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December 12, 2023
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みなさんこんばんは。今年も大谷選手が大活躍でMVPを獲得しましたね。よしながふみさんの漫画大奥がNHKでドラマになりましたね。

よしながふみ大奥

【原作】
よしながふみ「大奥」
【脚本】
森下佳子
【制作統括】
藤並英樹
【プロデューサー】
舩田遼介 松田恭典
【演出】
大原拓 田島彰洋 川野秀昭

出演
八代将軍吉宗・水野祐之進編 (1)
中島裕翔 冨永愛 白石聖 三浦透子 MEGUMI 片桐はいり 岡本玲 當真あみ

三代将軍家光・万里小路有功編 (2)
斉藤由貴 福士蒼汰 堀田真由 眞島秀和 岡山 天音

5代 徳川綱吉×右衛門佐 編
徳重 聡  仲里依紗 山本耕史 竜雷太

やはり出てきてますね尺が足りないという意見。それだけ原作には捨てられないエピソードがいっぱいあって捨てキャラが一人もいないのですよ。いつか本当に大河でコンプリート版をやって欲しい。

八代将軍吉宗・水野祐之進編 (1)
若い男にのみ感染し、致死率80%に及ぶ奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」が蔓延し、男の数が激減した江戸時代。男子の多くが、種馬としての人生を送っていた。一方、女は労働を担い、将軍職も女へと引き継がれていた。そんな中、貧乏な旗本の息子・水野祐之進は、幼馴染・信との結婚を諦めようと、大奥入りを決意。そこで、8代将軍・徳川吉宗から最初に声がかかるのだが。

コンパクトにまとめましたね。次は没日録の存在を知り過去編へ。今回一方的なやられ役だった間部詮房が6代将軍家宣に対しては全然違っていた事や久通の吉宗を思う強さなど よしながふみ 漫画の持っている多面性がうまくドラマに生かされることを望みます。

三代将軍家光・万里小路有功編 (2)
謎の奇病「赤面疱瘡」が流行り始めた頃、3代将軍・徳川家光が死亡。家光の乳母である春日局は、将軍の死を隠そうと、実の息子である稲葉正勝にあることを告げる。その6年後、美しき僧・万里小路有功は、継目祝いで訪れた江戸城で、春日局から無理やり還俗を迫られ大奥入りをすることに。有功がそこで出会った将軍・家光は、なんと少女であった。

原作を知る者はああ若紫!と思う。お万と言われてあくまで自分の名前に拘る有功に憤ったのは自身名前も家族も奪われただ借り腹のために閉じ込められているから。まだ有功には彼女の事情はわからない。実家にSOSの手紙を出しあっさりばれてるあたりこの件の有功はまだ世間を知らない。

家光=上様が死んではならないのは「戦乱の世に逆戻りする」から。春日局の溺愛も勿論あるが父を戦で亡くした彼女の切実さが信念となって皆の不平不満をなぎ倒す。麻生祐未 版局も素晴らしかったが丁寧に頼んでいたかと思えば瞬時にして狂気に変わる 斎藤由貴 版局も目が離せない

三代将軍家光・万里小路有功編 (3)
有功は、家光から贈られた猫に『若紫』と名付ける。若紫の存在で家光と有功の距離は次第に縮まっていく。一方で、有功の部屋子・玉栄は有功のことを良く思わない者たちから嫌がらせを受け始める。有功もまた玉栄の変わった様子が気がかりになっていく。そんな中、有功と家光を繋ぐ若紫を巻き込んだある事件が起こってしまうのであった。

村瀬自分で書きながら涙したりウフフしたりしてたが初めて吉宗という読者を得て嬉しそう。名と母=家族と女性という性を奪われてきた千恵が有功を得て全てを手に入れた矢先に。次回「お前が私を抱くのではない 私がお前を抱くのだ」上様のかっけー台詞が登場。

原作の老年村瀬って黒目が多く淡々と日々の記録を命じられるまま綴ってきた感があるがドラマでは自分で恋愛小説を書きながら実は作品に夢中な作家の感すらある石橋蓮司さん演じる老年の村瀬。若き村瀬は見ざる聞かざる言わざるを通して大奥で生き残る!を実践していたのに何があった村瀬

ドラマ版で演じていた 堺雅人 が「有功って一つ一つ分析すると全然いい奴じゃないのに総体で見るとなんかものすごいいい奴」と言っていたが次回が結構衝撃の行動に出るのでニュアンスがわかるかも。本当の有功の面白みはこれから。

