2009年03月 日本経済新聞 朝刊より引用
WBCの放送はついに一度も見なかったし、映像はスポーツニュースのおいしいところだけ。あとはネットや新聞記事からの論評を読んでいただけだが、ちょっと気になる点がいくつかあったので以下記してみたい。
最大の疑問はなぜシーズン開幕前の春にやるのだろうということだ。欧州サッカーを見れば分かるように欧州選手権(ユーロ2008)は各国のシーズン閉幕後に行われる。最高レベルのプレイが見られるのは当然優勝がかかったシーズン後半だから、選手も観客も"旬"の味わいを満喫することが出来る。欧州最強クラブのアレックス・ファーガソン監督(マンチェスターユナイテッド)の口癖は『とにかく春にベストコンディションを持ってこい、それが出来るのが一流プレイヤー』だそうだが、言わずもがな。
一般生活に例えれば、朝起きたらいきなりフルマラソンをやらされるようなもの。気持は推して計るしかないが、一部の選手は迷惑千万この上なしと思っているはずだ。だから当然村田選手のように故障が起きる。ということはそもそも米国はこのWBCをメインイベントとして捉える気はまるでないのだろう。その結果が視聴率1%前後という数字になって跳ね返っているのだ。
もし本当にプロ野球の未来と発展を考えているのであれば当然シーズン終了後の10月頃に開催すべきなのに。だから私の目にはこのWBCはとても奇異なものに映る。やる気があるのかと。今朝の読売新聞を読んでいると米国の一般的な見方は、WBCは親善試合の延長感覚だという。
もちろん優勝したこと自体は喜ばしいことかもしれないが、そんなに大騒ぎするほどのことでもなかろう、騒いでいるのは日本と韓国のファンぐらいでは?というのが正直な感想だ。本家本元の大リーグそのものが熱を入れておらず冷め切った見方をしているWBCに優勝したからと言って、それほどの価値があるとは思えないのだ。
が、価値はないが、意味はある。このブログでは再三再四書いているが、勝つことにより米国もだんだん本気になってくるからだ。それも僅差で勝つのではなく叩きのめすぐらいの圧倒的な力の差で勝利することが必要だと思う。
原監督の記者会見は当たり障りのない発言でまるで面白くないが、『米国を手本にしてやってきました』なんて言うのではなく『もう一段上の選手を揃えないと米国は日本に勝てませんよ』ぐらい言って欲しい気がする。それが彼らの愛国心に火を付け、ひいてはマイナースポーツの野球が発展する機会になるのだろう。
テレビ出演していた岩隈投手、日本人的な思いやりの発言ばかりしていたが、欧州南米サッカーの一流選手だったら平気でこう言うだろう。『去年、北京で勝てなかったのは僕を連れて行かなかったからですよ。星野さんも監督としてはちょっと人を見る目がないかもしれませんね』
欧州南米のトッププレイヤーはみんな自我が強い。監督批判、選手批判は日常茶飯事、男は黙って結果で示すなんて言う考えはまるでない。仲良しクラブとはまるで異なる本音が飛び交う世界。原監督の記者会見は5分ぐらいで飽きてしまったが、冒頭のアレックス・ファーガソン監督の記者会見だったら1時間でも聞いていたいと思うし、それだけの含蓄のある発言が聞けるのだ。
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