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みなさんこんばんは。女優の石原さとみが、第1子を妊娠したそうです。めでたいですね。
今日は語りなおしシェイクスピアシリーズ第三弾を紹介します。

語りなおしシェイクスピア 3 じゃじゃ馬ならし ヴィネガー・ガール
Vinegar Girl
アン・タイラー
集英社

　シェイクスピア作品は人間の普遍的なテーマを描いている。とはいっても、現代感覚でどうしても受け入れにくい作品もある。その最たるものが『じゃじゃ馬ならし』だ。

　じゃじゃ馬ならしは、年中モテキの妹ビアンカをバシバシ殴る勝気なお姉さんキャタリーナが、結婚相手として名乗りをあげたペトルーキオに食を断たれるわ、眠らせないわという荒療治で従順な妻に生まれ変わるという話で、現代ならばペトルーキオは瞬殺でDV夫扱いされるはずだ。

　そもそも表紙に書いてあるヒロイン・ケイトの「恋人なし、愛嬌なし、人生設計なし」が、どうしてじゃじゃ馬という定義になる？だいたい、今どき“じゃじゃ馬”言わないし。

　リトールドというよりは換骨奪胎である。研究者としては有望だが父と夫としてはいまいちだった父に代わって家の事を取り仕切っているしっかりものケイトが、優秀な研究助手ピョートルを失いたくない父に頼まれて偽装結婚をするというもの。目的があって結婚するというストーリー自体は韓国ドラマで何度も出てきたし、最近は日本でもドラマ『逃げ恥』などで契約結婚という形で登場。形式だけのつもりだった結婚が、当人同士の間ではいつしかそうではなくなってしまうストーリーはもはや王道になっている。

　ケイトはオリジナルヒロインのように妹をぶちもしなければ、怒りっぽくもない。年齢の割には世間ずれしていないため、大学も職場もうまくいっていない。しかし、最初偽装結婚を持ち掛けられて怒る分別と良心は持ち合わせている。むしろ結婚という起爆剤によって彼女を見る周囲が変わり、母を早くになくしておませさんになっている15歳の妹と自分の世話を依存していた父親から解放されるきっかけになっている。いや、アン・タイラー思い切ったな。



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