三代将軍家光・万里小路有功編 (4)
思いを寄せ合い始めた有功と家光。しかし有功は春日局からとある宣告を受ける。そして春日局は新しい家光の相手候補・捨蔵を大奥に呼び寄せてしまった。一方、有功から報告を受けた家光は、激しく取り乱すも、しばらくして、家光は捨蔵との子・千代姫を出産。母となった家光は、ある決断を行うのであった。

上様の母としての顔を見て衆生を救う世界にいたはずの有功に芽生える激しい嫉妬。堺雅人 版はそれでも微笑んでいたが本編はわりと一人の時には感情が出ていたな。有功と春日局の和解に尺が獲られたものの最後の上様の女性姿披露シーンは欠かせない!新型コロナ流行と赤面疱瘡がリンク。

五代将軍徳川綱吉×右衛門佐 編(5)
嫉妬に苦しむ有功は、家光にある訴えをする。有功の気持ちを知った家光は、有功にとある役目を授ける。そして、時は流れ―5代・徳川綱吉の時代。綱吉は奔放な将軍で、大奥だけに留まらず城の外でも男を漁るほど。そんな中でも綱吉との間に子を持てずにいた御台が大奥に呼び込んだのは、大奥中が噂をするほどの美青年・右衛門佐で。

あらら読み飛ばされてしまった「左様せい様」松姫も育ち聡明で色狂い順風満帆だったはずの綱吉の運命がここから暗転。牧野の件は吉保が彼女を蹴落とすために仕組み綱吉はそれに乗った。刀傷が示すシスターフッド。桂昌院右衛門佐を見て「有功様の再来!」ってならなかったな。

有功お褥すべりとお玉が上様のお相手になるのに殆どタイムラグなし。「心も体も自分だけのものにしたくなったから離れたい」と言われ自分がどれほど愛されているか知った千恵が本名を呼ばれて一人の女として亡くなってゆくラストシーンの美しさよ。迷わず後を追う稲葉正勝もまた哀し。

五代将軍綱吉・右衛門佐編 (6)
綱吉は桂昌院の反対を押し切り、右衛門佐を側室候補にしようとする。しかし、右衛門佐はとある理由から、綱吉への忠義を示すことのできる役目を懇願する。一方、側用人・柳沢吉保と桂昌院は、綱吉が気にかける右衛門佐をなんとか失脚させようと、あらゆる手を尽くし。そんな折、綱吉の一人娘・松姫に悲劇が襲い、綱吉の人生の歯車が狂い始めていく。

聡明な綱吉が壊れてゆき溺愛する父が若紫の因果に怯えあの有名な悪法誕生。互いに絶望の中で出会う右衛門佐と綱吉。「どうしてこういう状況じゃないと恋愛ものが書けないのか」と よしながふみ さんが嘆いてたな。

「わしは左様せい様とは違うぞ のう吉保」聡明さを謳われていたのに娘を亡くした途端その悲しみに浸る間もなく子作りを迫られる。徳川の世を繋ぐために単なる生産機械のように扱われる綱吉の姿は現代女性にこそ響く。そしてだからこそあの右衛門佐の名台詞が沁みるのだ。

自分に大奥入りを頼んだ有功の無念の思い(襖切りつけ)と託された願いが記憶として残っている桂昌院は娘に無邪気に願いを語る。言い聞かせられたかもしれないが記憶を共有してない綱吉は娘を亡くしたばかりですぐに「子作りを」と言われこの表情。親故に叱ることも拒絶することもできない。

周囲が思うほど色狂い一辺倒ではない綱吉の学問好きの一面。右衛門佐と共に学問好きであったが周囲が求めるのは別の能力。その気にさせる化粧や手管を毎夜違った男に見せつける綱吉の思いは置き去りにされ将軍としての務め=子作りが求められる。寸止めシーンで今回は幕。

「将軍の何よりの務めは子を生むことや」これ将軍を女に入れ替えたらずっと少子化対策と称して女性が言われ続けていること。ちび吉宗登場。オノマチ吉保はワープ航法か?という感じで右衛門佐の前に現れたクールな印象で 倉科カナ 版吉保はわりとウェット。

原作漫画でも衣は象徴。家光の場合は有功に女物の着物を着せられる=家光の本心を晒される&本来の女性に戻る。そして綱吉の脱ぎ捨てる衣は周囲の望むままに生きてきて抜け殻だった自分。振り捨ててゆくシーンはスローモーションなのか。

