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カテゴリ:海外の作家が書いた歴史小説
みなさんこんばんは。ジャニー喜多川氏の性加害の問題を受けて、サントリーホールディングスがジャニーズ事務所に所属するタレントと新たに契約しないことを決めるなど、企業の間で関係を見直す動きが広がっています。今日もフローベール作品を紹介します。
サラムボー (上下) Salammbo 岩波文庫 フローベール 大国ローマを相手に、三度戦った都市国家カルタゴ。ポエニ戦争の英雄と言えば、象のアルプス越えで知られるハンニバル・バルカが有名だが、その父ハミルカルも第一次ポエニ戦争でローマとの戦いに全て勝利したにも関わらず、本国の敗北によりローマとの講和を余儀なくされた。勝利すれば賞金が得られる。しかし講和の場合は相手側から得られない。すると何が起こるか。 カルタゴの兵は傭兵であり、彼らはカルタゴというより、ハミルカルに対する忠誠心で集まった者たちだった。国内の反ハミルカル陣営により約束された報酬が得られなかった傭兵は反乱を起こす。本編はポエニ戦争ではなく、結果起こった反乱がメインである。後に息子ハンニバルを苦しめ、戦闘では十分優位に立てたにも関わらず、ローマに勝ちきれず滅びてゆくカルタゴの弱点が既に露呈している。 カルタゴの統領ハミルカルの娘サラムボーは、女神タニットに仕えていた。ハミルカルの元で戦った傭兵隊長マトーは、彼女への許されざる情念を胸に、神殿から聖布ザインフを奪い、反乱軍の指導者となる。戦の責任を押し付けられたサラムボーは、聖布を取り返すよう命じられ、ひとり反乱軍の指導者マトーの天幕を訪れるが。 何かと物議を醸した『ボヴァリー夫人』の次作は、フローベールには珍しく、がちがちの戦記・軍記もの。皆大好きファランクスや、ハンニバル一族につきものの戦象、そしておぞましい、戦勝のため生贄を捧げる儀式など、残酷描写も多数。『ボヴァリー夫人』で叩かれた鬱憤を晴らしたかったかのようだ。 「聖布を取り戻すためなら何でもやってこい!」とサラムボーをたきつけてマトーの所へ行かせたにも関わらず、いざ戻ってくると嫉妬に狂い、信仰さえ捨て去る神官シャハバリム、オセローのイヤーゴーの如くマトーに毒を吹き込む元奴隷スペンディウス、一目でサラムボーに魅せられるヌミディアの若き族長ナルハヴァス、息子(ハンニバル)は替え玉を使ってでも守るのに、娘は戦勝の褒美にくれてやるくらいの軽い扱いにしか見ていないハミルカルなど、キャラクターが立っている。サラムボーが仕える女神タニットが誕生・豊穣を司る神ならば、生贄を要求するモロックは破壊を司る男性神で、敢えて対比的に登場させている。 サラムボー (上) (岩波文庫) [ フローベール ] サラムボー (下) (岩波文庫) [ フローベール ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
October 9, 2023 12:00:27 AM
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