展示会にて園児の聴覚について質問される機会がございましたので、今回は「園児の聴覚と壁の反射音の関係」を説明させていただきます。
海外では「日本人を見つけるには手を叩けば良い!」と揶揄されています。つまり、街中で手を叩くと日本人だけが手を叩いた方向が分からずにきょろきょろしてしまうというのです。
これは大問題なのです。現在の日本の室内環境は、日本人のヒアリング能力に良い影響を与えないのです。
聴覚には、園児の音響環境が影響します。聴覚には、次の4種類があります。
1.低い音から高い音までの、微小な音を聴く能力。
2.音の方向を聴きわける能力
3.英語などの子音母音の種類、音色を聴き分ける能力
4.音程を聴き分ける能力
聴覚というと、聴力、つまり、1の能力しか取り上げられません。これは、聴覚のうち、最も基本的な、センサーとしての耳の能力です。センサーとしての能力と、声や音色を聴き分ける能力は、全く異なります。上記の2から4の3つの聴覚は、学習で獲得される、後天的能力です。この能力は、小学校前にほとんど完成してしまうのです。
後天的な能力は、普段の環境で育成されます。
幼稚園の教室の壁も、自宅の壁も、音を85%も反射します。画像1は、3人の歌手が歌っている状態です。反射音が適切ならば、3人の歌手は、目を閉じて聴いても、画像1のように明瞭に場所がわかります。
画像1:反射音が適切な環境では、眼に見えるように聴こえる!
教室の壁の反射音での聞こえ方を、視覚的に表すと、画像2になります。
画像2:教室や自宅の部屋で聞こえる音。明瞭には聴こえない!
明瞭に聞こえていると思っていた音は、キンキンした反射音が混ざり、特に教室内では、音がボケてしまい、幼児には明瞭に聴こえていません。歌手の場所も、音色も、先生の言っていることも明瞭ではないのです。これでは、上記の2から4までの能力は、育成されません。
はっきり聴こえないから、園児は、大声を出すのです。先生の声がはっきり聴こえないので、先生を見ないのです。
反射音が直接音に重なると、波形が壊れます。図1は、実際の壁の反射音を、直接音に重ねた時の波形です。1が最初の反射音が重なったズレで、2が次の反射音が重なったズレです。
声を聴く場所が違えば、反射音が違う位置で重なりますから、声が違ってしまいます。図1のように波形が崩れてしまい、崩れ方も一定ではない環境で、正しい発音も、正しい音色も覚えられません。
では、どうすれば良いのか?
海外のように、高い天井で、広い部屋で、壁が遠くなれば、反射音と直接音の時間差が大きくなり、反射音も弱まりますから、声や音色が聴きやすくなります。しかし、日本では、そうするわけにはいきません。
もし、壁が音を、遅らせて反射し、適切な反射音にしてくれたらどうでしょうか?そのような壁があれば、子供たちが壁際にいても、正しい声と正しい音が聴こえてきます。
普通の壁を、このような理想的な壁に変えてしまう方法が、欧州で脳の先端医療を研究している医学者によって、2007年に発明されました。(株)ハウス119では、その特許のライセンスを得て、医学的に最も良い音響環境を作り出す製品として、製造を開始いたしました。この理想の壁を作り出す素材を、『ルームクリエータ』と名づけました。
『ルームクリエータ』の効果
大学生で、ヒアリングの実験をした結果、通常の室内では30%しか聴き取れなかった子音と母音が、『ルームクリエータ』を使うと、70%に向上しました。
聴き取りの訓練の無い幼時では、この差は、さらに大きくなると推測されています。実際に効果があると言って良いわけです。
楽器の練習では、『ルームクリエータ』を使うと、約半分の時間で済むという結果が出ています。これは、演奏している音が、反射音で乱されないためです。特に、反射音が直接音に重なる時、特定の音程が狂って聴こえてしまう、という現象が、『ルームクリエータ』で無くなりますので、弦楽器や管楽器の習得が早くなります。
『ルームクリエータ』は、わずかに21mmの厚さで、壁に貼り付けるだけです。
『ルームクリエータ』には、次の特徴があります。
1.遮音。子供たちが騒いでも、楽器を演奏しても、音が外に漏れません。
2.音響空間拡張。広い部屋と全く同じ、正しい反射音を作り出します。
3.制振。床に敷けば、階下に振動が伝わりません。
4.断熱。厚さ15cmの断熱材に相当し、冷暖房費用を大きく節約します。
本製品についてのもっと詳しい説明は次回に行いたいと思います。
・・・ということで、本日の『凛果』です。
近くの公園に来て、大好きな滑り台で遊んでいます。左手で速度を調整しています。
自分でちゃんと滑れるようになったね!えらいね♪