五代将軍綱吉・右衛門佐編 (7)
右衛門佐は、綱吉が松姫を失った悲しみを隠し、これまでにないほどの奔放なふるまいをしていたことを知る。それでもなお桂昌院から世継ぎを生むことを求められ、父の願いを懸命に応えようとする綱吉。江戸市中では赤穂事件や生類憐みの令も手伝って評判が下落し、善政をしけず世継ぎも作れない自分はなぜ生きているのかと慟哭する彼女を、大奥総取締・右衛門佐は優しく抱きしめる。

「月のものなどとうに来ておらぬ」寺と大奥しか知らず相手の家光は若くして亡くなったため女性の生理について無知な玉栄はひたすらまぐわい子を生す事だけを愛する娘に望む。太陽にほえろ のゴリさん役だった 竜雷太 がこんな役を演じるとは長生きするものですね。

一人だけ粗末な衣装で着飾らない信(後の吉宗)がもろシンデレラ。「美しい女に興味がない男もいる」と言われた後右衛門佐からの告白を受けやっと救われる綱吉。欲徳なしに綱吉を愛した吉保と右衛門佐。一人は愛故に彼女に生きよといい一人もまた愛故に彼女に引導を渡す。

最愛の人を得て気持ちを確かめ合った翌日にその人を失う展開を よしながふみ さんは「とんでもない悲恋として描いたが映画では最後にいい愛に出会えてよかったというハピエンになっていた」と語った。死んでもなお綱吉の心に残る本ドラマでもハピエン寄りだったのでは。

八代将軍吉宗・水野祐之進編 (8)
時は、8代・徳川吉宗の時代へ。吉宗は久通から村瀬の死を知らされる。それと同時に、吉宗が読んでいた『没日録』の続きが紛失。吉宗は村瀬の死と『没日録』の紛失に何か関係があるかもしれないと怪しむ。その一方で、吉宗は苦しむ民の為に「上米の制」や「目安箱」など様々な政策を打ち出し、いよいよ『赤面疱瘡』の解決へ動き出していくのであった。

原作で御用取次という新たな役目を設ける、それもお前がやるんだと吉宗に言われて「ほへ?」となっちゃう久通。しかしえてして天然ボケに見える人ほど裏では切れすぎるほど切れる。この辺りもドラマで描かれるのか。そして全てを知って引き受ける吉宗も主の器。

徳川幕府中興の祖吉宗はこれまでぐずぐずと続けていたものをすぱっすぱっと理で切り捨てていく。しかし理だけでは世の中は成り立たないと退場の藤波様が情の大切さを説く。それにしても 片岡愛之助さん 所作が見事。加納久道現代で言う所のSNS拡散を江戸市中に仕込み小石川養生園に誘導。

吉宗公杉下への迫り方にも無駄がない。相手の反応に構わず目的にまっしぐらなところが情緒がないと言われる所以か。子を生す事のできない有功の系譜を継ぐ杉下が吉宗の欠けたる所を満たしていく宣言をしてオトコマエでカッコいい。

家重の悲劇は誰もが認める名君吉宗を母親に持ってしまったこと。時代を越えて名君と謳われる母親と比べられたら誰も叶わない。よしながふみ さんお気に入りキャラの登場が楽しみ。

八代将軍吉宗・水野祐之進編 (9)
吉宗は、江戸で発生した『赤面疱瘡』に効くかもしれないと、ある物を試してみるが、敗北に終わる。この一件に責任を感じた水野からの訴えで、吉宗は大きな決断を下すことに。それと同時に吉宗を悩ませるのが、長女の家重。家重は、体を思うように動かせない苛立ちから周囲を困らせることが多いのであった。そんな中、新たに家重の小姓となった龍は将棋であることに気づく。

聡明である事は条件としては勿論望ましい。しかし自分のためではなく「誰かの役に立ちたい」と告げる家重を後継者に決める吉宗。漢詩を詠む場面は原作でも印象的だった。将軍になれなかった宗武の無念が子の松平定信に引き継がれてからの話はSeason2に。

原作では水野はめ組のひとになるので再会はしないがドラマでは蘭学を学ぶため再び大奥へ。S1ラストはいろんな人との再会がありそう。男子が少ないのを知られないために蘭学を男性だけに学ばせたことがS2のあの人に繋がっていく。

