


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最終更新日  April 9, 2021 12:00:20 AM
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