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April 26, 2022
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みなさん、こんばんは。映画評論家の佐藤忠男さんが死去しましたね。今日はベトナム戦争にまつわる小説を紹介します。

モンキーブリッジ
Monkey Bridge
ラン・カオ
彩流社

 朝鮮戦争にせよベトナム戦争にせよ、現地の人達は本当に戦争がしたかったのだろうか。歴史の授業では朝鮮戦争は敗戦でずたずたになっていた日本が息を吹き返した救い主扱いされていたが、考えてみれば、他人の戦争で金持ちになるなんて、他所の国で代理戦争をするのと同じくらい朝鮮半島に対して失礼だ。

 ベトナム戦争はまさに代理戦争だ。元はフランスの植民地だったベトナムが独立し、北緯17度を南北の暫定的軍事境界線とし、南北を分割した流れは朝鮮戦争と同じだ。アメリカの支援を受けるようになった南ベトナムと、共産勢力の北ベトナムの戦いは10年間続き、アメリカの直接関与は1973年に終わり、ラオス内戦、カンボジア内戦を経て、1975年に3カ国とも社会主義化して終結した。

 同著者の「蓮と嵐」と本編の主人公の名前は同じ、マイだ。しかし本作の場合、語り手はマイ以外にもいる。語り手を複数にする事で、多視点的・重層的な構造となり、物語内容のもっとも重大な部分を直接的に語らず、暗示によって読者にそれとなく示す。

 例えば祖父の物語がそうだ。マイは危険な場所に敢えて踏み込み米兵を救った祖父ババ・クワンの話を母ターンから聞かされて育った。友軍米兵を救い、立派にアメリカに渡る資格を持つババ・クワンとターンは不幸にもはぐれてしまい、ババ・クワンは危険なベトナムにいる。マイは勇敢な戦士の面も持つ平凡なベトナムの農民だったババ・クワンに会いたくてしかたがなく、大怪我を負ったターンを支えるためにも彼の捜索と渡米を切望する。

 しかしターンにはまたババ・クワンに対する別の物語があった。この物語は決してマイに語られる事がなく、ババ・クワンがアメリカに渡る事ができない理由にもなっている。もしベトナム戦争が起きなかったら、ババ・クワン、ターン、マイは、どんな人生を送っていたのか。本来の故郷であるベトナムで暮らし、個性は持ちつつも共通の価値観を持った人生を歩んでいたかもしれない。しかし戦争は起こり、時に人々の心に思いがけない感情を噴出させてしまう。それは全て戦争のせいなのか。もともとその人に眠っていた感情なのか。

 『ディア・ハンター』『帰郷』他、ベトナム戦争はアメリカ国民を揺るがし、理想に燃えた若者が現実を知る通過儀礼のように語られる。だが、蹂躙されたあげく放り出された側の国民の慟哭は殆ど聞こえない。それは場所を変え、現代においても続く。彼等の声を拾い上げたのは、ベトナム戦争末期にベトナムを離れた著者であった。この声を無視してはならない。


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最終更新日  April 26, 2022 01:04:30 AM
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