なぜ加納が長子相続に拘ったかは次回の縁側シーンにて。猿の肝を買いに行った時にちらっと話に出てきた「村人が赤面疱瘡にかからなかった原因」ああそこに気づいていれば!後を田沼意次に託し国民への愛に殉じ国を亡ぼすまいと抗った吉宗去る。次代のあの人この人へのバトンが渡されS2へ

八代将軍吉宗・水野祐之進編 (10)
吉宗は、大岡忠相からの手紙と、村瀬の死と同時に行方の分からなくなっていた没日録を受け取る。戻ってきた没日録を読んだ吉宗は、これまで隠されていた衝撃の事実を知ることに。その後、吉宗は将軍の座を家重に引き継ぎ、後世へと希望を託すのであった。

いやいやいや謎の男という役名がなくてもすぐわかりましたよ長崎だしあの風体だし。平賀源内が 鈴木杏 さんなんですね。黒木が 玉置玲央 さん。楽しみ楽しみ。

加納久通の最後の出仕日に満を持して部屋住みの身である自分が将軍になれた経緯と久通が「いつか公方になる」と語った日々を静かに語る吉宗。このヒグラシの泣き声も完璧に再現されていましたね。素晴らしい。

いやーこの青沼も使命感に燃える素晴らしい人物なのです。原作未読の方は是非読んで欲しい。ある場面に至った時の彼の潔さ。黒木の慟哭が引き出されるわけです。

片岡愛之助 が言うからこそ意味がある仁左衛門贔屓(松嶋屋!)。吉宗の願う通り国は滅びなかったが徳川家は自らの毒により滅びの道へ。そして血を繋ぐことに懸命になった春日局がつくった大奥最後の徳川家を守ったのは徳川とは血縁のない人達。未来は常に見通せない。

Season2
出演
医療篇
松下 奈緒 安達 祐実 村雨辰剛  玉置玲央  鈴木杏  相島 一之
前田 公輝 佐津川愛美 佐藤江梨子 高田夏帆 趙珉和  蓮佛美沙子

幕末編
瀧内 公美 愛希れいか 古川雄大 岸井ゆきの 福士蒼汰
髙嶋政伸 木村了 中川翼 味方良介 高木渉 津田健次郎
大東駿介 山村紅葉 中村アン 原田泰造 長野里美  宮野真守

医療編 (11)
8代・吉宗公の薨去よりおよそ20年の年月が流れ―平賀源内は、長崎・出島で蘭学の習得者探しに奔走していた。それは亡き吉宗公より「赤面疱瘡」の撲滅を託された田沼意次からの内命であった。源内はそこで蘭方医・吾作と出会い、赤面疱瘡の解明に挑むため大奥入りを誘う。大奥入りを果たした吾作は名を青沼と改め、黒木の補佐のもと蘭学の講義を始めていくが。

時代が下って若くて聡明だった龍(実名龍助)が麗しく頼もしい主殿頭として戻ってきた。吉宗から託された赤面疱瘡撲滅に動き出し医療編開幕。吾作改め青沼が「ありがとうと言われるのが好き」という台詞は後の源内の「どんな言葉よりありがとうと言われるのが大好きさ!」に通じる。

赤面疱瘡の種を早くも熊の遺体から見つける動く本草学者源内。御台との仲も良く父の聡明さも受け継いだ頼れる将軍家治。思えばこの頃が青沼への風当たりは強くても医療チームにとっては蜜月だった。伏兵はすぐそばに、わかりやすい方も、わかりにくい方も。

「病を治すのは結局は人(基礎体力&免疫)」炭を薬として売りつけた父と同じ事を言っても青沼の言葉に心動かされた黒木。春画を持ってきちゃう伊兵衛。かみ合わない3人とお端下の僖助がこの先医療編を繋いでいく。新型コロナでも石鹸で手を洗うは基本!

​ どんなに能力があっても日本では医者としてやっていけず望まれてきた大奥でも差別があることを捨てられたサボンで示す(原作にもあった)。虐げられ排除されても希望を捨てず常に前向きで決して人を責めない究極のいい人青沼の意思がこの先医療チームを引っ張っていく光に。

ああこの三人をずっと見ていたい!でもこの舞台から最初に降りてしまうのが…。

医療編 (12)
青沼の蘭学講義は、伊兵衛や家治の御台・五十宮も加わり賑わいを見せる。ある日、意次が源内を連れ立って講義部屋を訪れ、その真の目的は「赤面疱瘡の解明」と伝えられる。蘭学の習得にいっそう励む講義部屋の男たちであったが、ある偶然からその糸口を発見することに。その裏で、一橋治済は田安定信に近づいていき。

