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October 12, 2008
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カテゴリ:
●読んだ本●


「血と肉を分けた者」 ジョン・ハーヴェイ著
 日暮雅通=訳  講談社









■あらすじ

家庭での問題に傷つき
ノッティンガムシャーの警察を辞めて

コーンウォールに引退して
静かに暮らしていたエルダーは


十四年前に失踪して
行方不明のままになっている少女
スーザンの事をずっと引きずっていた。


スーザン失踪と同じ頃に、
やはり十六歳の少女ルーシーを

残忍な方法で暴行し殺人した
マッケアナンとドナルドの二人を逮捕した。

彼らがスーザンの失踪に関与していると
エルダーは考えたが
立証出来ずに未解決になったままだった。


ドナルドの仮釈放を知ったエルダーは
スーザンの行方を調べ直すために

ノッティングシャーに戻り
スーザンの周囲にいた人達に接触を図る。


凄惨な子供時代を経て
17歳で殺人事件に関与し

14年間刑務所で暮らしていたドナルドは
釈放後、
仮釈放者用の宿泊施設に向かい
何とか社会に馴染もうとするのだが。



2004年CWA賞(英国推理作家協会賞)の
シルバー・タガー賞受賞作品。







■感想

ノッティングシャー州の警察を
途中で辞めて引退した

エルダーの私生活と
遣り残した思いを引きずっていた

16歳の行方不明のスーザンの捜査が
色んな形で絡み合っている作品だった。


子供の殺人や暴行は
家庭内の方が多く、

イギリスでもアメリカと同様の
混乱の社会なのだなと思った。


エルダーの生活は
悪夢から始まり、

悪夢の元へと
引き寄せられて行くかのようだ。


そしておぞましい現実は
この日本でも人ごとではなく

嫌な事件が続いている事を
思い出す。


話はよく出来ていたが
読み進めるのが苦しい作品だった。


崩壊している家庭で育った子供は
幸せも安らぎも知らないで大人になり

自分の傷を他人に広げて
社会全体を恐怖に陥れる。

それらの悪循環について
思索させられた作品だった。


みんながある程度幸せなら
こんな目に合わずに済むのにと思ってしまった。

不平等な社会。
弱い者ほど叩きのめされる社会。

弱い者から狙われる社会。


悲しい社会だ。













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Last updated  October 12, 2008 06:13:22 PM
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