●六本木ヒルズの散策-その1●
以前にホームページで看板について気が付いた事を掲載していました。一般の方からすると殆ど気にも留めない些細なことですが、我々にとっては結構大事。本日はその時の文章を2回にわたって掲載します。ウィンドウショッピングを楽しもうと多くの人々がその坂道を行き来していた。ふと道路側に視線をそらすと、一台の看板がその担わされている機能とは逆にひそかに立っているのに気が付いた。ちょっと見た目にはそれほど気に止めるような看板ではない。百人の人が通り過ぎたとしてもその事に気がつく人はおそらく一人も居るまい。だが、筆者にはこの1台の看板を見ただけで以下のような事態が容易に目に浮かんできてしまったのだった・・・これから先は筆者の想像に基づいて書き上げたものであることをあらかじめお断りしておきたい。ビルの新築現場で働いている工事関係者にとって「竣工式」という言葉は一種独特な響きを持っている。長期間にわたってそのビルを完成させようと日夜努力をしてきたその労苦がついに結実を迎える日といってもいいだろう。だからその日までにはすべての工事を終了させて当日は厳(おごそ)かな気持ちで式に望むのだ。当然の事ながらやり残し工事は一切許されず、工事現場で働く誰しもがその日を目標に自分の仕事を終わらせようと作業を進めている。しかしながら予定通り順調に進んでいる工事現場ならまだしも、工事が遅れている現場ともなると次第に各作業員の顔に焦りの色が濃く漂い始め、徐々に緊張感が増してくる。さらに極端に遅れている現場ともなると余裕は一切なくなり、竣工式の一週間ぐらい前から怒声と罵声が飛び交う修羅場となることも珍しくはない。この現場もそうだった。そして明日はいよいよ竣工式というその前日。朝礼の時から周囲にはただならぬ張り詰めた緊張感が漂っているのを誰しもが感じていた。とにかく泣いても笑ってもあと一日。たったその一日でそれぞれの工事関係者は自分の担当範囲の仕事を綺麗さっぱり終了させなくてはならないのだ。終わらなければ終わるまでやるだけ、徹夜してでも終わらせなければならない、それが鉄則だ。だから他業者のことなど構っている余裕は一切無く、みんな自分のことだけ、自分の仕事だけを終わらせようと必死の形相で取り組むのだ。 ちょっとでも自分の仕事が中断されようものなら、すぐに喧嘩が始まる一触即発の中で作業をしていると言っていいだろう。ましてその日は朝礼前からスポットライトと投光器の搬入作業がすでに始まっていた。その作業所で働く誰もが、言われなくてもそのことが何を意味するのかが分かっていた。徹夜作業に備えてビル内の各所を照らし出すためのもの、終わるまでやるという無言のプレッシャーに誰しもがすでに臨戦態勢に突入していることを感じ取っていたのだ。「今日は荒れた日になるだろう・・・・」修羅場をくぐり抜けて来た何人もの老練な職人たちはすでに覚悟を決めていた。(以下●六本木ヒルズの散策-その2●に続く)「当社楽天SHOP」はこちらをクリック過去に掲載された日記の目次はこちらから過去に掲載された写真の一覧はこちらから過去に掲載された日記の検索はこちらからオリジナルプレート-1 2,625円(税込み)オリジナルプレート-2 4,620円(税込み)オリジナルプレート-3 6,300円から(税込み)オリジナル時計 3,675円(税込み)月~金(午前)サインおよび看板に関する話題を掲載します。月~金(午後)街で見かけた看板の写真を元に独自の視点から解説します。土・日パソコンに関するいろいろな話題を掲載します。土・日たまにサッカーまたは音楽に関する話を。