前回まで意次を全面的にサポートし今回も「意次が一人で決めれば」とさも彼女を推しているように見えながら意次が専横を極めるかのように見せる治斉。母からかけられた呪いで吉宗の世の再来を夢見て治斉に操られる定信。吉宗の後継者選びは孫の代に禍根を生む。

ちなみに竹とんぼ源内考案説あり。田沼意次へのあけっぴろげな恋(のってくれる田沼様GJ)。応援してくれた弟の赤面疱瘡の死に誓った本草学者への志。沸き起こるアイデアと何でも喋り散らかすようにして大事な事は言うべき相手を選ぶ。今回平賀源内クローズアップ回。

この後原作では源内が「死にたくないよう」ってまるで子供のように泣くんですよね。あの生命力に溢れた源内がってところがツボでした。「めちゃくちゃ人の役に立っちゃう」伊兵衛も黒木もこれから大切な人を失い人生が変わっていく。

ここで接種受けてる少年は未来のあの子だな。ちゃっかり自分の子には受けさせるあの人。頼りの将軍を失い白髪が増える意次。茫然とする定信。笑っているうちはまだ怖さは半分治斉。予告を見てあ!あのシーンだ!とわかってる原作既読組。

医療編 (13)
源内は赤面疱瘡の治療法を「人痘接種」と名付け、青沼たちは大奥内で接種を望む者を募る。実績を増やし、徐々に大奥内での評判を広めようと試みるが、得体の知れない治療への理解は思うように得られず。青沼への反発も膨らむ一方であった。そして、意次も源内や青沼を引き入れた責任を擦り付けられ。懸命に歩んできた者たちを理不尽な暴力が襲う。

アヴァンから辛い場面の連続。二度と会う事はないと知りながら病で痩せた体を押して動き続ける源内。生きる事=動き続けることだから。原作では息子意知を亡くし(「べらぼう 」で宮沢氷魚 演じる)更に絶望の淵に追いやられるが本編では終わるその時まで動き続ける意次。

いくらでも凛々しい姿で登場できるのに終始茫洋とした表情をしているのには理由があって。しかし彼もこの後覚醒する。自分を殺そうとしている女性の息子だと知らず(知っても青沼は変わらないだろうが)人痘を施す青沼をうっすらと思い出す家斉。人呼んでオットセイ将軍。

いやさすがにこの台詞を変えたら原作ファンあれっと思いますね。一言一句変えないでくれてありがとうございます。しかしここから始まる母と子の物語も凄まじい。この漫画が出た頃まだ毒親という言葉はなかったように思う。これも今ドラマ化されたからならでは。

漫画版大奥で家治の紹介に「聡明で懐が深いが想定外の危機には弱い所も」ってあって自分が毒を盛られていたと知った場面はまさにその弱い場面が出た。例え部下が自分に知らせずにライバルを殺していても我が罪と飲み込み全てを引き受ける覚悟を持った名君吉宗様とは違ってしまった。

前回の五十宮から始まり皆青沼に涙ながらに礼を言う。死の間際に彼が思い出すのは外国人との間の子ゆえに受けた辛い思いではなく赤面疱瘡をなくすために戦った仲間たちの思い出。こんなにきっぱりと思いきれる人がいるのか、と原作を読んだ当時思った。

医療編 (14)
3代・家光以来の男将軍として就任した家斉。しかし実権は母・治済に握られ、政治に口を出すことは許されなかった。が、秘密裏に赤面疱瘡の研究を再開させ、男子が活躍できる世を復活させようと考え始め、過去の人痘開発に尽力した者たちを探し始める。一方で、家斉の正室の御台は大奥でうまく渡り歩くが、子供たちの不審死が立て続くようになり、周囲に不信感を募らせていくのであった。

青沼の一文字を取り息子に青史郎と名付け5年間赤面疱瘡が治った村を探し続ける黒木。留守を守る僖助。それぞれに息子を持ち赤面疱瘡は他人事ではなくなった二人の前に将軍が跪き人痘を乞う。回想としてまだ元気だった頃の源内が映り涙。

御台が鷹揚で優しいためあれだけ側室がいても和やかな大奥。退屈が大嫌いな治斉が御台とお志賀の方の間に不協和音を生み出し各々の名でカステラと粽を送り付ける。他人の苦しみを見て喜ぶ怪物が母と知った衝撃はすごかったろうにそれでも子を失う母=御台を見て逆らう決意をする家斉。

