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September 2, 2024
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カテゴリ:山田風太郎
みなさんこんばんは。やっと台風10号消えてくれましたね。ずいぶん被害を与えました。今日も山田風太郎作品を紹介します。

妖説太閤記(上下)
山田風太郎
角川書店

日本人は、秀吉が大好きだ。
何より彼の天真爛漫な性格が、人気を呼ぶ。
百姓の息子から天下人まで駆け上がるという、究極のサクセスストーリーを作り上げておきながら、そこでジ・エンドにはならない。唐入りで味噌をつけ、親馬鹿丸出しで頼んだ人々に、死後豊家を滅ぼされるという「欠けたる望月」のような終わりであった事も、「完璧な人生などあり得ない」と知っている人々の、そこはかとない共感を呼ぶ。そこには、
「最初はそれほどの野心を持っていなかった男が、位が上がるに従って変質してしまった」という、秀吉に対する人々の共通認識が根底にある。でももし、その認識が違っていたら?

本書の秀吉は、最初からはっきり公言している。
「おれは、天下も取るし、女も取る」けれど、勿論この目的を前面に出せば、杭は天下と女、どちらにも打たれて嘲笑される。ただの嘲笑ではない。自分ではどうしようもない生まれや容貌についての嘲笑だ。言い返せない分、どす黒いものが彼の心に溜まってゆく。ふつふつと、ふつふつと。しかし、彼は陰に引っ込めた黒い心を、野心の熾とする。そして皆には、よく知られている陽の部分のみを見せ、笑われる前に自らを笑う。道化になるのだ。しかし、陰の部分が消えてしまったわけではない。石川五右衛門や明智光秀と、不遇時代に出会っている設定は大河ドラマと同じだが、その関係性は全く違う。彼等は陰の部分でひたすら計画を練る秀吉の駒に過ぎない。その制御された彼の心を揺るがすものは、ただ一つ。信長の妹・お市の方への恋慕である。この話はよく知られているが、誰も天下を得る最大の動機とまでは見ていない。恋愛感情が天下獲りの欲望と同居できるなんて、誰一人考えていないからだ。けれど、秀吉にはそれができる。表の顔、巧みな弁舌とユーモラスな面相で人を誑し、裏の顔でライバルを蹴落とし、敵同士を反目させる。天下の名軍師・竹中半兵衛も黒田官兵衛も、その策士ぶりには敵わない。晴天の霹靂として、桶狭間と同じ位有名なあの事件すらも、秀吉にとっては予定された事でしかなかった。
ところが、後半は様相が変わってくる。あれだけ緻密に計画を練って、敵には敵を噛み合わせる「たった一つの冴えたやり方」が利かなくなってくる。さて、その時秀吉はどうしたか?

自らが体験した太平洋戦争を引き合いに出しながら、残された記録から冷静な検証を行い、著者はこれまでとは全く異なる太閤記を作り出してしまった。「妖説」というより、これはもう「小説」と言ってしまっていいくらい、いつもの作品より、随分と妖しさを排除した文章と登場人物だ。
曠野で始まり、曠野で終わる。最初の曠野は他人が荒らした後だが、最後の曠野は自らが招いたものか。夢の中に登場するので、判然とはしない。
最初は予想もしなかった人物が、最後に天下を取る所。川のほとりで考える、まだ天下とは無縁の劉備から始まり、孔明自らが戦った、広々とした五丈原で終わる吉川英治が書いた『三国志』。今まで考えた事がなかったが、本書は、始まり方と終わり方が吉川版『三国志』に非常に似ている。

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最終更新日  September 2, 2024 12:00:50 AM
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