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みなさん、こんばんは。バイデン大統領の妻がオリンピック開会式に出席するようですね。
今日は韓国の小説を紹介します。

滞空女: 屋根の上のモダンガール
パク・ソリョン
三一書房

　表紙絵の屋根に上っているのが姜周龍。タイトル文字を両手で持っているなかなか気の利いたデザインだ。だが表情は険しい。途中で切れているので高さがわからないが、高さ12メートルの乙密台に昇り、朝鮮初の高城籠城を成し遂げた運動家だ。高所に昇ることがなぜ闘争になるかというと、やはりアピール力だ。。高城籠城戦法は、二〇〇〇年代でも行われている。死ぬ人もいるこの作戦で、ひとまず本人の命がけの覚悟は伝わる。但し、姜周龍の場合、最初から派手な労働運動をぶちかましたくて昇ったわけではなかった。

　姜周龍はムン・ジェイン大統領の演説にも登場する。大統領演説では彼女の敵は“日帝”となっているが、実際にゼネストで訴えた相手は、勤めていた平壌のゴム工場の幹部たちだ。世界的な大恐慌の煽りを受け、一方的に経営者が労働者の賃金削減を訴えたのが理由である。最初から彼女は労働運動家だったわけではない。貧しい家の娘の例に漏れず、教育を満足に受けられずに育つ。だが向上心は人一倍あり、彼女と熱く議論するインテリ青年に対しても負けていない。革命家たらんとする意思がなくても、何かと運動の旗頭に立ち、目立ってしまう運命の元に生まれたのではないか。ただし運命は無作為に彼女を選ばない。工場の仲間に示す姉御肌なところ、間違っていることには黙っていられない正義感など、ヒーローになりうる素質は備えていた。
　
　五歳年下の夫との読んでいるこちらが恥ずかしい初夜エピソード、日本からの独立熱に燃える夫に従って家出、有名な革命家との出会い、友人の代わりにストライキ団に参加する経緯など、ドラマ化できる要素がてんこもりの短くも激しい人生だ。作品が大変面白かったので、どれくらい脚色されたのかと思い解説を見たらほぼ実話だった。彼女の夫と工場で出会う運動家達憲をイケメンにして、テーマをそのままに誰かドラマ化しないものか。


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