大奥 は愛したくても愛せず愛されたくても愛されない、或いは思いが伝わらない親子のドラマである。綱吉と桂昌院、吉宗と家重、そして今回の治斉と家斉にこの後も続く。血縁=愛すべきにこだわらず愛せるものどうし家族になればいい、というのが よしながふみ 作品のテーマである。

医療編 (15)
黒木は、再び人痘の開発に尽力して欲しいと訪ねてきた家斉に納得がいかず、追い返してしまうも、伊兵衛や家族の説得により家斉と手を取り合う覚悟を持つ。不穏な動きを怪しむ治済の厳しい目を避けながら、家斉と黒木は翻訳局を新たに立ち上げる。再び青沼や源内、意次と夢見た「赤面疱瘡撲滅」に挑んでいくが、ついには治済の耳に入ってしまうのであった。

我が子を殺された御台とお志賀が長きにわたって我が子将軍を手にかけようとする治斉をたばかり手にかける。恐ろしい母でも医師を呼んで欲しいと頼む優しい家斉がどうしてもできなかったことを女二人が成し遂げた。女を護れる男になりたい家斉だったが最後まで女に守られた。

雷サービス&奮発しすぎな本編。所業の自覚はあるため毒殺を恐れ毒見役をつける。しかし復讐に燃える女達の方が一枚上手だった。御台茂姫を演じた 蓮佛美沙子 佐津川愛美仲間由紀恵 の三つ巴の女性たちのぶつかり合いがすごかった。

「女達の首をはねてこい!」と威勢の良かった冒頭から息子や妻に諭されて丁寧な手紙をしたため青沼や源内の遺志を継ぐ黒木と僖助。大奥でドロドロが繰り広げられている中江戸で赤面疱瘡が流行したのを追い風についに熊痘を成功させ男女の役割が逆転し始める。宣言通り世を変えた家斉

前作のぽわわんとした初登場から御台の死や母の所業を知るうちに決意を固め老中たちともわたりあう成長ぶりを見せる家斉を演じきった 中村蒼 さんお疲れ様。将軍としての権威というより優しさが先に立ったいい将軍だと思いますよ。

大注目だった慶喜と西郷どんキャストが発表されました。西郷どんはいわば物語の最後を占める役割。漫画版西郷どんは太ってたけど原田さんはその細身であの台詞を言うのか…不遇の身に落とされ雌伏の時を過ごす慶喜が見たい。

幕末編 (16)
熊痘により赤面疱瘡が撲滅。男子による家督相続が広まった世へと様変わりを果たす。しかし12代将軍・家慶は娘の家定を寵愛し、次の将軍に指名する。老中となった阿部正弘は、事あるごとに家定に呼びつけられ、やがて彼女が置かれる境遇を知ることに。何か手立ては無いかと方々に救いを求めるうちに、芳町で出会った瀧山を大奥にあげることで家定を守る砦を作ろうと奔走する。

スイーツバイキングに来たのかと思うほどこのドラマでは初めて幸せな食べ物が登場した回ではなかったか。これまで食べ物といえば毒や嫌がらせにしか使われていなかったが甘い者好き家定のおかげできんつばカステラとスイーツパラダイス。

ドラマでは絶対見られない愛しているのか憎んでいるのかわからない不幸な母息子のツーショット。

阿部正弘にとって家定は理想の上司なんですよね。この二人の関係は原作でも大好きでした。何でも任せてくれる=翼をくれて責任は自分がとるという。まるでかつての吉宗公みたい。こんな名君の末裔が生まれたらきっと幕末の歴史が変わっていたのに。

名物遠山桜が「幕内にも無頼がいる」の証明に。誰も太刀打ちできない怪物を退治した光台院が再び孫を救う。やはりこの女性は強い。実力主義を取る阿部正弘によって勝海舟が浮上。いよいよ幕末がやってくる。そして次週はあの男も。

幕末編 (17)
家定の正室としてやってきた胤篤。薩摩が内部から幕政を操るために送り込んできた者として彼を警戒していた瀧山と家定だが、その美しい容姿に圧倒される。どこか掴めない胤篤に、油断はできないと心配する瀧山の一方で、家定は徐々に距離を縮めていくことに。家定の様子に安心した正弘は、意見がまとまらない井伊や堀田ら老中に挟まれながらも、家定から託された役目を果たそうと奔走する。

そもそもの始まりから思えば瀧山が江戸の終わりにアレを選択するのもわかるんですよねぇ。

寝屋で篭絡と言ってたものの郷中教育の説明からすっかり胤篤に取り込まれた家定。こりゃあかんわ、という表情の瀧山。お万の方の再来と皆は騒ぐが視聴者はお万の方の経緯を知っているので胤篤の一見裏表のなさとの差がよくわかる。やはり隠密を放っていた薩摩。ふてぶてしい慶喜。

漫画を試し読みするとわかるんですが胤篤のファーストショットは家来から隠れて地元の女性とのいちゃつき。僧侶だったお万の方とは正反対の登場でした。穏やかな顔だがやるときはやる阿部正弘。

いやまさにこのシーンでございますよ。元気になって馬に乗り胤篤とも仲の良い家定を見て彼女の幸せを感じ、彼女の不幸はみんな自分が背負っていくと、瀧山の支えを振り払い家臣として最後の礼をする阿部正弘。家臣の鑑というかシスターフッドというか泣かずにはいられない。

井伊直弼が名だたる家臣団の中でも別格の存在になってゆく過程をちょうど大河で見ているのは良い。この井伊が横紙破りで条約を結んでしまうんですよね。「女ごときが」という女性蔑視の権化のような井伊直弼でした。

“メリケンとの条約をどうするか”同じ問を後継者候補に投げる家定。慶喜は「私などとてもとても」と謙虚さで用心深さを隠し福子は思ったことを正直に話す。いかがわしいケーキ様登場。幕府の取った策は最悪の先延ばし&朝廷取り込み。共寝してなくても仲の良い家定と胤篤よき。

幕末編 (18)
通商条約の調印を進めていた堀田の失態に加え、腹心の正弘の死が重なった家定の心痛は尽きない。ついには床に臥(ふ)せてしまったという知らせを聞き、家定を心配する胤篤のもとに瀧山から思いもよらぬ知らせが舞い込む。開国派と攘夷派の思惑がひしめきあう中、大老に就任した井伊は、反発を強める薩摩らを尻目に、徐々に立場を強めていく。条約の締結を推し進める井伊を懸念する瀧山と胤篤の気掛かりはやがて。

大河ドラマ篤姫 でも実は仲良し説を取った家定&篤姫。今回も悪阻を気遣う仲良し夫妻。

原作でも屈指の名場面家定胤篤二人きり。蛍が舞い飛ぶ中静かに語る夫妻。原作では「今この時がこの上もなく幸せだ」時計が時を刻むのではなくこの時を永遠としたかった。阿部正弘が願った家定の至福の瞬間がここにある。

気合を入れて作った流水紋を取られそうでキョドる瀧山。そして見事に着こなしてしまう胤篤。似合いすぎてどぎまぎする乙女上様。篤姫 でも家定の死は長く伏せられていた。直弼「目の上のたんこぶでも主人は主人」どうする家康 を知る者にはよくわかる井伊家の不器用な忠義。

大奥そもそもの始まりを彩った流水紋が流れ流れてその滅亡を見届ける時に再登場。胤篤とお揃いにはしたくない瀧山。家定の不在を隠密から知らされる胤篤は誰も彼をも疑う中故国の薩摩こそ怪しいと言われ迷路の中にいたが健気な家茂になくした父の役目を与えられ再び光の中へ

幕末編 (19)
家定亡き後、14代将軍となった家茂は、徳川に向けられた諸侯たちの反感を抑えるため、井伊が推し進めていた公武合体で和宮を迎え入れた。しかし、朝廷から降嫁してきた和宮は偽物で、しかも女性だったことが発覚。観行院や土御門から事情を聞き憤慨する瀧山だが、当の家茂は冷静に受け止め、思いも寄らぬ決断を下す。事情を知ってもなお、和宮にあたたかく接する家茂に、心配を募らせる天璋院と瀧山だが。

お願いだからみんなカステラの呪いを忘れてあげて(涙)というわけで大奥第一部でとんでもない事になったお万の方がもらった猫若紫が同じ顔をした胤篤が和宮のために連れてきた金魚狙いの猫ちゃんに転生(嘘)。

大奥最盛期の綱吉や先代家定の頃と比べると随分簡素化された大奥。身代わりを名乗り出てもまだ自分を見てくれない実母に比べて自分を光と呼んでくれ「ただそこにいるだけで人を救う」と言ってくれた家茂のためにお鈴廊下を歩く決意をした和宮の姉宮。

平清盛 の時も大量発生した麿ズ。今回は男装バリエーションつき。和宮替え玉説は 有吉佐和子の「和宮様御留」にも登場。大竹しのぶ 主演でドラマ化もされた。

愛されなくても子供はどうしても親を愛そうとする。それでも望む愛は絶対に与えられなくて。よしながふみ作品に共通するテーマ「家族はなりたいものがなればいい」の最終CPなんですよね家茂と和宮は。母が言わない言葉を言ってくれた家茂に隠れひっそりと泣く和宮。

今回もいかがわしくいやらしいケーキ様をありがとう。私としては漫画原作で髭ぼうぼうだった頃のケーキ様をワンカットみたかったなぁ。

幕末編 (20)
弟の身代わりとして降嫁した成り行きを家茂に打ち明けた和宮。予想に反して好意的に受け止め感嘆する家茂に拍子抜けした和宮だったが、人の心に寄り添える家茂の思慮深さに触れ、次第に心が解きほぐれていく。慶喜から上洛を頼まれた家茂は、勝の助言を元に帝に直接、開国の意図を伝え説得しようと試みる。やがて和宮が総触れに現れるようになり、大奥内が落ち着きを取り戻してきた頃、京に残した息子を心配する観行院が取り乱し。

死を知らされても泣きも怒りもしなかった和宮が家茂の本当の今わの際の様子を聞いた時に初めて涙を流す。お互いがお互いの側にずっといたかったがかなわなかった。「生きるとはただ別れるだけのことなのか?」いいえ生きる者は死ぬ者の願いを受け継ぐ。天璋院の問いに和宮が来週応える。

31本中30本が虫歯ってそれは現代人感覚でも危ないです家茂様スイーツ男子は返上して宮様と一緒にいて欲しかった(あれ?史実と混在している)。勇ましく装い国と徳川を想っていても「死にたくない親子様に会いたい」と嘆く一人の女性だった家茂。

目が全然笑っていないケーキ様が素晴らしくてしかたない大東駿介。ケーキ様に家茂の死を好機と言われ憤懣を抑えながら返事をする勝安房。彼の弟子坂本龍馬こそが幕府を倒す長州と薩摩を結ぶ。原作で出てくるか?男?女?と話題になったけど出てこなかったんですよね。

幕末編 (21)
国の行く末のため、自らの身も省みずに心血を注いだ家茂が志半ばで亡くなったという知らせが入る。己の信念で私利私欲に動く慶喜の振る舞いが新たな争いの火種を生んでしまう。家茂の身を案じ、あれこれ手を打って引き留めようとしていた和宮の願いは届かず、暗い空気が流れる一方で瀧山や天璋院は、時代の移り変わりとともにかつてないほどの変化を強いられる。代々受け継がれてきた大奥はやがて。

原作でも胸熱シーンだったラストシーン胤篤Meets津田梅子。歴史改変が行われ女が政を行った事は伏せられている明治の御代、かつて女性達がなしてきたことを胤篤が語り津田梅子はやがて女性教育に邁進し誰かの妻になるだけではない人生を見出すに至る。

瀧山の養子となる仲野の実家が実は黒木家で赤面疱瘡撲滅に邁進した黒木良順の末裔だったと明かされる。家定は病死であったと知らされ実家が妻を殺したと長年疑ってきた胤篤の呪縛が解かれる。しかし「思うように生きよ」と言われ財産散財しちゃうのか胤篤。

勝てると思って戦に出てさっさと逃げ帰る最低オブ最低慶喜。後始末だけ押し付けられる勝安房。「女が政を取ったからこの国はこんなに遅れた」徳川絶対潰すマン西郷に錦の御旗から御宸筆活用を思いつき家茂の愛した江戸を守る和宮が挑む。「私はいつだって私」

これが演技だったらすばらしすぎるさと姫。

素敵大奥メンズが皆洋装であるのに対し留学生として洋行する女性達はまだ和装。このような所でも旧弊からなかなか抜けられない女性の立ち位置が垣間見える。やがて鹿鳴館というお仕着せ洋装時代が来るので瀧山達はきっと商売繁盛して豪商になるのでは?

瀧山が大奥で死のうとして失敗するシーンは家光が亡くなった時殉死する稲葉正勝と対比を成す。


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最終更新日  December 12, 2023 11:39:17 PM
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